組織運営」カテゴリーアーカイブ

《離職率を考える》

 今週・来週と施設にお伺いして“職員個別面接”の業務が続きます。今日は岩手県の社会福祉法人I会で9時~17時まで、職員一人20分の持ち時間で実施しておりました。

 面接は、私と職員と施設長の3者面接で行っていますが、チャレンジ目標シート・業務質問表の二つのシートを使用して進めていきます。目標シートについては、上期の内容の確認が中心になりますし、業務質問表は日常業務での問題点を事前に記入した上で面談に臨んで頂きます。

 ここの施設では4日間で約100名弱の職員と個別面接を行いますが、実施するようになってから早10年程になります。御一緒して頂きます施設長も二代目になりました。最後に必ず施設長から一言を頂戴しますが、施設長にも大変御苦労をかけています。

 最近、医療・福祉法人の離職率が取り上げられますが、ここの法人は今年は4月以降【離職者0】だそうです。1年1回の面接ですが、毎年同じ顔ぶれです。離職率が極めて少ない状況です。丁寧な面接が直接的な要因だとは申しませんが、トップが定期的に職員の話を聴くという姿勢はとても大切なのではないかと、痛感しています。

 しばらく面接が続きますが、楽しみながら実施したいと思います。

《管理職になりたくない若手》

 最近多くの組織で起きていることとして、【管理職になりたくない若手】問題があります。

 例えば、管理職の若返りを図るために、若手社員を昇進させようと辞令を出す前に打診をしますが、辞退者が続出してしまうといったようなこと、皆さんの周りでは起きていませんでしょうか!

 ある調査によると、就職3年前後の社員の約4割が『昇進したくない』と考えているそうです。

 かつての≪昇進≫は、報酬が増え権限も増し、また部下も増えて社員の動機づけとして大きな影響力がありました。

 しかし最近は、報酬が変わらず責任ばかり増え、部下もいない『名ばかり管理職』が増えています。

 昔のような『昇進の旨み』は求められないでしょうが、働き甲斐や未来が無くモチベーションを喪失した職場になってしまうことは大きな問題です。そこで確認してみなければならないことは、自社の経営方針・経営戦略は分かり易く明確になっているでしょうか。さらには人事制度が、それを担える人材を評価し、育成し、処遇や報酬で報いる仕組みになっているでしょうか。

 働く人の意識は敏感です。働き甲斐がないと言われたら、【原因は社内にあり】と考えてみるべきでしょう。

《ルールの複雑怪奇》

 働く人々が会社の組織を時と共に重荷に感じるようになっていく理由のひとつには、会社の設立当初に組織の基本要素【ルール・仕組みなど】が設計され、その基本要素がなかなか変わらないというところにあります。組織はまず、その設立時点の環境【労働市場・社会慣行・顧客の嗜好など】に合わせて創ることになるわけですが、時代が進むに従い当然環境は変わってきます。

 消費者の嗜好はスピーディーに変わり、労働者たちの職業意識も変わります。このように外部環境はどんどん変化しているのに、組織や制度はなかなか変わらないのです。

 いったん過去に創られたルールや仕組みは、年を経るごとに捨てにくくなり、とりわけ、そのルールや仕組みが自分たちの成功の源泉だと信じ込んでいたとしたら、捨て去るのは難しいですし、ましてや創業社長や伝説的な人物たちが考えた仕組みであったりすれば、なおさらのこととなるでしょう。

 もちろん環境の変化に対して会社は何もしないわけではないのです。古いルール仕組みをそのまま残しつつ、新しいルールや仕組みが追加的・部分的に付け加えられるといった手法を取ることになるのです。こういったことを繰り返すうちにルールや仕組みが複雑怪奇化していってしまうのです。

 望ましくは、古いルールや仕組みを捨て去ってシンプルな新しいルールや仕組みを創り込むことなのですが、現場に伺うとナカナカ出来ていない現実と出合います。

《銀座のママさんの人材育成》

 ナカナカ参考になります。

 働く年数が増えてくると、だんだんと人に教える機会が増えてきます。
 
 『どうしたらもっと上手に教えられるんだろう』といろんな本を読むようになったのですが、どの本を読んでみても『部下を伸ばすためにはとにかく褒めること』という内容が多いのです。
 
