《3つに絞る》

 選択の科学の著者シーナ・アイエンガー博士は、興味深い“ジャムの販売実験”を行っています。同じデパート・同じ時間帯・同じメーカーのジャムを使用しての実験ですが、一つは23種類のジャムを用意し、もう一方は6種類のジャムでの試食販売です。結果的に、6種類のジャムを試食品として提供したほうが販売成績が良かったということです。(それもかなりの大差で!)私の感覚ではたくさんの選択肢があったほうが売れると思っていたので、この実験結果には驚かされました。

 最近読んだ記事に、今日のテーマにしている“3つに絞る”という内容のものがありましたので、ご案内をします。

 自分で自分の首を絞める場合もあります。最大の要因は、多くの責任を背負いすぎてしまうことです。無理をすると、いずれ収拾がつかなくなります。人生は魅力的な可能性の載ったトレイがズラリと並んでいる大きなビュッフェのようなものですが、欲張って自分の皿にあれもこれも載せてしまうと、消化不良になるのがオチです。本物のビュッフェと同じで、人生でもすべてを平らげてしまうことはできますが、いっぺんにはできません。
 
 ひとつのやり方として、生活の変化とともに優先順位は変わると自覚したうえで、そのときどきで三つの優先順位を決める方法があります。この考え方は、目新しいわけではありません。じつは、アメリカ海兵隊をはじめ軍隊では、一般原則として【三つのルール】を活用しています。長年、試行錯誤を繰り返した末に、大多数の人間が遂行できるのは一度に三つまでであることを発見しました。

 その結果、軍事システム全体がこの点を反映するように設計されているのです。中隊長は三人の小隊長を束ね、小隊長は三人の分隊長を束ね、分隊長は三人の班長を束ねます。陸軍では『4つのルール』を試みましたが、効率は目に見えて落ちたそうです。

 日本でも『3』という数字はよく使れています。【アベノミクス3本の矢】【日本三景】【うまい・はやい・やすい】等々・・・・・。

 “あれもこれも”と欲張らずに、絞り込むことの大切さを教えてくれているような気がします。