組織運営」カテゴリーアーカイブ

《コミュニケーションとコーチング》

 東経大コミュニケーション学部 遠藤准教授の記事から

 スポーツを教えようとした時に、同じ言語を話す相手なのに全く意図が通じずに苦労してしまうことがよくあります。言語を共有しているからコミュニケーションが成り立つとは限らないということを、スポーツが教えてくれるのです。
 
具体的な例を挙げれば、ある選手に対して『相手のことよりもボールに集中してきなさい』と試合に送りだしたところ、試合後に『集中することに集中しすぎて、集中できませんでした』といわれ、びっくりしたことがあります。この選手は言葉よりも、身体を通じてスポーツを理解するタイプだったのでしょう。こうした本能でプレーするタイプには、言葉で説明しても混乱するだけです。
 
どうすればよいコーチができるのか、私は考えました。そして、その選手に対しては極力言葉による説明を省き、求めているプレーを実際に目の前でやって見せるようにしたのです。
 
そして『何も考えなくていいから、私がやっているとおりにあなたもやってみなさい』と指導したのです。目からの情報を自分のものにする能力に長けていたその選手は、それからぐんぐん伸びていきました。

 目からの情報処理能力・耳からの情報処理能力・言語処理能力と人によって差があること、そしてタイプに応じた対応が大切だということを教えてくれてます。

《指示待ち症》

 以前も書き込みましたが、再度です。

 少し古いですが朝日新聞に掲載された65歳の女性からの投書です。
 『斬新なコスチュームに身を包み、街角でたばこの新製品を配っていた若い娘さん。杖をついてあるいていた夫に手渡そうとして「失礼ですが、二十歳をすぎていらっしゃいますか・・・・」  夫は75歳です!』

 マニュアルに忠実な若い女性のことを話題にしていますが、色々と考えさせられるテーマです。
 私が疑問に感じるのは、いくらマニュアルに書いてあるとはいっても『杖をついている75歳の人に向かって』「二十歳を過ぎていらっしゃいますか」とは如何なものだろうか?ということです。
 
 昨日の新聞に“イオン”の広告が大きく掲載されていました。
 
 イオンは、酒類、たばこ販売におけるタッチパネルでの年齢確認の方法をあらためます。
 これまで、明らかに二十歳以上とわかるお客様にも
 タッチパネルでの操作をお願いしていました。
 お客様にはお手数をおかけしていたことを深くお詫び申し上げます。
 今後はタッチパネルの操作に頼らず
 従業員がお客様とのコミュニケーションを通じて判断させて頂きます。

《医療・福祉施設の離職率》

 ここのところ医療・福祉施設の求人難と離職率の高さが、お伺いする法人でお話をされますが、最近厚生労働省の『雇用動向調査』が発表されましたので内容を少し確認してみたいと思います。

 データは、男女別で年齢別の入職率と離職率です。

≪男性≫
福祉分野 24歳以下 入職率63.0 離職率16.4  30歳代 入職率16.1 離職率17.0 
全 産業 24歳以下 入職率42.7 離職率25.0  30歳代 入職率10.6 離職率10.7

福祉分野 40歳代  入職率14.8 離職率14.1  50歳代 入職率17.3 離職率17.0
全 産業 40歳代  入職率 7.2 離職率 7.7  50歳代 入職率 5.7 離職率 7.0

※男性の場合は、入職率は高いのですが30歳代からの離職率が全産業と比較すると高くなっています。報酬面や人材育成といった視点での強化が必要でしょうか!

≪女性≫
福祉分野 24歳以下 入職率36.5 離職率20.5  30歳代 入職率16.6 離職率16.1
全 産業 24歳以下 入職率44.9 離職率30.4  30歳代 入職率17.3 離職率17.3
福祉分野 40歳代  入職率19.2 離職率12.7  50歳代 入職率13.8 離職率13.7
全 産業 40歳代  入職率15.0 離職率12.8  50歳代 入職率 9.0 離職率10.7

※女性の場合には、全産業と比較して離職率は高くありません。

 人事課題としては、男性職員の定着率をいかに高めていくか?ということになりますね。   

《トップダウン型組織とボトムアップ型組織》

 前回は、株式会社武蔵野の小山社長の組織運営についてご案内致しました。今日はもう少し考えてみたいと思います。

 小山社長のスタイルは、トップダウン型組織運営で“社長の決定を伝え、社員はそれを実施する”といったものでした。
 特徴を整理してみると、
※トップが組織の力を使う
※管理階層が増える
※管理資格に年功を尊重する
※過去の事実や統計を重視する
※ひとり一人の責任感が欠如する
※新しいことに取組まなくなる
※トップだけが責任を負う

