職場における人材育成は、実務を通しての積み重ね指導であるだけに、明確な目標の設定が欠かせない。また、その目標は結果が明確にイメージできることが必要であり、あまり長すぎない方が良い。とは言っても目標であるからには挑戦的で、かつ努力して達成感が味わえる程度の困難度も欠かせず、それには短すぎてもその場しのぎになってしまうので適切とは言えない。
このような条件を勘案すると中期目標を2年、短期目標は1年とし、中間目標を3ヶ月毎にするのが適切と考える。中間目標を3ヶ月にする理由は当面の取組で一定の目標レベルに到達できると部下は自己の成長を確認でき、1年後の目標を目指して次の3ヶ月課題への挑戦意欲を湧かせるのに適度なサイクルを作り出せるからである。
また昇給や昇格などの人事評価など制度上のサイクルとも一致して、相乗効果も期待できるからである。さらにこの中短二段構えの目標設定をすると、1年で当面の目標を達成できたとしてもそれで終わりではなく、その先の中期目標を意識して次の1年の継続的な計画に基づく育成指導ができるのである。
目標作りの進め方としては、話し合いの余地の少ない新人の場合を除き、管理者が大枠を示し、それをもとに管理者と部下が話し合って内容を詰めるスタイルをとると良い。このような話し合いを持つことによって部下とのコミュニケーションが進み、管理者が望んでいることや、反対に部下が考えていることなどを相互に伝えあうことができる。
管理者が部下育成目標を作ることによって単に部下のためだけではなく、管理者自身が部下の育成を明確に意識できるようになり、プロ管理者としての活動を広げるきっかけともなる。