《記憶の性質》

 年齢を重ねるごとに、記憶力が悪くなったと嘆く人は多いでしょう。
 
 それでも、絶対に忘れてはいけないことは、記憶に刻み込まなくてはなりません。その対処方法は、記憶を繰り返すことから始まります。
 
 ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスは、何の脈絡もない言葉を覚えた場合、どのくらい記憶しているのか、若年層に向けて実験をしました。
 
 結果は、実験の二十分後には覚えたことの42%を忘れ、1時間後には56%、1日後には74%、1週間後には77%、1ヶ月後には79%を忘れてしまうというものでした。
 
 この結果から学ぶべきことは、若年層であっても人は忘れる性質があるということです。大切な事柄も、繰り返し思い出すことで記憶に刻まれます。記憶力の良い人は、無意識のうちにこの行為をしているのでしょう。
 
 体力など、年齢を重ねることで衰える機能はあります。しかし、記憶をはじめ、繰り返す努力を重ねることで、克服できる機能もあるのです。
 
 職場の教養 1月号より