少し有名な、禅の話をご紹介します。
雄馬を買ったばかりの農民が、禅師のもとに慌てふためいてやってきました。
『禅匠、買ったばかりの馬がいなくなってしまいました!』
すると禅師は
『馬が逃げたのが、いいことか悪いことかはわからない』と答えました。
農民は寂しく、みじめな気持ちで、仕事に戻りました。
二日後、雄馬は二匹の雌馬を連れて戻ってきました。農民は小躍りしながら禅師のもとを訪れ
『あの馬が二匹も馬を連れて戻ってきたんです』と報告すると
禅師はまた
『それがいいことか悪いことかはわからん』と言いました。
三日後、農民は泣きながら、禅師のもとにやってきました。
仕事を手伝ってくれるたった一人の息子が馬から落ちて足を折ってしまい、歩けなくなったのです。
禅師は再び
『それがいいことか悪いことかはわからない』と返事をしました。
数日後、この土地の若者を戦争に徴兵するために、兵士の一団が農民の家にやってきました。
しかし、彼の息子は足を折っていたので、戦争に駆り出されることはなかったのです。
人生で不慮の事故に遭遇したとき
『それがいいことか悪いことかは誰にもわからない』とつぶやいてみてはどうでしょうか!