読売新聞の記事から
中学二年のA君は、発達障害がある男子生徒だ。他人の気持ちを推察するのが苦手で、級友とトラブルになることもしばしば。先日も机から消しゴムを落としたのに気づかずに、好意で拾った生徒に『お前か、俺の消しゴムを取ったやつは!』とくってかかる一幕があった。
放課後、二人きりで話をした。『君は誰かの消しゴムを好意で拾ったことはあるか』と尋ねると、A君は『ないです』と素っ気ない。『じゃあ、そこにある消しゴムを拾ってくれるか』そう言って、事前に床に置いた消しゴムを指した。
彼が消しゴムを拾い、私に手渡そうとした瞬間『その消しゴムを取ったのは君か!』と鋭い口調で問いただした。驚いた表情を浮かべた彼に『君がしたことを知ってほしかったんだ』と話し、親切心で消しゴムを拾ってあげた生徒の思いやりを丁寧に説明した。
最近人事管理の相談のなかに似たような事例を耳にするようになりました。読売新聞の記事の内容は中学生の例ですが、組織で仕事をする社会人の中にも同じような事例があるということです。入社試験をパスしてくるわけですから、知識の面は大丈夫なのです。常識的な事やコミュニケーションに問題があったりするのでしょうが、教育システムや家庭環境に問題があるかもしれません。
今、組織には多様化する社員のへの対応、教育が求められているような気がします。