 ただ、精神的にも若かった私は『こんなの無理だよ。褒めるところがない子も褒めなきゃいけないってことなの?』と友人にグチをこばしたことがあります。
 
 すると友人は『褒めなくていい。認めればいいんだよ。例えば≪笑顔であいさつ出来るようになったね!≫って事実を口にするだけでいいんだよ』とアドバイスをくれました。

 無理にいいところを見つけてベタ褒めするのではなく、『仕事を休まない』 『必ず時間を守る』と、出来ているところを認めるようにしました。

 今でもそのスタンスは変わりませんが、人とのコミュニケーションを取るには、そうして相手のことを認めることが大前提なのだと思います。

 “銀座の教え”という本のなかの一節ですが、私も共感しました。≪事実を認めること≫が大切なのだと思います。

 

《組織活動》

 弊社のお客様は、社員数1名~数百名規模までで業種も様々です。社員数3・40名規模であれば、しっかりした“戦略”と“計画”を策定して丁寧に経営を行っていけば安定した事業運営が可能と考えます。学校で例えれば、教師が1クラス管理・運営をするイメージでしょうか!

 ところが、社員数が50名を超え100名、200名と増えていく、あるいは増やしていこうと考えている場合には《組織活動》に注意を向けなければいけません。
 ポイントは4つです。

※役割分担(適材適所の人材配置)
※モチベーション(社員のモラルの維持)
※制度の構築(人事制度・報告の仕組み・情報共有等)
※リーダーシップ(ビジョンリーダーの存在)

 組織を永続させるために必要な要素を挙げてみましたが、どこかに問題(故障)があると上手く機能しません。定期的に4つの部品をチェックして故障があればメンテナンスを施す必要があります。

 将来的に事業規模の拡大を考えている場合には、組織の管理と運営という課題に早めに着手する必要があります。 

《就業規則を考える》

 『みんなの就業規則』から  下田直人・日比野大輔共著

 一般的に就業規則は企業秩序の確立と維持、そして労働時間や休日、賃金などの労働条件の明確化のために作成されます。

 労働条件がはっきりしなければ、どのように働き、いつ賃金がもらえるのかなど不明瞭であり従業員は困ってしまいます。それについては、労働基準法でも就業規則の中で必ず明示する事項として定められています。

 もう一つの作成目的は、会社という人の集合体が、集団としての望ましい状態を保つためです。その為には、一定のルールを確立する必要があるからです。これが、『服務規律』『懲戒処分』などという項目でルール化されています。

 これらが一般的な就業規則の作成目的です。この作成目的、つまり『何のために作るのか?』の部分が実は非常に重要です。ここに会社の考えが落とし込まれるからです。しかし、現実にいろいろな会社をみていると、この目的が抜け落ちてしまい、ただ就業規則を作成することが目的となってしまっているのです。

 また、作成目的が明確になっていたとしても『会社にとって不都合な従業員をうまく処分できるように。できれば、会社から去ってもらうことができるように』ということが主目的になっている会社が多いようにも思えます。そのために、禁止事項としての『服務規律』を詳細に定め、それに違反した場合の懲戒処分をこれまた詳細に定めます。あたかも従業員は放っておけば必ず悪さをするので、会社が先回りして禁止事項を定めておき、厄介な事に巻き込まれないようにするためにルールを定めているように思えます。もちろん、就業規則を作る目的は会社によって様々ですし、いかなる目的があろうが否定しません。しなしながら、私たちは『経営者が従業員と一緒に会社というコミュニティー発展のために活動していく』ことが経営者も従業員も幸せになる道であると信じており、就業規則もそこにつながってく必要があると考えています。

 規則で縛る・罰する⇒コミットメント(参加)⇒共生へ と組織運営の手法が変化してきているのだと感じました。
 まずは、経営理念を第1条に
 服務規則は社員に考えてもらう
 丁寧な社員説明会の実施
 以上のような改正ステップをふむようです。
 

《報告・連絡》

 新入社員向けの研修の為に職場のルール・マナーについての本を二冊ばかり購入して読んでいますが、内容がシンプルで分かり易いです。

 今日は、その本から≪報告・連絡≫のポイントを御案内します。

【報告・連絡のポイント】
※結論から先に
 まず結論を、次にその経過を述べる。

※事実のみを
 事実を正しく伝えること。
 あなたが“感じたこと” “思ったこと”は個人的見解であることを区別して伝える。

※情報は整理して
 ダラダラと長くならないように短く、分かり易く。
 文章やメモにする場合も要点をスッキリと。

※プライベートな事や内密のことは第三者のいない場所で報告します。

 報告は、≪指示・命令≫に対するものですが、一つ言って三つ理解する人、一つ言って一つ理解する人、三つ言って一つ理解する人と様々です。部下をしっかり観察して的確な指示・命令を心がけたいものです。

