《税金を考える》

 税金が取れなく社会が来る・・・・中央大学特任教授 森信 茂樹

 著者が30年近く前、何かの本で読んだ小話です。当時のスウェーデンの所得税最高税率は80%でした。

 ある日、高名な弁護士が虫歯の治療ということで、これまた高名な歯医者のところへ行った。治療が終わって代金を支払おうとすると、100万円の請求を受けた。弁護士は、『そんなに高いのか。自分の所得税率は80%なので、あなたに100万円支払うためには、自分は500万円追加で稼がないといけない』【500万円-400万円(税金)=100万円】と文句を言った。

 これに対して歯医者は、『私の所得税率も80%です。あなたから100万円いただいても、自分の手元に残るのは20万円です。』と答えた。

 二人は、『つまり20万円を手元に残すために500万円稼がなくてはいけないということなのか!』とため息をついた。

 そして弁護士はおもむろに『いい方法がある。わたしの持っている別荘を無料で貸すということで、代金を清算してくれないか』というアイデアを提案した。双方とも税金の支払いに悩まされることがなくなり、めでたく合意が成立した。

※幸いに、日本の税率は所得税・市県民税を合わせても50%程度です。小話のようにひどくはありません。ただ、森信先生も書いていますが、既に『物・物交換』『サービス・サービス交換』が現れてきているそうです。納税者も節税のために頭をフル回転しなければいけない世の中になりました。