車を買い換えようと思い、いろいろ比較検討しています。
とある外車ディーラーで見積もりをお願いしたところ、ずいぶん待たされました。
20分くらい待たされた後、営業マンが携帯片手に現れました。「見積もりを出すために携帯から情報を送らなければならないのですが、なんか電波の入りが悪くて・・・」これは店舗での話です。
「店舗に端末置いてないんですかー?」(心からビックリした顔の私)
「何ででしょうかね。そういう現場への投資はしないみたいなんですよ・・・」(あきらめ顔のセールスマン)
業種・業界を問わず、顧客との接点たる現場が「最も大切な場所」のはずです。現場が虐げられるようなことをしてはいけません。ちなみに、ここで言う「現場」とは顧客への価値提供を直接行なっているところを指しています。単なる作業場のことではありません。
20年ほど前に、[真実の瞬間](ヤン・カールソン著、ダイヤモンド社)という本の中に「逆さまのピラミッド」というフレーズがありました。組織図を書くと、現場が最下位になることが多いが、それは間違い。顧客の接点たる現場こそ、ピラミッドの最上位にくるべきだ、というその主張は、いまも真実です。
意思決定のレベルや、組織内での影響力、仕事の複雑さ、求められる知識などの面で、「現場」のスタッフよりも管理者の職責のほうが大きいので、報酬水準が高くなるのは仕方ありません。逆に言うと、現場の方々の給与は相対的に低くなります。
しかし、だからといって、現場の人々を大切にしないことにはなりません。むしろ、低い報酬で価値を創造していただいていることに、感謝すべきとさえ思います。
現場の人たちを、単なる代替可能な安い労働力と捉えた瞬間から、自ら価値創造の源泉を傷つけていることになります。
いかに、現場の方々が生き生きと仕事ができるような環境を創り出すか、これが組織の長の役割だと思います。