組織運営」カテゴリーアーカイブ

《良いところを見つける》

 どんなに不快な物事にも良い面はあるものだ。正しい判断力でよいところをすぐに見きわめよう。蜜バチは甘い蜜にまっすぐに向かい、毒ヘビはその苦い毒に酔いしれる。人も同じだ。良いところに目がいく人もいれば、悪いところに目がいく人もいる。
 良いところがたくさんあるのに、そこからたった一つの欠陥を見つけ出す天才も中にはいて、その欠陥をあげつらう。なんとも情けないこの人たちは、そのまずい選択をした罰を受けているのだ。欠点を探し回るのではなく、どんなことにも良いことのかけらを見いだせるほうが幸せなのに。
 どれほど不運であっても、その中にまばゆく光る幸運をひとつみつけよう。たまたまそこにあっただけだとしても、その幸運に着目するのだ。正しい判断と選択をしたことで必ず報われる。
 『賢人の知恵』パルタザール・グラシアン より 
   

《人間関係》

 まずは、次の文章を読んでみてください。

 お客様として招かれれば、誰よりも先にそこのお酒を褒めたたえ、御主人と並んで控えながら『あなたもナカナカ美食家ですね』といい、食卓の上から何か一品取り上げ『これはまたなんとも素敵な品ですね』ともいう。さらに、寒くはないでしょうか? 何か掛けたくはないでしょうか?
私が着せてあげましょうか!とうかがい、加えて、そのようなことを口にしながら相手の耳元へ身をかがめてこそこそと密談もするし、他の者としゃべりあう時も御主人のほうへ目を注いでいる。
 劇場では、小者から座布団を奪い取って、御主人の為に自ら敷きならべる。
 また、家が見事だとか、屋敷の植え込みが上出来だとか、彫像が生き写しだとか愛想をいう。

 お世辞、へつらいの人間関係のみごとな描写ですが、この文章から何を連想されるでしょうか。実力者の前で揉み手をしている代議士か。社長に呼ばれた重役か。煙草をくわえた上司にさっとライターを差し出すサラリーマンか。この文章は現代社会の人間関係の一面をあざやかに描いています。しかし、この文章はじつは二千年以上も昔にギリシャの哲学者テオフラストスの『人さまざま』からの引用なのです。

 科学技術は大変な進歩をしてきているのに、《人間関係》というものは二千年前と比べてあまり進化していないように感じるのは私だけでしょうか。コミュニケーションと言われるものは、普遍的な要素をもっているのでしょうか。最近ちょっと疑問に感じたことを書いてみました。

《タイムマネジメント》

 タイムマネジメントは、私たちにとって大きなテーマです。今日は、少しタイムマネジメントについて考えてみたいと思います。

※まずは【80対20の原則】
 この考え方は、ほとんどの組織で【結果の80%は活動の20%から生み出される】、従って必要な活動を決める為には【結果に対して最大のインパクトをもつ】この20%が何かを見極めればよいということになります。
 以上の考え方に基づいて二つの視点からみてみると、第一に、する必要のまったくない仕事、いわゆる、いかなる成果も生まない完全な時間の浪費であるような仕事を見つけて、それを捨てなければいけません。そのような浪費を見つけるには、仕事の棚卸(記録)に出てくる全ての仕事について、『まったくしなかったらば、何が起こるか』を考えればいいのです。『何も起こらない』が答えであるならば、明らかに結論は、その仕事をただちに止めよということになります。
 第二に、『他の人でもやれることは何か』を考えることです。平易な言葉を使えば『他人に任せられる仕事を探す』ことですが、自らが行うべき仕事を任せるのではなくて、まさに自らが行うべき仕事に取り組むために、他の人でも出来ることを任せることは、タイムマネジメントで重要なポイントです。

《努力の方向》

 今週も出張の多かった一週間でしたが、今日事務所に出社すると毎月楽しみにしているダスキンさんの“喜びのタネまき新聞”が机の上に有りました。今月の社長の記事が《努力の方向》でした。納得感の高い内容でしたのでご紹介致します。

