組織とか人事の仕事をしていると、動機づけとかコミュニケーションについて考える機会が多くなり自然と心理学に関心を持つようになり、時々そのような本を読みます。最近出合った“アドラー心理学”について少し紹介します。
フロイト・ユングについてはよく耳にしますが、“アルフレッド・アドラー”については今回初めて知りました。アドラー心理学は欧米では絶大な支持を得ているようで、『どうすれば人は幸せに生きることができるか』という哲学的な問に、きわめてシンプルな答えを提示しています。私は一冊の中に何個か興味を持った部分がありました。
まずは、『トラウマを明確に否定します』・・・・アドラーは『経験それ自体』ではなく、『経験に与える意味』によって自らを決定する、と語っています。例えば、幼いころに虐待を受けたという出来事が、人格形成に及ぼす影響がゼロだとはいいません。影響は強くあります。しかし、大切なのは、それによって何かが決定されるわけではない、ということです。私たちは過去の経験に『どのような意味を与えるか』によって、自らの生を決定している。人生とは誰かに与えられるものではなく、自ら選択するものであり、自分がどう生きるかを選ぶのは自分なのです。
認知心理学で説明している、『ある事実をどのように認知するか』によって“楽観的”になったり“悲観的”になったりすることと共通しているように感じました。『ある事実』は、基本的にニュートラルであり、それをどのように自分が認知するか?あるいは意味づけをほどこすか?ということなんでしょうね。
ふたつ目は、『承認欲求を否定します』・・・・・アドラーは、他者から承認される必要などないといいます。むしろ、承認を求めてはいけないと。承認されることを願うあまり、他者が抱いた『こんな人であってほしい』という期待をなぞって生きていくことは、ほんとうの自分を捨てて、他者の人生を生きることになる。
マズローの承認欲求との関連について私なりにゆっくりと考えてみたいテーマになりました。
もう少し書きたいことがありますが、次回にします。