《高い自己評価》

 アメリカのキャリソン・キ―ラ―という司会者は、『女性はみんなたくましく、男性はみんなハンサムで、子供たちはみんな人並み以上のできだ!』と小説で架空の街“レイク・ウォビゴン”を描きました。これは良くできた“ジョーク”なんですが、重要な心理的真実を捉えています。みんなが人並み以上というのはありえないし、論理的に不可能だと分かっているのですが、私たちは自分のことをそんなふうに考えがちなのです。

 アメリカで公式テストを運営するカレッジボードという会社が、80万人以上もの高校生に実施した調査では、対象者の70%が自分のリーダーシップ能力は『標準以上』だと回答しました。また60%は、社交性の評価で自分が上位10%に入ると自己評価し、友人関係の評価では標準以下だと自己評価した者はいませんでした。“レイク・ウォビゴン”的思考の持ち主は若者たちだけではなく、教授たちの64%が自分の授業の質が標準以上であると評価し、25%が『優れている』と評価したのです。

 実業家の大半が自分は標準以上に倫理的であると考え、ドライバーの大半が自分は標準以上に運転がうまいと考えています・・・たとえ自動車事故で入院した経験があったとしても。一般的な話ですが、成人の大部分は自分が標準以上に頭がよく魅力的だと考えているのです。

 自己評価と他者評価、この辺がせめぎ合いになりそうです。