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《囚人のジレンマ》

 囚人のジレンマというゲーム理論をご存知でしょうか!

 次のような内容です。

 あなたと友人が銀行強盗をして捕まったとする。二人は別々の部屋で警察官の取り調べを受けることになるが、当然離れているので二人は相談をすることは出来ない。
そんな状況の中で、警察官から四つの取引をもちかけられる。

➀友人が首謀者で、友人があなたにとって不利な証言をしなければ、友人は5年の刑で、あなたは釈放される。

➁あなたが友人に不利な証言をせず、友人があなたに不利な証言をすれば、あなたは5年の刑で、友人は釈放される。

➂双方が互いに不利な証言をすれば、二人とも3年の刑になる。

➃双方が互いに証言を拒否すれば、二人とも1年の刑になる。

 二人が互いに信頼できているとわかっていれば、答えは簡単ですね。黙って黙秘をして、互いに1年の刑。しかし、これが一回限りだとすれば、『双方が証言をして、二人とも3年の刑』という選択になるのでしょう。

 興味深い実験は、このゲームを20回続けた場合です。

 結果は、初回ラウンドでは協力をして、その後は前回のラウンドで相手が選んだ選択を真似し続ける【しっぺ返し作戦】ということになります。影響力の武器の著者、ロバート・チャルディーニが言う【返報性の原則】がはたらくのでしょうね。

 組織活動にも、返報性の原則がはたらいているとすれば【相互扶助】という考えが組織運営にはとても重要になると思います。

 

《認知のゆがみを取る》

 次のような考え方の癖を自覚するようであれば、試しに少し物事の見方を変えてみましょう。

➀ すべてか無かの思考・・・何事も0点か100点か、の採点基準しか持たない考え方
➁ 一般化のしすぎ・・・一回起こったことが何度も続くように感じてしまうこと
➂ 心のフィルター・・・良いことを無視して悪いことのみを残す
➃ マイナス思考・・・良いことまで悪く考えてしまう、悪質な認知のゆがみ
➄ 結論の飛躍した推論・・・人の心の読みすぎや先読みのしすぎ
➅ 拡大解釈と過小評価・・・悪いことを大きく、良いことを小さく見てしまうこと
➆ 感情的決めつけ・・・自分が感じているだけなのに証拠があるように確信してしまう
➇ すべき思考・・・わざわざ過度なプレッシャーを与えてしまう
➈ 誤ったレッテル貼り・・・一事が万事的な発想
➉ 個人化・・・自分に無関係なことまで関連づけてしまう
      (寺下謙三クリニック院長 サイトより)

 ネガティブな思考習慣を持つと6番の(悪いことを大きく見る)傾向や、悪いことがずっと続くと考えたりしますね。このような思考習慣を矯正するために、作家の五木寛之は『その日に起きた出来事を、良かったこと・悪かったことに分けて書き出す』といったことを進めています。出来事はニュートラルです。その出来事をポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるかは各人の認知によるものです。トレーニングが必要です。

 

《多面的に物事を見る》

 “面倒だから、しよう”  渡辺和子著より

【不幸の裏側に幸せを見つける】

 私がアメリカで勉強していた時に聞いたお話です。

 昔の修道院は電化されているところが限られており、まだトースターがない時代。ある修道院の料理当番の人が朝食のパンをオーブンで焼きました。片側を焼いてからひっくり返してもう片側を焼く。一度にたくさんのパンをオーブンで焼き、大皿に盛って食堂で待っている修道僧たちに出すわけです。

 料理当番の人はいつも気を付けているのですが、ときたまうっかりしてトーストが黒焦げになってしまうことがありました。しかし、もったいないのでその黒焦げになったトーストも、そのまま大皿に盛って食堂へ持っていきました。

 昔の修道院は沈黙していただくのがあたりまえでしたので、沈黙を守り、一枚ずつ上からトーストを取って次の人へお皿を渡していました。

 一人の修道僧が『また黒焦げか』と、非常に不機嫌な顔をして自分に当たったトーストを取り、次の人に渡しました。次の修道僧もやはり黒焦げのトーストを自分の皿に取りましたが、その人はトーストを裏返しにして『あぁ、片側だけでよかった。ありがたかった』と言ったたそうです。

