人事考課」カテゴリーアーカイブ

《人事考課制度》

 組織を運営していくうえでは≪人事考課・評価≫は必要な制度であると考えていますが、日本生産性本部の最近の記事“新入社員の 春の意識調査”によると、ちょっと頭を抱えたくなるような結果でした。

 質問の内容は?

 “自分自身が希望する職場の給与体系は?”
 ≪年功序列型≫それとも≪能力主義型≫どちらを望みますか!

 それに対する全国の新社会人(会社員・公務員)200人の回答結果は次のようになっています。
※年功序列型・・・51%
※能力主義型・・・25%

 弊社では、仕事給の賃金体系を提案していますが、運用にあたっては《人事考課・評価》を大切にしています。何故なら仕事給の賃金体系においては、職務遂行能力・役割・業績等を適正に評価して昇給・昇格・昇進・賞与・教育・配属等に反映することになるからです。人事考課制度の運用によって、自分が求められている能力・期待されている役割・業績等が明確になります。社員一人ひとりの目的がハッキリすることで、結果的に活力ある組織が創造されることにつながると考えています。

 能力・役割・業績よりも≪年齢・経験≫を重視した賃金体系に問題があることに多くの方々は賛同してくれるものと思いますが、最近の若者たちの意識が変化してきているということは、事実として受け止めないといけないのでしょうね!

《高い自己評価》

 アメリカのキャリソン・キ―ラ―という司会者は、『女性はみんなたくましく、男性はみんなハンサムで、子供たちはみんな人並み以上のできだ!』と小説で架空の街“レイク・ウォビゴン”を描きました。これは良くできた“ジョーク”なんですが、重要な心理的真実を捉えています。みんなが人並み以上というのはありえないし、論理的に不可能だと分かっているのですが、私たちは自分のことをそんなふうに考えがちなのです。

 アメリカで公式テストを運営するカレッジボードという会社が、80万人以上もの高校生に実施した調査では、対象者の70%が自分のリーダーシップ能力は『標準以上』だと回答しました。また60%は、社交性の評価で自分が上位10%に入ると自己評価し、友人関係の評価では標準以下だと自己評価した者はいませんでした。“レイク・ウォビゴン”的思考の持ち主は若者たちだけではなく、教授たちの64%が自分の授業の質が標準以上であると評価し、25%が『優れている』と評価したのです。

 実業家の大半が自分は標準以上に倫理的であると考え、ドライバーの大半が自分は標準以上に運転がうまいと考えています・・・たとえ自動車事故で入院した経験があったとしても。一般的な話ですが、成人の大部分は自分が標準以上に頭がよく魅力的だと考えているのです。

 自己評価と他者評価、この辺がせめぎ合いになりそうです。

《考課者研修》

 この時期は、新年度に向けて役職者の研修や考課者の為の研修等で事務所を留守にすることが多くて投稿記事も久々です。

 今回の研修では
①クレーム対応
 私のクレーム事例をお話しして、事故やクレームは火の気の小さいうちにしっかりと消すことの大切さと、皆で共有することの意味を説明しています。
②原点回帰
 業務質問票によるケーススタディーです。実際に現場で起きている“慣れ”による問題点を指摘します。
③見える化
 あるディーサービスの事例です。ビデオ等上手に活用して見える化に取組んでいる話から何か学ぶことはないか!
④評価面接
 評価面接の進め方と、何を評価するのかをケーススタディー方式で進めていきます。

 朝から夕方まで一日、缶詰状態で研修を進めていますが、三月いっぱい続きます。
 
 受講生の皆さまお疲れさまです。

《フィードバックとは》

 フィードバックという言葉は、電気回路の出力の一部を入力側に戻すという意味がありますが、コーチングではコーチがクライアントに、クライアントがどんな印象や影響をコーチに与えているか、またその人の行動がどのようにみえるのかを≪ありのまま≫に伝えることを、フィードバックといいます。

