読売新聞の記事から
部下を叱らない上司、子供を叱らない親・・・・・。
職場や家庭で“叱る”という行為が敬遠されるようになってきている。しかし、叱ることが必要な時もあるはずだ。失敗を成長につなげるような叱り方を心がけたい。
『部下の話は、きちんと傾聴するよう厳しく言われています。かつてのように、部下をどなりつけることなんてもうありませんね』通信会社の課長は自嘲気味にそう話す。部下がミスをしたら叱るのではなく、まずは言い分を聞く。『無責任な言い訳ばかりで腹がたつこともありますが、ジッと我慢ですね。パワハラで訴えられたら大変ですから』と語る。
日本能率協会の部下に対する接し方調査によると『どちらかといえばよく部下を叱責する』と答えた人は、5%に過ぎなかった。『叱らなくなった理由の一つがパワハラを巡るトラブルの増加』と指摘する。
職場だけではない。子育て中の親子のマナーで気になることのアンケート調査では、最も多かったのが『子供を叱らない親』だった。明治大学教授の諸富祥彦さんは、『職場や家庭でも、褒めることがとにかく推奨され、叱り飛ばすことは厳禁、というような風潮が広がっている』と指摘する。また、『改善すべきことが有る場合には、褒めるだけの指導ではなく、きちんと叱ることも必要』と語る。
教育評論家の親野智可等さんは、『子を思う気持ちを言葉に乗せることが大切。愛着があるからこそ、叱っている。その気持ちが相手に伝わるといい』と話す。