東経大コミュニケーション学部 遠藤准教授の記事から
スポーツを教えようとした時に、同じ言語を話す相手なのに全く意図が通じずに苦労してしまうことがよくあります。言語を共有しているからコミュニケーションが成り立つとは限らないということを、スポーツが教えてくれるのです。
具体的な例を挙げれば、ある選手に対して『相手のことよりもボールに集中してきなさい』と試合に送りだしたところ、試合後に『集中することに集中しすぎて、集中できませんでした』といわれ、びっくりしたことがあります。この選手は言葉よりも、身体を通じてスポーツを理解するタイプだったのでしょう。こうした本能でプレーするタイプには、言葉で説明しても混乱するだけです。
どうすればよいコーチができるのか、私は考えました。そして、その選手に対しては極力言葉による説明を省き、求めているプレーを実際に目の前でやって見せるようにしたのです。
そして『何も考えなくていいから、私がやっているとおりにあなたもやってみなさい』と指導したのです。目からの情報を自分のものにする能力に長けていたその選手は、それからぐんぐん伸びていきました。
目からの情報処理能力・耳からの情報処理能力・言語処理能力と人によって差があること、そしてタイプに応じた対応が大切だということを教えてくれてます。