 それはつまり、物事は裏返して見てごらんなさい、片側は真っ黒焦げかもしれないけれど、もう一方の側は黒焦げになっていないかもしれないということです。その時に『あぁ、片側だけでよかった。ありがたかった』という気持ちを持てることが、ある意味で『幸せになる秘訣』なのです。その心のゆとりが平安と幸せをもたらすのです。 

 

《山本五十六の名言》

 今日は、山本五十六の名言【人を育てる極意】をご案内します。

『やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、ほめてやらねば人は動かじ』

『話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず』

『やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず』

 短い言葉の中に、人材育成のポイントが見事に表現されています。

《快適ゾーン》

 私たちは違和感や不快感を覚えるときもあれば、とても気分が良くいろんなことがスムースにいくこともあります。何故そのようなことが起きるのでしょう!

 それは『快適ゾーン』という調節機能を自分自身の中に持っているからです。この快適ゾーンは、人が自由に考えたり、行動が出来る居心地のよい【心の領域】です。人は、【居心地の良い領域】から出ることを嫌がります。別な表現をすれば、変化することに抵抗します。

 その結果として、“マンネリ化”とか“慢心”といったような現象がおきます。業務に慣れることは、悪いことではありませんが、慣れによる“マンネリ化”が発生します。同様に、“慢心(自分はわかっている・出来る)”を生じさせることもあるでしょう。

 このような、“マンネリ化”や“慢心”といった心の状態が、心に隙をつくり甘えを生じさせる場合があったりします。

 『快適ゾーン』という心の領域があることを理解し、快適ゾーンを拡げる努力をしたり逆に原点に戻ってみることも大切なことだと思います。

《現状を打破する》

 現状維持バイアスという心理作用があります。

 これは『今のままで何の問題もなければ、変化させずにそのままにしておこう』という心の働きことで、誰の心の中にも存在しています。

 日常生活では、後片づけや部屋の掃除をするかどうか迷った時などに、そうした心理がフッと生じることがあります。

 片づけるべきだと頭ではわかっていても『他人に見られているわけじゃない』 『別に不便を感じていないからこのままでいい』という気持ちが湧いてくるのです。

 人の心は変化を恐れるものですが、現状維持に偏った心境では、今以上の向上は望めないでしょう。

 後片づけは、単に仕事の効率を上げるだけでなく、次の作業をスムーズに始めることにもつながります。また、物の整理は心の整理にも結びつきます。

 現状維持バイアスを脱するには、身近な事柄がお勧めです。

 まずは今日一日の清掃、後片づけから始めませんか。

 “職場の教養”から

 

 

《障害がよいか・悪いか!》

 少し有名な、禅の話をご紹介します。

 雄馬を買ったばかりの農民が、禅師のもとに慌てふためいてやってきました。
 『禅匠、買ったばかりの馬がいなくなってしまいました!』
 すると禅師は
 『馬が逃げたのが、いいことか悪いことかはわからない』と答えました。
 農民は寂しく、みじめな気持ちで、仕事に戻りました。

 二日後、雄馬は二匹の雌馬を連れて戻ってきました。農民は小躍りしながら禅師のもとを訪れ
 『あの馬が二匹も馬を連れて戻ってきたんです』と報告すると
 禅師はまた
 『それがいいことか悪いことかはわからん』と言いました。

 三日後、農民は泣きながら、禅師のもとにやってきました。
 仕事を手伝ってくれるたった一人の息子が馬から落ちて足を折ってしまい、歩けなくなったのです。
 禅師は再び
 『それがいいことか悪いことかはわからない』と返事をしました。

 数日後、この土地の若者を戦争に徴兵するために、兵士の一団が農民の家にやってきました。
 しかし、彼の息子は足を折っていたので、戦争に駆り出されることはなかったのです。

 人生で不慮の事故に遭遇したとき
 『それがいいことか悪いことかは誰にもわからない』とつぶやいてみてはどうでしょうか!

