自分を正当に評価するためには、まず人と比べないことです。
もちろん、健全(けんぜん)に比べるのであれば構(かま)いません。問題なのは自分より「できる人」と比較(ひかく)して、自分を卑下(ひげ)してしまうことです。
人と自分を比べて落ち込み、「今」の自分に合わない高すぎる願望(がんぼう)や目標を持つことは、自信を形成するのにマイナス要素にしかなりません。
同じように過去の自分と今の自分を比べることもやめましょう。
「学生時代は、常にトップクラスの成績をおさめていた」
「前の会社では、いつもトップセールスマンだった」
「以前の自分にできていたことが、今の自分にはできない」
こうした過去の実績と比べて、「今の自分は何てなさけないんだ」と自分を責める。これも本質的には「他人と比べて卑下(ひげ)する」のと同じことです。
過去とは全て記憶です。いい体験にしろ、悪い体験にしろ、そのときの環境によって生み出されている部分が必ずあります。ですから、「過去と比べてどうか」ということに意味はありません。大事なことは、昔の自分ではなく今の自分にフォーカスすること。そして確実に小さな成功体験を積み上げていくことなのです。
また、真のプロと呼ばれる人たちは、他者評価ではなく、自己評価の中に生きています。彼らは、周りの人がいくら認めても自分で認められなければ自信を持ちません。逆に他人が認めなくても、自分が正しいと思えることに自信を持っています。
他者評価に一喜一憂(いっきいちゆう)している状態では、本当の意味で自信を獲得したとは言えないでしょう。
真の自信は、人から何か言われても簡単に壊れるものではありません。
自分がつくった作品に対して、他の人から「たいしたことないね」と言われても自分が、「すばらしい作品だ」と信じていれば自信はなくならないし、周りからどんなに「すばらしい」と絶賛(ぜっさん)されても、つくった本人が納得できなければ、自信は培(つちか)われません。
もちろん、自分が「よくない」と思っていても、周りの人から「すばらしい」と認められて、「そうなんだ」と思える。そして、それが自信につながる。そうした段階もあると思います。
しかし、最終的に大事なのは自分がどう感じるか、どう解釈(かいしゃく)するか。人が決めた現実ではなく、自分が現実をつくり出すことです。