 ロンドンオリンピックでの日本人選手の活躍は素晴らしかった。選手はみんな大きな期待を寄せられての参加で、かなりのプレッシャーの中での競技であったにちがいない。オリンピックまでの4年間をどのように過ごしたかの成果が出る集大成の日。楽しいことは少なく苦しい練習に耐えてその場を迎えていた選手を見ていると、『必死に頑張って、ここまで来たのだな』と、心からの拍手を送った。出場できるほどの選手はだれも、練習時間と努力にそれほど差は無かっただろう。しかし、勝者と敗者がハッキリと現れるのがスポーツであり、結果として勝者と敗者に分かれる。
 この違いは何だろうと考えていて、高校時代の恩師である監督のことばを思い出した。
 『努力することは大切だ。けれども創意工夫し、成果のでる方向で努力しないと結果は出ない。歩いて大阪から北海道を目指した時、北に歩いた人と南に歩いた人の費やす時間と努力は同じでも、北に向かって歩いた人にしか成果は出ない』
 一生懸命努力したのに自分の思ったような成果が出ないときは、努力が足りないのではなく、努力の方向(仕方)を変えることが大切だ。
   
 株式会社 ダスキン社長 山村輝治

《叱る、ためらう上司・親》

 読売新聞の記事から

 部下を叱らない上司、子供を叱らない親・・・・・。
 職場や家庭で“叱る”という行為が敬遠されるようになってきている。しかし、叱ることが必要な時もあるはずだ。失敗を成長につなげるような叱り方を心がけたい。
 『部下の話は、きちんと傾聴するよう厳しく言われています。かつてのように、部下をどなりつけることなんてもうありませんね』通信会社の課長は自嘲気味にそう話す。部下がミスをしたら叱るのではなく、まずは言い分を聞く。『無責任な言い訳ばかりで腹がたつこともありますが、ジッと我慢ですね。パワハラで訴えられたら大変ですから』と語る。
 日本能率協会の部下に対する接し方調査によると『どちらかといえばよく部下を叱責する』と答えた人は、5%に過ぎなかった。『叱らなくなった理由の一つがパワハラを巡るトラブルの増加』と指摘する。
 職場だけではない。子育て中の親子のマナーで気になることのアンケート調査では、最も多かったのが『子供を叱らない親』だった。明治大学教授の諸富祥彦さんは、『職場や家庭でも、褒めることがとにかく推奨され、叱り飛ばすことは厳禁、というような風潮が広がっている』と指摘する。また、『改善すべきことが有る場合には、褒めるだけの指導ではなく、きちんと叱ることも必要』と語る。
 教育評論家の親野智可等さんは、『子を思う気持ちを言葉に乗せることが大切。愛着があるからこそ、叱っている。その気持ちが相手に伝わるといい』と話す。 

《ヒントは現場に》

 我社の第一線で起きていることを、経営者は分かっているのだろうか。現場で起きていることがスピーディーにトップにフィードバックされているのだろうか。

 このような疑問が時々起きます。
 私は、社員の方々と個別面接を仕事で受けることが有ります。社員の方・私・会社のトップの方と通常は三人で面接を進めます。簡単なコミュニケーションシートを使用して社員の方に質問をする形で実施するのですが、時々トップが『えっ』ということが起きます。『現場でそんなことが起きているのか!』ということですが、【社員の人間関係】【お客様のクレーム】だったりします。私が、判断しても“これはマズイな”と感じるものもあります。現場とトップの距離が遠くてタイムリーにフィードバックがなされてなかったり、ミドル階層の社員のところが詰まっていたり、報告のシステムが機能していなかったりというのが原因のようですが、ある日突然【退職】【大クレーム】【事故】等というように“トラブルとして見える形の現象となってしまいます”
 
 小売業であれば、店舗に行きお客様の行動や社員の行動を観察する。工場であれば、作業者の作業方法や仕掛品の量、管理方法をチェックするなどして、現場で実際に社員の人間関係や仕事ぶりを確認することが大切だと感じます。
 
 年一回程度の個別面接も極めて有効です。

《組織の部分最適・全体最適》

 今日は、組織の部分最適と全体最適についてまとめてみたいと思います。

 【部分最適の組織】
※スループットを向上させるために部分的な組織活動や個人の努力に焦点をあて、業績の総和を求める
※各組織・個人に目標や評価尺度を与え業績の達成を促す
※全体の統制や活動の同期をとるために、各組織・個人の活動を綿密に管理しようとする
※業績評価の基準は複雑・緻密か、もしくはどんぶり勘定であり納得感が低い
※常に価値ある行動をとるように促し、細部にわたり社員の行動や思考を管理・規制しようとする
※常に余裕がなく、失敗やリスクはダメージを与える

 【全体最適の組織】
※経営業績(成果)を向上させるために、組織活動が簡潔に統合されている
※経営システムの制約条件を活用し、組織能力を継続的に改善する
※制約条件を徹底的に管理し、他の全てをそれに従属させるが、それ以外の管理は緩やか
※業績評価の基準はシンプルである
※行動の自由を許容し、社員は自発的に協力する
※組織に余裕が有り、失敗やリスクにも耐えられる

