《デジタルを使う企業が生き残る》

 内山 悟志氏・・・ITRエグゼクティブ・アナリストの記事から

【コロナ後の逆戻り危惧】
 デジタル技術が生活全般に及んだ『アフターデジタル』の時代になると、ネットで食材を注文し、家まで届けてもらい、仕事の会議や飲み会にオンラインで参加し、クリーニングもネットで取りに来てもらうようになる。家から出ないで生活できるようになる、ということです。

 新型コロナウイルスの感染防止のために自粛生活を送り、我々はアフターデジタルの世界を疑似体験することになった。今後30年~40年かけてゆっくり実現に向かうと思っていた世界が、5年後にやってくるかもしれません。自粛生活で家族と1日過ごし、会社への帰属意識や仕事・就労への考え方を見直した人も多かったのではないでしょうか。

 気をつけないといけないのは新型ウイルスが収束した時です。会社に毎日出勤し、紙の資料を配って対面で会議を開き、社内決裁や申請手続きにハンコが必要という以前の状態に戻ってしまうかもしれません。米国や中国などは元には戻らず、新たなビジネスモデル、生活様式へ進んでいくでしょう。日本は遅れてしまうのではないか、と危惧しています。

 デジタル技術の活用で、これまで通り全員が出社しなくても仕事は回るし、顧客も怒らない、ということに気づいた企業は、新しい時代にも対応できるでしょう。日本企業の経営者にも、デジタル技術に対する高い『感度』が求められるのです。