 私たちが自分の感覚だけで把握できることには限界があります。外からの情報がまったくない状態では、正しい方向に進んでいるつもりでも、間違った方向に進んでいるということもありうるわけです。宇宙船が、地上のオペレーターからのフィードバックを受けて軌道修正を繰返しながら進むのと同じように、私たちも自分が目標に向かって最適な方法を選択しているか、目標まであとどのくらいか、軌道からズレてはいないか等といった客観的情報、つまりフィードバックがあることで、目標達成まで最短で最善の方法をとることが可能になるのです。

 フィードバックは、忠告や批判とは違います。相手から伝わってくること、聞こえていること、触れている感覚も含め、≪客観的事実≫について、ありのままを伝えるのです。また、見て、聞いて、そして自分自身が内側で感じている≪主観的事実≫について、ありのままを伝えるのです。

 第一人称(私は・・・・)で、適切なタイミングで、必要性や相手の行動が変わる可能性を感じながらフィードバックして下さい。

《人事考課エラー Ⅲ》

 今日も引き続き人事考課エラーについて書きたいと思います。

※入手容易エラー

 飛行機に乗るのを怖がる人は、自動車を運転するのを怖がる人よりもはるかに多い。飛行機のほうが危険であると思う人が多いからですが、もちろんそんなことはありません。生々しい事例を挙げることを前もって断っておきますが、旅客機が自動車と同じくらい危険だとすると、満員の乗客を乗せたボーイング機が毎週二機墜落し、乗客全員が死亡する事態となります。

 そうならない限り、自動車事故で死亡する確率とは同じにはならないのです。しかし、マスコミが自動車事故よりも航空機事故を大々的に取り上げる為、飛行機のリスクが誇張され、自動車のリスクが過小評価される傾向にあるわけです。

 これは、人は身近にある情報に基づき判断を下す傾向にある、という入手容易エラーの一例を示したものです。感情を呼び覚まされた出来事、特に生々しい印象を受けたもの、あるいは最近起こった出来事は、もっとも鮮明に記憶に残っています。その結果、航空機墜落事故のようなまれな出来事を大げさに捉えてしまいがちです。

 半年に一度の人事考課を行う際に、六か月前の部下の行動よりも、最近の行動を重視する傾向があることも、こうした入手容易エラーによるものです。

※行動観察記録簿を有効活用しましよう。

《人事考課エラーⅡ》

 引き続き人事考課エラーについて考えてみたい。

※先入観エラー
 私たちは、情報は客観的に収集されていると考えています。しかし、実際はそうではなく、情報は選択的に収集されています。人は、自分が過去に行った選択を肯定するような情報を探し求め、過去の判断と矛盾する情報は軽視します。また、自分の先入観と一致する情報は額面どおりに受け取る一方、こうした先入観に反する情報に対しては批判的になり、疑いの目を向ける傾向があります。ですから、私たちが収集する情報とは、通常、既存の先入観に偏ったものとなります。

 人は、自分の先入観を肯定してもらえるような情報が手に入りそうなところを検索する傾向にあることから、情報の収集先が特定されてしまうおそれが高くなってしまいます。また、自分が信じる情報に対する補足情報に過度の重きを置く一方、矛盾する情報に対してはほとんど目を向けないのです。

 人を評価する際にもこのようなエラーが発生すると考えられます。先入観・思い込み・固定観念といったものが評価に影響をあたえます。事実を客観的に評価するよう留意したいものです。 

《人事考課エラーⅠ》

 人事考課者トレーニングで“考課エラー”に関して説明をする機会がありますが、今回は《自信過剰エラー》について考えてみたいと思います。

※自信過剰エラー

 『判断や意思決定において、自信過剰ほどよく見られて最悪の結果をもたらすおそれのある問題はない』と言われます。自信過剰のバイアスによって、人は実際よりも多くのことを知っていると思い込んでしまうのです。
 
 事実に基づく質問を受け、自分の答えが正しいと思う確率はどのくらいか?と尋ねられた場合に、人は非常に楽観的に答える傾向にあります。例えば、自分の回答が70%の精度で正しいと答えた場合に、実際の正解率は50%にすぎないという結果が出ています。また、100%正しいと答えた場合の実際の正解率は70%程度であると言われています。

