最近業界の月刊誌に“アダム・スミス”について書いた記事が掲載されていました。私も学生時代に少し学びましたが、国富論の中で提唱した“見えざる手”という言葉が有名です。これは市場経済において各個人の利己的な行動の集積が社会全体の利益をもたらす調整機能を表すという意味です。
そこで、テーマの≪価格を決めるのは誰か≫ということになるわけですが、従前はマルクス経済学が主張する『商品の価値は、その商品を生産するのに必要な労働量によって決定する』という考え方が重視されていました。しかし、アダム・スミスは『価格を決めるのは、買い手と売り手の需給バランスで決まるのだ』と主張したのです。これが『見えざる手』です。
ある商品を作るのに10日かかろうが、3日で出来あがろうが価格には関係ない。価格を決定するのは市場である。 欲しい人がどれだけいるのか? そのニーズを提供できる人がどれだけいるのか? その需給バランスによって価格と取引量が決定すると主張したのです。現代に生活するものとしては、シンプルで分かり易い考え方です。
つまり、10日かけて作った商品でも、誰も必要としなければ、0円なのです。当たり前のことなのですが、『もし、市場があれば、自分の仕事の価格はどの位になるのだろう?』と考えてみるのも大切だと感じます。特に、制度ビジネスで報酬が一定額に決められているような場合には!