《社内ルール》

 江戸時代後期の学者に“山片蟠桃”という人がいました。

 彼は、仙台藩伊達家の財政再建をしたことで知られています。その方法は、『刺し米』といってコメの検査の際に、コメ俵に竹の筒を刺して俵の中から少量のコメを取り出して確認をしますが、その竹の筒を通常のものより太く・長くしてコメ俵から多めに取り出せるようにしました。その米を手数料代わりにして伊達家からは再建に必要な資金は貰わなかったのです。

 そのころ、大名家や大きな商家の経営コンサルタントをしていた、“海保青陵”という人物が、蟠桃の手法に感心し『升小談』という本を書いて色々な手法を紹介しています。

 例えば、蟠桃は店の管理を主人から命ぜられたときに、店員心得を1カ条つくりました。それは、《門限を守れ》ということだけでした。

 しかし守らないと厳しく処罰しました。店員はこの1カ条を守るだけで、ビシッと気持ちを引き締めたそうです。

 あれもダメ、これもダメと数多くの心得をつくることは、逆に店員は守らなくなると蟠桃は考えたのです。

 現在でも当てはまりそうです。