職場における人材育成は、実務を通しての積み重ね指導であるだけに、明確な目標の設定が欠かせない。また、その目標は結果が明確にイメージできることが必要であり、あまり長すぎない方が良い。とは言っても目標であるからには挑戦的で、かつ努力して達成感が味わえる程度の困難度も欠かせず、それには短すぎてもその場しのぎになってしまうので適切とは言えない。
このような条件を勘案すると中期目標を2年、短期目標は1年とし、中間目標を3ヶ月毎にするのが適切と考える。中間目標を3ヶ月にする理由は当面の取組で一定の目標レベルに到達できると部下は自己の成長を確認でき、1年後の目標を目指して次の3ヶ月課題への挑戦意欲を湧かせるのに適度なサイクルを作り出せるからである。
また昇給や昇格などの人事評価など制度上のサイクルとも一致して、相乗効果も期待できるからである。さらにこの中短二段構えの目標設定をすると、1年で当面の目標を達成できたとしてもそれで終わりではなく、その先の中期目標を意識して次の1年の継続的な計画に基づく育成指導ができるのである。
目標作りの進め方としては、話し合いの余地の少ない新人の場合を除き、管理者が大枠を示し、それをもとに管理者と部下が話し合って内容を詰めるスタイルをとると良い。このような話し合いを持つことによって部下とのコミュニケーションが進み、管理者が望んでいることや、反対に部下が考えていることなどを相互に伝えあうことができる。
管理者が部下育成目標を作ることによって単に部下のためだけではなく、管理者自身が部下の育成を明確に意識できるようになり、プロ管理者としての活動を広げるきっかけともなる。
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《チャレンジ目標》
人事考課制度を構築・運用する際に、目標管理制度を柱としていますが、この目標については《チャレンジ目標計画書》として落とし込んで頂いております。チャレンジ目標の設定の際には、【できる目標】と【挑戦的な目標】というような言葉で表現をしていますが、これがナカナカ社員の方々に伝わりにくいのです。
目標管理の意義については改めて説明をする必要もないかと思いますが、私は大きく二つと考えています。
【そのⅠ】
組織としての方向性(ベクトル)を合わせること。何を頑張ったら良いのかを社員に示すこと。
【そのⅡ】
ピーターの法則によると、人は目標が無いとエネルギーが出ない。やる気とか、モチベーションのダウンに抵抗する為には目標設定が重要なポイントになる。
活力あるイキイキとした組織を創造する為の一つの手法としては、目標管理制度の運用は有効だと考えています。
そこで、【挑戦的な目標】ということにふれていきますが、まず【できる目標】の問題点は、『自分で目標設定時に既に出来ると思っている内容ですから、達成感が薄い』ということです。あるコーチングの会社では、『現実的で、ほどほどで、無難な目標は人をダメにする』と言ってます。私も、初めて聞いた時は衝撃的でした。
実際の現場では、挑戦的な目標を設定することに対して多少のためらいを感じる社員の方々がいるのも事実ですが、ためらう理由としては、評価が下がることと失敗を恐れていることの二点に集約できると思います。
評価が下がるという問題に対しては、挑戦度の係数を使用することで解決できると思いますが、失敗を恐れる雰囲気は組織全体で変えていく必要があるでしょう。
失敗したということは、挑戦したということであって評価されるべきであり、失敗から何を学ぶかといったような建設的な組織カルチャーにしたいものです。
《目的のすり替わり》
時々、知り合いの方から(社)倫理研究所で毎月発行している職場の教養を頂戴します。1月号の記事に《目的のすり替わり》という内容のものがありました。どのような事かというと、『目的と目標を混同しないで、目的に沿った目標をたてる』ということです。まずは大きな目的があって、その目的を実現する為に複数の目標が存在するということになります。表現を変えれば、長期的な目的・短期的な目標ということですね。
職場の教養から抜粋
打開策の一例に『もう一度、目的を明確にする』という方法があります。まず最終的にどうしたいかをハッキリさせるのです。あくまでも目標や計画は『目的』を達成する為の手段だからです。
仕事や生活において、目標に重きを置くあまり、それが本来の目的とすり替わっていることはないかを、常に振り返る必要があるでしょう。
部署ごとに目的を明確にして、職務に取組んでいきましょう。
《目標設定を考える》
新年にあたって、今年の目標設定を考えている方もいると思いますので、ゴールセッティングのアプローチについて書いてみたいと思います。
【バランスのとれた目標設定】について
※設定するテーマ
①人間関係
②家庭・家族
③健康
④収入・財産
⑤社会貢献
⑥キャリア 等
※設定するテーマに対して、次の切り口で考えてみます。
①Doing (どうしたい?)