 一方、責任の分担や参加を重視したボトムアップ型組織運営の特徴といえば
※個人と組織のバランスが取れている
※リーダーシップと能力は全ての人が持っている
※急変する環境の変化に柔軟性を持っている
※リーダーは、部下の仕事を助ける役割がある

 トップダウン型もボトムアップ型もそれぞれ大きな価値を持っています。組織運営には両方が必要なのだと思います。両方の良い部分を統合させ効果をあげることが大切なのです。

《優秀な人などいらない!》

 株式会社武蔵野の小山社長の著書に“優秀な人などいらない”という内容のコラムが掲載されていましたのでご案内します。

 中小企業にとってもっとも必要な人材は『社長の決定を忠実に実施してくれる人』です。もっと言えば、それに向かって汗をかいてくれる人です。
 頭がいいとか、アイデアをいっぱい持っているとか、企画力に優れているなどを私はまったく重視しません。いくら能力があっても、社長の決定を実施しない人は会社の足を引っ張るだけだからです。なまじ能力がある分、会社は多大な迷惑を被ることになります。
 中小企業の社長と幹部は、まずそこを理解するべきです。
 たいていの会社は優秀な人材を求めます。しかし『社長が決定し、社員はそれを実施する』という基本において、それが中小企業をうまく機能させる構造です。
 会社がうまくいかないのは『社長の決定に問題がある』か、『社員が実施していない』かのどちらかです。『優秀な社員がいるか、いないか』ではありません。
 大切なのは優秀な人を採ることや、会社に引き留めることではありません。
 そこそこの人材でいいから、しっかりと汗をかいてくれる人を集めて、みんなを同じ方向に引っ張っていくことが重要です。

 社長が戦略を決定し、ベクトルをあわせて愚直に実施することなんでしょうね!!

《フラット化した組織》

 『組織のフラット化』が以前流行りました。これは、階層を減らすことでスムーズな意思疎通や柔軟な人員配置を可能にすることが狙いでした。
 
狙いが実現できたかどうかは別問題としても、いまや単なる『フラット化』は、その弊害のほうが大きくなってきているように思います。

単純なフラット化が進むと、上司が管理すべき部下の数が増え、すぐに管理不能になります。加えて柔軟な人員配置を実践していくと、現場の管理職にとっては、部下が何をしているのかわからない状態になります。
 
この間『リーダーシップのスタイル』も変わってきました。『指示・命令し統制する』というスタイルから『目標を共有させ、動機付けし、支援する』というスタイルに変わってきています。後者のスタイルを実践する為には個々のメンバーとの接点を深めることが求められますが、管理不能な数の『部下』を抱えている中で、このスタイルを徹底することは現実的ではありません。
 
これといった解決策も持たないのですが、ミドル階層の企画力・実行力が競争優位を決める時代です。組織力に不安がある場合には、命取りになる前に『組織の立て直し』に取り組むべきです。

《指示する》

 11月8日付の読売新聞の記事からです。

 指示は『くだす』よりも『仰ぐ』ほうが気楽なのは誰でも知っている。作者不詳の古い歌にある“笛吹かず太鼓たたかず獅子舞の後ろ足になる胸の安さよ”
 それでも誰かが笛を吹き、太鼓をたたかねば組織は動かない。人並み外れて能力が高い人のつらいところである。
 多くの人命を預かる海運の世界には『船長は胃潰瘍になって一人前』という言い回しがあると聞く。ましてや宇宙での仕事となれば、神経のやすまる暇はあるまい。

 宇宙ステーションに滞在しているチームリーダーとしての若田光一さんへのエールなんでしょうね。
 
 最近の若者たちの傾向として、リーダー・副主任・主任といった辞令に拒絶反応があると聞きます。まさに獅子舞の後ろ足でいることを選択しているのでしょうが、なんとも困った問題です。制度設計をしている身としては、役職を魅力的なものにしたいと悩んでいますが、これといった妙案がありません。
 
どうしたものか!!

