《心の健康を守る》

 双極Ⅱ型 安易な診断も・・・・・読売新聞の記事から

 東京の大手企業に勤める30代の男性は5年前、過労と睡眠不足が続く中で生じた落ち込みや焦燥感を『うつ病』と診断され、抗うつ薬が処方された。だが激務は変わらないので治らず、別の精神科医が“双極Ⅱ型障害”と診断した。うつ状態なのに仕事に打ち込む男性の行動を、病的な気分の波とみたのだ。実際は強い責任感ゆえだったのだが。

 今度は気分の高揚を抑える薬などが処方され、倦怠感が強まり働けなくなった。男性は休職が長引き、昨年、困って相談したのが、独協医大越谷病院だった。治療の経過を聞いた、診療科教授の伊原さんは思った。『うつもそうも軽い。妙な薬物治療で気分の波が増幅され、苦しんでいるだけだ』

 伊原さんは、十分な睡眠と規則正しい就寝・起床のリズムで、気分の波は緩やかになると説明し、7時間以上の睡眠を勧めた。酒は眠りの質を悪くするため、回復するまでは厳禁とし、薬を少しずつ減らした。間もなく男性は復職し、現在は薬も飲まず、睡眠時間の確保だけを意識しながら元気に働いている。

 伊原さんは『寝不足で元気が出なかったり、感情の起伏が激しくなったりするのは自然な反応で、それを病気だと騒ぐ医者こそが問題だ。現在の治療に疑問がある人は、是非セカンドオピニオンを受けて欲しい』と勧めている。