②Having(何が欲しい?)
③Being (どんな存在になりたい?)
※最後にSMARTな目標設定
Specific(具体的)
Measurable(測定可能)
Action-oriented(行動的)
Realistic(現実的)
Time-limited(時間制限)
個人の目標設定ですから、バランス良く最終結果が明確にイメージできるものが望ましいと思います。
《チームアプローチ》を考える
最近のテレビ番組で、外科医のドラマを見ることが多いような気がしますが、そう感じているのは私だけでしょうか。
医療の現場ではドラマの世界も現実の世界も同様だと思いますが、医師・看護師・麻酔師・検査技師などの医療スタッフが実に的確に判断し行動している光景を目にします。【ほとんど指示・命令なしに】働いていますし、素晴らしい成果をあげていますが、どのようにしてマネジメントしているのかを考えることがあります。
おそらく、患者様への貢献【価値観】・明確な治療方針・行動計画が医療スタッフ間で確実に共有されているのだと思いますが、この『共有』という言葉が曖昧だったりします。『共有』ってどうゆうことか解りやすく説明して下さい!って求められたらどのように答えますか?
英語のシェア【分かち合う】という意味もあると思いますが、弊社では【一緒に考え、一緒にゴール設定すること】と定義づけています。課題・問題・対策を一緒に考えることから、まずはスタートです。
古いインタビューの内容ですが、ご紹介します。
ベトナムのジャングルにおける若い歩兵大尉へのインタビューで、『この混乱した状況でどう指揮・命令しているか』との質問に対する答えです。
『ここでは、責任者は私である。しかし部下がジャングルで敵と遭遇し、どうしてよいかわからなくとも、何もしてやれない。私の仕事は、そうした場合どうしたらよいかをあらかじめ教えておくことだ。実際にどうするかは状況次第だ。その状況は彼らにしか判断できない。責任は私にある。だが、どうするかを決めるのは、その場にいる者だけだ』
《ビジョンへの参加とフィードバック》
ビジョンは、組織にエネルギーを与え、組織を動員していくためのイメージですし、力強く、統合していく力でもあります。そこで、ビジョン実現にあたって必要な【約束と責任との結びつき】・【フィードバック】ついて書いてみたいと思います。
※約束(コミットメント)と責任の結びつき
約束とは信頼に基づき行動する決心です。リーダーの仕事は約束を取り付け、約束と行動との間にどれだけのギャップがあるか語り続けることです。また、責任とは次のことを意味しています。それぞれの仕事がうまくいく責任は、一個人の玄関口で終わってしまっています。皆に責任があるということは、実は誰にも責任がないという結果になっているのです。与えられた仕事に対して責任を持つべきものが他人の支援を乞い、委員会を設置し、代理人からも助けを求めるかもしれません。しかし、最終結果に対する責任は、誰にも代わってもらうわけにはいかないものです。
※フィードバック
策定され、ファイルの中にしまい込まれている戦略行動プランは、チャートに詳細に要点が示され、それらがチームの会合や計画セッションの議論の焦点となっているプランよりもずっと成功の確率が低いといえます。
どんなに効果的な戦略行動プランでも、つねに『我々は今、目標のどのあたりにいるのだろうか』『どんな調整がなされるべきか』『どんな革新的アイディアが飛び出しているか』という質問に答えていかなければなりません。フィードバックは私たちを正しい軌道に乗せ、プラン策定時には明確でなかった新たな方法を私たちに気づかせてくれます。
ショートタイムでのフィードバックが大切です。
《目標管理とプロセス管理》
目標管理制度を導入・運用している企業も多いことと思いますが、今日は目標管理での“結果指標”と“プロセス指標”について考えてみたいと思います。
【事 例】 半期の個人売上目標 6000万円 (結果指標)
その為に毎月2件の新規顧客の獲得が必要である
このような、ケーススタディーの場合、6000万円という最終目標は明確です。次は、プロセスについて考えていくことになりますが、事例の場合には既存客の解約率が増加傾向にある為に、新規顧客の獲得が月に2件必要であることが現状分析により把握されています。最終結果の方から見ていくと、新規獲得⇒見積もり提出⇒商品提案⇒新規飛込み営業と仮定されます。(プロセス活動を少し分解してみました)