《最近の人手不足》

 今週は、宮城県・岩手県と出張しています。復興地域ですが、昨日は午前中少し時間があったので地元のハローワークに寄って“求人情報”を頂いてきました。仮設のハローワークでしたが、なんだか活気がありましたね。

 興味があったのは、医療・福祉の求人情報だったのですが、“介護職” “看護職” “ケアマネ” 等の求人が病院・特養ホーム・老人保健施設からたくさん出ていました。特に“看護職”の求人が多かったです。私は、東北を地盤にして活動をしていますが、ほぼ全域で医療・福祉での人材不足の状態を実感しています。人材不足の原因はとして、一つは“職員の離職”といま一つは“施設の増加”にあると考えています。それぞれの施設に待機者が行列をしている状況の中で、“小規模特養の新設” “サービス付き高齢者住宅の建設”のようなスタイルで対応がなされています。当然介護職員・看護師が必要になりますが、追いつかない状況なのだと思います。2025年まで高齢者の増加が予測されています。平均寿命が延びればも少し先まで増え続けるのでしょう。一言で表現すれば、需要と供給の関係なのだと思います。

 もう一つの原因になっている“職員の離職”ですが、3年以内離職率30%は少し高いように感じます。年間数%程度の離職率は組織の新陳代謝に必要だと考えていますが、現状は高すぎます。毎年複数のお客様の職員と個別面談していますが、若い職員・最近入社職員の意気込みや熱意には、“やる気”を感じるのですが、2年・3年経過する中で無力感を体験し離職するのでしょうか?何とかしたいですね!!

 対策として、“全員正職員化” と “ファシリテーターの養成”を提案しています。
 

《職場での同僚でのゴマすり》

 人生相談Q&Aに“職場での同僚のゴマすりがたまらなくイヤだ”という内容のものがありました。少し関心をもったのでご案内します。

【質 問】
 たいして能力もない同僚が、ひたすら上司におべっかを使い、出世街道を走っています。それに引きかえ、是非を明確にしないと気のすまない私は、上司から評価されません。こんな会社辞めてしまおうと思いつつ、悶々と日々を送っています。  K・Aさん 31歳

【回 答】
 K・Aさんの筋を通す生き方も立派ですが、現実社会では、このような人は嫌われます。会社人としての実力とは、上司・同僚・部下との対人関係における表現力でありコミュニケーション力といっても過言ではありません。特に営業・販売・広告・渉外等という分野では、誠心誠意ゴマすりを行うのが仕事と言えます。
 仕入や資材や経理部門なら、まだそれほどゴマすりは必要ないでしょう。しかし、会社が人間関係によって成り立っている限り、多かれ少なかれ、ゴマすり的要素を抜きにしては仕事はできません。これは、どんな会社に移っても同じことです。
 ただ問題となるのは、上司にだけ偏ったゴマすりです。それは同僚や部下が不愉快な思いをするからです。上司にも、同僚にも、部下にもまんべんなくゴマすりができて、しかもそれが持続するのが本物のゴマすりです。そういう人は、皆から愛されて必ず出世します。
 ところで、K・Aさんは、ゴマをする人の苦労や大変さを御存知でしょうか!ゴマをするとは大変ストレスのたまる行為です。相手の我がままを認めたうえで、それを和ませる集中と話術と礼節の要る行為なのです。
 ですから、ゴマも一人前にすれない人が、ゴマすり人間の苦労や努力も知らず、それを批判するのは言語道断だと思います。単にそれは、その人の出世をねたむ嫉妬だと思いませんか。

《指示待ち症候群Ⅱ》

 指示待ち族がどのようにして発生するのか、上司側から考察してみよう。
 まず、指示することが上司としての役割だと思い込んでいることに一つの原因を見出すことができる。さらに、部下は、指示するとその通り動き、教えるとその通りわかり、説明するとそう思い、世話をやくとうまくいく、そう思い込んでいるからであろう。けっしてそうはならないのに、である。それどころか多くと場合、逆の結果を生み出しているのに、である。
 指示とは、一言にして切り捨てれば、人々の主体性を奪うことである。指示によって人々を動かすことが、『指示待ち族』を量産しているのである。指示待ちは、けっして人間の本性ではない。作られたものである。
 小さな子どもを見れば一目瞭然であろう。彼、彼女らが、誰かの指示を待っているだろうか。次が次へと自分で動いて、親の方が振り回されているではないか。それが幼稚園に通い出すと、少しずつだが様子が変わってくる。そして成人式を迎える頃には、立派な指示待ち族となっているわけである。
 上司から指示されると、部下は動かざるをえないから動く。動く範囲は、主体性がないので指示内容が作用するところまでである。動きが不十分な場合には、また指示の追加がなされる。これを繰り返していくとどうなるか。
 前にも指示されて動いたのだから今度も指示によって動く、ということになる。つまり、指示されるまで待つことになる。そこで上司は、また指示する。上司も部下も、このようになるのは当然のことだ。
 この悪循環が定着し、体質化してしまったのが『指示待ち』と言われる状態である。

 “人を人として” 藤田英夫著より