≫すべてのビジネスは行動の集積でできている
いかなる企業(店舗)も当然ながら売り上げアップに必死です。そこで重視されるのが目標設定。
会社の売上げ目標額はそれぞれの事業部門や店舗に振り分けられ、それをもとにそれぞれの社員の個人目標が決まります。
そして、各社員のがんばりは「目標を達成したか?」「いくら足りなかったか?」という「結果」によって判断される。それが一般的なマネジメントですよね。
もし、目標が達成できなかった人がいれば、「どうした!? もっとがんばらなきゃダメじゃないか!」と檄(げき)が飛(と)ぶことになります。
では、このように、目標の数字を決め。それを達成できたかどうかという「結果」だけに着目していれば、確実に業績は上がるのでしょうか? 「結果」だけをチェックすれば、社員は成長するものなのでしょうか? 答はノー。
注目すべきは「結果」ではなく「行動」です。
なぜならば、物事の成果は、すべてその人の「行動」の積み重ねによって成り立っているからです。
たとえば、100mを55秒ジャストで泳ぐ自由形の水泳選手がいたとしましょう。
タイム(結果)は、飛び込み、ストローク(腕の動き)、キック(脚の動き)、息継ぎ、折り返しの動作、ゴールタッチなど、一つひとつの行動の集積によって生まれています。
さらにタイムを縮めたいと考えたとき、指導者は何をすべきでしょう?
「とにかく54秒台を目指せ!ガッツだ!根性だ!」と声を荒げるだけで、確実に記録が伸びると思いますか? 思いませんね。
選手の一つひとつの動作(行動)をチェックして改善すべきところを伝え、それが実践できるよう指導することで、成果は上がっていきます。
ビジネスだって同じ。すべての結果は社員の「行動の集積」によるものです。
行動を変えるためのひとつとして、シンプルで有効的な方法があります。それがグラフ化です。
数えた回数をグラフ化するのに、特別なスキルは必要ありませんし、言葉や態度で示すのが苦手な人にとってはかえってやりやすいはず。
壁に貼っておけば、部下たちがいつでも目にすることができますから、順調に行動の数が増えている人にとっては大きなはげみになりますし、数が増えていない人は「もっとがんばらなきゃ!」という気になるでしょう。
もうここまでお読みの方ならお分かりだと思いますが、グラフ化するのは「成果」ではありません。結果(成果)を変えるには、そこにいたる行動を変えるしかない。
この原則に沿って“成果につながる、望ましい行動”を増やすのが目的のメジャーメント&グラフ化によるフィードバックですから、回数を数え、グラフにするのは“成果につながる、望ましい行動”でなくてはなりません。