次に、現状分析により《見積もり・新規獲得率50%》《提案・見積もり成功率30%》《飛込み・提案成功率20%》のデータが有るとすれば、月2件の新規獲得のために入口部分である新規飛込み営業は何件必要なのかを把握します。電卓をたたいて頂くとわかりますが、月に約67件の飛込み営業が必要になります。これがプロセス指標ということになりますが、このプロセスを具体的な行動にブレイクダウンして管理していくことなります。
大切な事は、作りっぱなしにしないで“ショートタイムチェック”のマネジメントによりプロセスの質を高めていくことです。
もう一つは、お気づきだとは思いますが、プロセスごとの成功確率を高めるといった視点もあると思います。
《サイコサイバネティクス》
マクスウェル・マルツ博士の《サイコサイバネティクス》についてご紹介したいと思います。
【エンドリザルト】目的志向
【テレオロジカル】誘導装置
※人間は自分が設定した目標や目的に向かって行動する習性を持っている。
※目標や目的がないと、軌道修正のメカニズムが働かない。
※目標をもたないと、組織も個人も他人の管理下で生きなければならなくなる。
サイコサイバネティクスに基づいた、“目的志向”の考え方をコンパクトにまとめてみましたが、私たちは『常に目標を確保する機能』目的に向かって進む性質を持っています。私たちの人生の質や成功は、自分が充分に考えて目標設定しているか、他人に自分の目標設定を任せているか、また最悪の場合環境に委ねているかによって決まります。
このようなことは、何故私たちが明確な目標を持つことが重要なのかを示しています。目標が明確であればあるほど、正確なフィードバックがなされて、軌道修正のメカニズムが働くのです。また、目標のイメージがイキイキとし明るいものであればあるほど、私たちはその目標に向かってより早く進んでいくのです。
まずは、最終結果【エンドリザルト】としての目標から始めましょう。イキイキと鮮明に自分が欲しているものを明確に設定して下さい。
《目標管理》を考える
目標管理の一連の流れを簡単に整理してみたいと思います。
ステップⅠ【挑戦的な高い目標の設定】
挑戦的な高い目標を設定することで、現状と目標のギャップを明確にすることで《プロセス上にある課題・問題》が明確になります。
ステップⅡ【外部・内部の環境分析】
SWОT分析の手法により、組織あるいは集団の強み・弱みと外部環境の変化を把握する。
ステップⅢ【絞込み】
課題・問題の解決に向けて《何をするか》の絞込みをします。
ステップⅣ【実行計画作成】
4Pの視点『プロダクト』『プライス』『プレイス』『プロモーション』から、具体的行動(アクションプラン)にまとめる。
ステップⅤ【ショートタイムチェック】
以上のようなステップによる目標管理の運用をサポートしていますが、極めて大事なポイントは【具体的な行動】レベルに落とし込むことと、この行動を評価することでしょうか。
今日も短めの書き込みになりました。
《達成感》を考える
先週末から、社内研修でお客様のところに出張しており書き込みが出来ませんでした。複数のお客様だったのですが、研修のテーマは【目標管理と業務改善】を中心に進めました。新年度ですから、業務課題を抽出してチーム目標に落とし込んで今後1年かけて改善していく、といったものです。
今回の研修を実施しながら、私は《達成感》についてずっと考えていました。人間の動機づけとして《達成感》は、きわめて重要な要素であると、ハ―ズバーグは【動機づけ・衛生要因理論】で述べています。
子供を例にとれば、『おつかいの体験が、子供の育ちに与える影響は大きい。ちゃんと出来た、役に立てたという自信や達成感につながる』
ここで、私の悩みは『小さい目標を設定して、達成感を感じるべきか』『大きな目標を設定して未達に終わるか』です。達成感だけを取り上げれば、『小さい目標の達成感』になるのでしょうが、はたして『?』である。人はチャレンジングな目標に挑戦して、それが満たされた時に達成感を感じることが出来るのではないかと考えるからです。
もうしばらく悩んでみたいと思いますが、『しっかり出来た時に』褒めてあげる【自分で自分を褒めることも含めて】ことは、とても大切だと感じています。