《ニュートン的組織・ホワイトヘッド的組織》

 組織の形態をアイザック・ニュートン的考え方と、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド的考え方の二つの特徴を比較してみたいと思います。

 【ニュートン的リーダーシップの考え】
 ① 人は怠惰で能力は低い
 ② 管理は上から成される
 ③ 権威者だけが責任を持つ
 
 ニュートン的考え方の影響は次の点に見られます。
※個人が組織の力を使う
※管理組織階層が増える
※管理資格に年功を尊重する
※過去の事実や統計を重視する
※ひとり一人の責任感が欠如する
※新しいことに挑戦しなくなる
※リーダーだけが、責任を負う

 【ホワイトヘッド的リーダーシップの考え】
 ① 人は創造的で革新的である
 ② 管理は『参加』で行われる
 ③ 責任は分担する

 ホワイトヘッド的考え方の影響は次の点に見られます。
※個人と組織のバランスが取れている
※リーダーシップと能力は全ての人が持っている
※未来はまだ決まってはいない。私たちが創り出していく
※急変する世界の成長と発展に、柔軟性が必要である
※リーダーは部下の仕事を助ける役割がある

 ニュートン的な考え方も、ホワイトヘッド的な考え方も、それぞれ大きな価値を持っています。私たちには両方が必要です。仕事・生活の中で両方の良い部分を統合させ効果をあげることが大切です。

《役割分担と協調性》

 ここ最近オリンピック競技がテレビで連日放送されています。日本選手も頑張ってメダルを獲得していますが、予定より金メダルの数は少ないようですね。
 ところで皆さんは陸上競技の“リレー”で不思議に感じたことはありませんか?
 例えば、“400メートルリレー”にしましょう。一人100メートルずつ役割分担をして4人で走る競技です。仮に、一人100メートルを10秒で走ることが出来るとすると、400メートルリレーの結果は40秒となるはずです。ところが興味深いことに39秒とか38秒といったように40秒を下回る記録になるのです。
 どうしてこのように不思議な事が起きるのでしょうか。これには“バトンゾーン”が影響してます。走者と走者がバトンを引き継ぐゾーンです。いわゆる【共有ゾーン】ですね。
 これを仕事に置き換えてみると、組織のなかでは『組織目標の達成にむけて一人ひとり役割分担』をしながら活動しています。この役割分担を厳格にしすぎると【共有ゾーン】がなくなって、ギスギスした連携の悪い組織になります。逆に役割分担が緩いと“他人への依存”が生じて個人の力が充分に発揮されないということが起きます。
 組織運営にあたっては、重要なポイントになりますね。

《メンタルヘルス》を考える

 メンタルヘルスに関する記事が紙面を賑わせるようになって大分なりますが、今日は『メンタルヘルスのチェックポイント』をご案内したいと思います。

 【チェックポイント】
※慢性的な長時間残業(月80時間以上)が続いている。
※勤務シフトが昼夜逆転しているなど、体調管理が難しい。
※作業環境が高温多湿・酷寒など劣悪である。
※重たい荷物を運ぶ作業や力仕事など、慢性的な重労働が続き、身体への負担が大きい。
※ハラスメントを繰返す社員がいたり、いじめが頻発している。
※トラブルメーカーの社員に振り回されていたり、人の入れ替えがはげしい。
※本人の適性を無視した配置転換が常態化している。
※リストラ・組織変更などが頻繁に繰り返されている。
※性別によって処遇が異なるなど不公平な処遇が常態化している。
※常に実現不可能なノルマが課されている。
※評価制度が機能しておらず、組織の方向性も不明瞭である。
※業務の裁量の幅が狭く、発展性がない。
※本人の意向を無視した転勤、出向、解雇などが繰り返されている。
※顧客等から無茶な要求やクレーム、罵声や叱責を受ける機会が多い。
※違法行為を強要されることがある。
※人の命にかかわる仕事など、常に大きな緊張感にさらされている。
※一歩間違えば大きな事故につながるなど仕事の責任が非常に重い。
※常に締め切りに追われ、余裕がない状態が続いている。
※慢性的に忙しく、有給休暇がまったく取得できない状況である。

 名古屋市のホームページから抜粋しました。
 以上のような要因を少しでも減らすことが、ヘルス不調を防ぐ組織対策につながっていくものと思います。