《言葉を考察》

 ある事例です。

 ゴルフのコンペから帰ってきた部下が、『今日は何度かミスをしてしまい、せっかくの優勝のチャンスを逃してしまいました。せっかくアドバイスをもらったのに』としょげかえっています。

 あれっ!と思い、『誰がアドバイスをくれたの?』と聞いたところ・・・・・ 『もちろん優勝した男ですよ。右はバンカーだぞ、打ち込むなよって、三度も注意してくれました』

 人の良い彼には失礼ですが、思わず笑ってしまいました。気の毒に彼は、優勝者の仕掛けたワナに見事にはまってしまったのです。

 人は、『ミスをしてはいけない、とイメージすると緊張して』かえってミスをしてしまうものです。『ミスをするなよ』というアドバイスの裏には、『ミスをしろよ』という意図が隠されていたのです。

 ヨチヨチ歩きの子供に、親は『転ばないで!』と声をかけることがあります。もちろんこれはワナではありませんが、『転ぶなよ』と声をかけられた子供は、無意識に【転んでいる自分をイメージ】してしまい、実際に転んでしまうということが起きてしまいます。

 ポイントは、起きてほしくないことを言葉にするのではなくて、【起きてほしいことを言葉にする】ことです。