《アドラー心理学Ⅱ》

 前回に引き続きアドラー心理学で強く印象に残ったことを御紹介します。

 課題の分離・・・・アドラーは言います。ある事実に対して他者がどのような評価を下すのか。これは他者の課題であってあなたにはどうにも出来ないことなのです。私の提案はこうです。まずは、『これは誰の課題なのか?』を考えましょう。そして課題の分離をしましょう。どこまでが自分の課題で、どこからが他者の課題なのか、冷静に線引きするのです。そして、他者の課題には介入せず、自分の課題には誰一人として介入させない。これば具体的で、なおかつ対人関係の悩みを一変させる可能性を秘めた、アドラー心理学ならではの画期的な視点になります。

 自己受容と自己肯定・・・・アドラーは言います。自己肯定とは、できもしないのに『わたしはできる』『わたしは強い』と、自らに暗示をかけることです。これは優越コンプレックスにも結びつく発想であり、自らに嘘をつく生き方であるともいえます。一方の自己受容とは、仮にできないのだとしたら、その『できない自分』をありのまま受け入れ、できるように前に進んでいくことです。自らに嘘をつくものではありません。『変えられるもの』と『変えられないもの』を見極めることです。ありのままの『このわたし』を受け入れること。交換不能なものを受け入れること。そして変えられるものについては“変えていく勇気”を持つこと。それが自己受容です。

 最後に、アドラーは言います。『幸福とは貢献感である』と。