 

《原点回帰》

 最近の考課者研修や役職者の研修で確認している言葉に《原点回帰》という内容があります。私の好きな言葉の一つで、日頃大切にしようと考えています。

 研修では、ケーススタディーを使って進めていきますが、以下のような内容です。

 朝の洗顔時に一人ひとりにゆっくりと時間が取れないので、利用者の整容・整髪が雑であり特に目やにや耳の後ろの汚れを午後に確認することが多い。  (ある特別養護老人ホームの個別面接での話です)

 面接の際には、何か問題・要望等があれば持ってきていただくように話をしていますので、面接時には色々な話がでてきます。

 研修先法人で、このような事例をお話しすると『うちでも同じようなことが起きていると思います』との回答が返ってきます。それに、数十名の方々と面接をしましたが、先程の問題を書いてきた人は“たった一人だけ”ということと、最近入社したばかりの“若い女性の方”ということを付け加えます。

 多くの職員が同じ状況を目にしていることと思います。ここに大きな問題があると思うのですが、それは《慣れ》・・・・。《慣れ》というものは、プラスもあればマイナスもあります。事例の場合には《慣れ》がマイナスに働いているのでしょう。環境に慣れてしまって目が曇ってしまったのでしょうね!注意しなければならないと思います。時々《原点回帰》が大切なのだと思います。

 《原点回帰》の為に私は“整理・整頓・掃除をすること”に気を付けるようにしています。
 

《指示待ち》

 『最近の若者は何を考えているのかわからないです』と、お伺いする企業の役職者(特に50代)からよく出る言葉です。役職者として部下の育成・指導が役割である上司の切実な悩みなのだと感じます。一昔前に我々世代が先輩から同様の言葉を受けたのだとは思いますが、『ジェネレーションギャップ』として片付けるには問題が残りそうです。

 最近の若手社員の傾向は、『特に意見がない』『考える余裕がない』『目上の人に言いづらい』『否定されて傷つきたくない』等様々な理由で、自己主張が弱いような気がします。いわゆる《指示待ち人材》です。

 気持ちは理解できますが、社会で求められるのは《自分で考え行動できる人材》です。常に上司の指示に従い、言われたことをやるだけでは成長できません。

 経験が浅くても、自分なりに考え、愚痴や批判ではない意見を持ち、勇気を出して伝えると相手からの反応があり、自分の評価がわかります。厳しい評価にガッカリすることもあるでしょうが、これが成長への第一歩なのです。指示待ちの人材は、指示されたことを行動することは出来ていますから、自分で考えるということが加わると望ましい人材へ変化するのです。

 一言で“自分で考える”といっても簡単ではありません。まずは、人生においても一日の長のある上司を尊重し、話をしっかり聴くことです。わからないことがあれば質問し、任された仕事の目的や上司の意図を深く理解するのです。その上で『自分ならどうするだろうか』と考える習慣を身につけることが大切になるのです。

【実行力】と【問題解決能力】を身につける努力をしましょう。

 

《長所伸展法》

 故船井幸雄氏が唱えていた考え方に≪長所伸展法≫があります。私が船井幸雄氏の本を読むようになって二年ぐらいになりますが、百円本を中心にして数十冊読みました。それぞれの本のどこかで『長所伸展法』に触れているような気がします。

 長所伸展法とは、長所とか強みを徹底して伸ばしていくという方法で表現のとおり実にシンプルな考え方です。逆は、短所矯正法になるのでしょうが、私たち昭和生まれが経験した教育方法のような気がします。このような思考習慣がしっかりと身についてしまって、意識して直そうと努力するのですが、未だに欠点・弱みに視点がいったりします。

 P・ドラッカーはもう少し強烈に表現しています。
 『短所・弱みは直らない』と・・・・。
 長所を伸ばしていくと短所が消えていくのだ、と表現しています。

 山本五十六の名言『やってみせて・・・・・』と併せて人材育成の大切な視点ではないでしょうか。
 
 最後に心理学からのアプローチを紹介して終わりにします。

 応用行動分析では分化強化という手法をつかう。望ましい行動ができたら褒めるなど報酬にあたるものを与え、その行動を繰り返すことで、望ましい行動を強化していく。望ましい行動以外は消去することで、望ましい行動だけが残るようにする。問題行動にターゲットを合わせた応用行動分析を行うということが現実的な選択肢だと考えられる。

 問題行動改善の一つのアプローチですが、人材育成への応用もあるように感じました。