《増える“地域限定”社員》

 学生に『地元志向』・・・・読売新聞の記事より

 警備大手セコムが東京都内で開いた内定式には、学生約230人が出席。このうち、今年度新設した採用枠『エリア総合』コースは66人を占めた。原則、本人が希望した都道府県か、そこから通勤可能な隣県が勤務地となる。広島市の大学に通う松本さん(21)は、出身地の愛媛県を希望。『家族の近くにいたいし、愛着のある地元で働きたい。全国転勤がある企業は応募しなかった』と話す。

 武田薬品工業も都内で内定式を開き、約50人が出席した。同社は2015年から、医薬品の営業職に『勤務地限定制度』を導入。30道県から勤務地を選ぶことができ、例年新入社員のうち数人が利用する。全国転勤を敬遠する地方の優秀な学生を獲得するためで、採用担当者は『営業職は地域密着型の仕事。地元志向の強い社員は成績も良い』と説明する。

 就職情報会社ディスコが8月、来春卒業予定の学生に就職先を決めた理由(複数回答)を尋ねたところ、『希望の勤務地で働ける』は2割に達した。

 法政大学キャリアデザイン学部の武田恵美子教授は『共働きが一般的になり、学生は転勤を、子育てやキャリア形成上のリスクと捉えている』と分析。地域限定社員は、転勤のある社員と待遇面で差をつけられる場合もあり、『企業は双方に納得感のある制度を構築すべきだ』と指摘した。