「知識」とは、聞かれたら答えられること
「技術」とは、やろうとすればできること
これを具体的にイメージするには、自動車教習所を思い浮かべていただくといいでしょう。そこではカリキュラムを「学科教習」と「技能教習」にはっきりと分けていて、それによって教える側も教えられる側も“今は知識を学ぶ時間だ”“今日は技術を習得しよう”というように意識し、効率よく学ぶことができます。
衣料品のお店であれば、例えば「今シーズンのファッション・トレンド」「素材ごとに異なる洗濯の注意点」「商品の追加発注をするための電話番号」といったことが“教えるべき「知識」”。スタッフ全員が「聞かれたら答えられる」という状態になるよう、指導しなければなりません。
一方「商品の入荷・検品・品出し業務」「服のたたみ方」「お辞儀の仕方」「プレゼント用の包装」などの「技術」は、実際に「やろうとすればできる」ようにトレーニングを積んでもらう必要があります。
教える内容を「知識」と「技術」に分けることで、指導の内容や手順がスッキリとしますし、もし指導がうまくいかないことがあっても「技術が未熟? それとも知識が不足してる?」とチェックすることで原因が見つけやすくなります。
知識 技術
衣料品店の開店準備の例 仕入表の場所がわかる
仕入表の見方がわかる
預けてある鍵の場所がわかる
店舗の鍵の仕組みがわかる
店内BGMを流す装置の仕組みが分かる
商品在庫と追加発注の電話番号が分かる
プレゼント用の包装紙の場所がわかる 引継ぎ書の作成ができる
店内の電気のスイッチの点灯と消灯ができる
レジを手順どおりに打つことができる
衣服を決まった位置に在庫を入れることができ、検品できる
店内BGMの音量をコントロールすることができる
品出し陳列ができる
フィッティングの準備ができる
★: まずは「知識」のチェックです。
教える仕事にかかわる専門用語や成果につながる重要なポイントなど、チェックリストをもとに「知識のポイント」をまとめておき、一問一答形式でテストしてみるのがいいでしょう。
□: たとえば「○○という言葉を知っていますか?」「クレームがあった場合、誰に報告しますか?」といった感じで?
★: そうですね。
次に「技術」については実際にやってもらいチェックします。
これも確認すべき「技術のポイント」をチェックリストからつくっておきましょう。
「技術のポイント」と照らし合わせることで、具体的なフィードバックができるようになります。