《精一杯やってみる》

心配という言葉の本質は意外とわかりにくいものです。
人や周囲へ心を配るという良い面もあれば、自分や誰かの心を心配するという悪い面もあります。不安、不信、気がかり、悩み、こうしたマイナス要素を帯びた言葉と同じように、心配という言葉はどちらかと言えばネガティブな使い方が多いものです。
私たちが心配する状況は、主に次の三つの要素に分類されます。

①結果がわからないこと
②悪い結果が予見できてしまうこと
③その悪い結果を自分がコントロールできないこと

これは医師や医療スタッフにも当てはまりますし、もちろん患者さんや家族にも当てはまります。想定内の結果が見えていれば、「心配しないで大丈夫ですよ」と声をかけることで本人の心配は拭われます。
自分がコントロールできない背景には、「努力していない(足りない)」ことの他に「努力しても届かない」ことがあります。仕事でミスをする、難度の高い仕事ができないというのは前者ですが、経済が好転しない、天変地異が起こるというのは後者です。
大切なのは、自分がコントロールできないことは心配しないことです。どんな世界に身を置くにせよ、必須の条件です。要は、開き直る、思い切る、ということです。もういいやと思えば、対処していることの質が変わります。あれほど悩ましかったことが、実は大したことではなくなることも多いのです。何とかしよう、うまくやろうとすると、心配の度合いはどんどん上がります。
医療のプロである医師にも共通した心配事があります。