 組織の観点から自信過剰に関連する興味深い調査結果があります。それは知的能力や対人能力が劣っている人ほど、自分の業績や能力を過大評価する傾向にあるということです。社員が知識を深めれば深めるほど、自信過剰という現象は小さくなります。逆に自分の専門分野以外に関しては、自信過剰が最も大きくなる可能性があるのです。

《長時間労働は『人事評価』のため!》

 生協連ネット調査のデータより

 仕事と生活の調和を図る『ワーク・ライフ・バランス』が進まない原因として『長時間労働をしないと会社からの評価が下がるから』と考える20代が多いことが、日本生活協同組合連合会の調査でわかった。
 同会は昨年9月、全国の1200人にインターネットでアンケートを行った。
 ワーク・ライフ・バランスが進まない原因として、男女合計で最も多かった回答は『職場復帰や再就職が難しいから』で37.7%。特に女性では42%で、男性の33.2%を大きく上回った。『育休制度は広がっているが、復帰後の短時間勤務制度などがうまく機能しない例もある。一度退職した後の再就職が難しいと考える人も依然多い』と同会の政策企画担当者は言う。
 男女合計で2番目に多かった回答は『長時間労働をしないと会社からの評価が下がるから』で33.2%。特に男性は36.2%で、女性より6ポイントも高い。回答者を年代・性別ごとに見ると、20代の男性は47.1%で、30~60代の32.2~36.5%を大きく上回った。女性も20代では35.7%で、30~60代の28.2~31.3%を上回る結果に。
 管理職クラスの世代は長時間労働がすぐに評価につながるものではないと思っていても、若手社員は『長時間仕事をしないと評価が下がる』と気にしている実態がうかがえる。
 同会は『雇用や労働環境の悪化が続いた影響で、若手社員は会社からの評価を強く意識するようになっているのではないか』と話している。

《ハロー効果》

 人事考課者トレーニングで良く耳にする“ハロー効果”という言葉があります。人事考課エラーの一つとして確認をすることになるわけですが、昨日読んでいた『組織行動のマネジメント』にも“ハロー効果”についての記載がありましたので、短い内容ですが、御案内します。

 ある人について知性とか、社交性とか、容貌といった一つの特徴をもとに全体的な印象をイメージするときに“ハロー効果”が働いているのである。ハロー効果が採用面接の試験中に起こることもまれではない。営業の職種に応募してきた人が、みすぼらしい格好をして面接試験に行けば、面接官からは仕事柄ふさわしくない態度であり、能力も乏しく、無責任な人間と受け取られるおそれがある。
 
 だが、実際はその応募者は非常に責任感が強く、職業意識のしっかりした有能な能力の持ち主かもしれない。
 
 この場合、どういうことが起こったかというと、面接官がその応募者を総合的に認知した時に『ただ一つの特性・・・身なり』が他の特徴を消してしまったのである。

 私たちも、気をつけないと印象の強いイメージに引っ張られて“認知エラー”を起こしてしまいます。総合的なイメージと部分的なイメージの両面からのアプローチが重要になると考えます。

《人事考課・頑張っています》

 人事考課制度の運用指導を実施していると、時々タイトルの“頑張っているんですけど! 一生懸命にやっています!”といった言葉が出てきます。それも、考課者(役職者)からの発言として多いと感じています。
 
 まずは、“頑張っているんですけど”の言葉の後には、『どうして私の評価が低いのでしょうか?』という不満感情が隠れているわけです。
 皆さんはどのように考えますか。
 少し整理してみると、一生懸命に頑張ることは勿論大切な事だと思います。ただし、この場合(役職者)には違うものが求められています。例えば、能力とか成果とかでしょうか。
 入社したての新入生の場合には『頑張ってくれたので』高評価です!!もあるかもしれませんが、役職者の場合には成果を“見える形で示す”必要があると思います。
 
 一般的には、『等級基準書』で能力レベル・期待するもの・役割等を明確に示しているのですが、機能していない組織もあって感情的な人事考課運用に陥ってる例も時々見受けられます。

 『努力と能力と成果をバランスよく評価する』ことが大切なのだと思います。

 目標の設定では次のような視点も必要でしょう。
 幹 部   戦略的目標
 ミドル    業績目標
 下位層   改善目標