私は企業や個人のコンサルタントをする際、必ず利益や収入を倍にするという目標を掲げるところから始めます。それから、「なぜわれわれは、今の倍の利益や収入を手に入れられないでいるのか?」を考えるよう促します。そこから質問を重ねていくことで、それまでには思いもよらなかったような答が出てくることがあるのです。
質問のプロセスの一例をご紹介しましょう。
「売り上げが悪い」。ほかに問題点は?
「客単価が低い」。ほかに問題点は?
「広告が消費者をひきつけない」。ほかに問題点は?
障害が何であるにせよ、それを正しく特定できれば、その解決のためにおのずとこれまでの行動が改善されていくはずです。売り上げが悪いのなら、売る量を増やすしかありませんし、客単価が低いのなら、客単価を増やすしかありません。広告が消費者をひきつけないのなら、なんとかして広告の質を高めるしかないのです。
同じように質問を重ねていきます。
「消費者一人当たりの購買量が少ない」。ほかに問題点は?
「消費者が店に足を運ぶ頻度が少ない」。ほかに問題点は?
「販売員が消費者に十分商品をアピールしない」。ほかに問題点は?
これを続けていくことで販売力の脆弱(ぜいじゃく)さが明らかになり、さらなる人員の補強、教育、管理が必要であるとの結論が導き出されます。さらに「ほかに問題点は?」と考えます。
「消費者はうちではなくライバル企業の製品を買っている」。ほかに問題点は?
「ライバル企業の製品のほうがうちより売れている」。ほかに問題点は?
この問いに答えると、いやおうなく「ライバル製品を買うことで消費者にはどんな利点があるのか?」「それを上回る利点をこちらが供給するにはどうすればいいか?」を考えさせられるでしょう。ほかに問題点はありませんか?
「十分な利益が出ていない」。ほかに問題点は?
「販売コストがかかりすぎる」。ほかに問題点は?
このように質問を重ね、問題を次々と定義していくたびに、売り上げや利益を上げるという目標達成のためのさまざまな方法が導き出されるのです。