《年の功》

 まずはこんなエピソードから

 私の妻の両親で、当時七〇歳だったハワードとジゼルは、ワシントンDCの地下鉄の駅から外に出たところで猛烈な吹雪に見舞われ立ち往生していました。二人はその日の夜、私たちの家で夕食をすることになっていました。駅から我が家まで歩くには遠すぎるのでタクシーを拾いたかったのですが、ラッシュアワーのため、まったくつかまりません。ハワードはクルマで迎えに来てほしいと電話をかけてきましたが、あいにく私も妻も渋滞に巻き込まれ、自宅にたどり着けないでいました。

 寒さで指がかじかんできた頃 ハワードは通りの向こうに湯気で窓を曇らせたピザ屋があることに気が付きました。彼は妻と積もった雪に足を取られながらやっとの思いで店に入り、カウンターでピザの宅配を注文しました。店員から宅配先を尋ねられたハワードは住所を告げて、こう付け加えました。

 『もうひとつ、お願いがあるんだけど・・・・』

 『なんでしょうか!』と店員が答えると、彼はこう言ったのです。

 『私たちもピザと一緒に宅配してもらえないかな!』

 そして、二人はその晩の夕食となるピザを抱えて我が家に到着しました。

 最近、脳について書かれている本を続けて読んでいますが、私たちの脳は、それまでの人生経験から編み出された様々な方法が蓄積されていて独創的な解決策を思いつくのですね。

 『いくつになっても、脳は若返る』素敵な言葉です。

《キラーフレーズ》

 コーチングでは、『でも』・『しかし』といった言葉を“キラーフレーズ”と表現して注意を促しています。

 理由の一つには、『でも』とか『しかし』といった接続詞の後には、“言い訳”が続くからなのでしょう!

 言い訳とは、自分の失敗を弁解したり、身の潔白を証明することを指しますが、他にもいろいろな意味を持つようです。

 辞書によれば、言い訳には『物事の筋道を明らかにして説明すること』『過失や罪を詫びること』といった意味もあります。

 上司や部下、友人や知人、家族などから注意された時、素直に聞き入れることはなかなか難しいものです。注意をしてくれた人に食ってかかったり、自分の言い分を主張して、人間関係に亀裂が生じてしまう場合もあります。

 言い訳の意味にもあるように、まずは『過失や罪を詫びる』謙虚さを持って注意を受け止めてこそ、その後の説明が相手に伝わり、筋道を明らかにすることにつながるのでしょう。

 注意を受けた時には素直に受け止め、過失があればサッとあやまることのできる自分でありたいものです。
 

《聴くということ》

 職場の教養から二つ紹介します。

【口ひとつ耳ふたつ】
 Mさんは朝から気が重く、心が晴れません。出社前の慌ただしい中、妻から長男の進路について相談されたことがきっかけでした。
 気が急いていたため、妻の話を途中で遮り、要はこういうことだろと結論を出した時です。妻がなんとも言えない寂しげな顔で『あなたはいつもこうですね。結婚以来一度も私の話に耳を傾けてくれたことはない』と言ったのです。
 そのまま家を出たものの、通勤途中でMさんは、入社時に上司に言われた言葉を思い出しました。『人間には口はひとつ、耳はふたつついている。しゃべることよりも聞くことに心せよ、という意味だ』
 若い頃は、人の話をしっかり聞くようにしていたMさん。いつの間にか仕事に追われ(部下の言うことも、他のことをやりながら、真摯に聞いてなかったな。ましてや最愛の妻と、真面目に向き合ってこなかった)と反省したのです。
 そして、(今日からいい聞き手になるよう努力しよう。相手の立場に立って耳を傾けよう)と心に決めたのです。

【そのままを聴く】
 Aさんは人の話を聞くことが苦手です。特に、部下や年下の人の話には聞く耳を持てません。話の腰を折ることもしばしばで、建設的な話し合いにならず、なかなか周囲と調和を保つことができませんでした。
 ある日、見かねた先輩が『君は、自分の意見や考えを差し挟まず、聴くことに集中するのが先決だ』と助言してくれました。たしかに、相手が話している最中から、次に話す内容を考えたり、反論することばかり考えていたのです。
 『聴くことは相手を受け容れること』と諭されたAさん。まずは相手の話をそのまま聴くように努めました。
 すると、相手の考えの特徴やその背景が見えてきたのです。(こんな細部まで考えていたのか) (よく準備をして意見を述べているな)と、相手を知り、理解できたことで、周囲との会話も増えていきました。
 聴くことを通して、周囲と調和が図れるようになったAさん。現在は、家庭において、妻の話を聴くことに挑戦中です。