《評価を避けるべきではない》

【評価することを恐れてはいけない】

 いま、多くの学校では、できる・できないを指摘(してき)することは、その子の人間性を否定することにもなると考えています。その子が生きる気力を失い、ふてくされる。それを心配して、「できる・できないについては言及(げんきゅう)するのをやめてしまおう。できる・できないと人生は関係ないのだから」と評価を避けるようになっています。
 そうした学校教育の影響によって、教わる側が甘さに慣れてしまって、打たれ弱くなっているのも事実です。社会人になったからといって、急にたくましくなるわけではありません。ちょっとでも叱られるともうダメ。評価されるというだけでダメ。そういう弱い感性です。
 そして、そんな弱さを助長(じょちょう)するのが、きちんと指摘をしないという、教える側の姿勢です。
 競争しろというのではなく、学校でも会社でも「できない状態からできる状態に移る」ことを学ばなくてはいけないわけです。会社では、できない人が入ってきたときに、できる状態にして役に立つようにする。それが目標ですから、その基本から逃げてはいけないのです。
 評価されることに慣れていないと、やがては、自分を評価の目にさらすということを徹底して避けるようになってしまう。プレゼンや査定(さてい)面接が嫌いになったり、大事なところで逃げてしまったり・・・。これでは、仕事になりません。仕事という局面でも、やはり、自分をさらす勇気というのは不可欠なものでしょう。