組織運営」カテゴリーアーカイブ

《組織運営を考える》

 何らかの目的を実現する為に人々が集まった時に“組織”が形成されます。なんの目的もなく人々が集まった場合を“烏合の衆”と呼ぶのだそうです。

 今日は、組織と組織を構成する個人との関係・関わり方について考えてみたいと思いますが、私が新卒で就職して会社(組織)と関わりを持つようになって三十数年が経過しました。また、平成二年に独立開業して、組織・人事・マネジメントの勉強をしながらコンサルテーションを行うようになって二十数年になります。そのような経験を積む中で組織運営の発展段階には三段階あると感じています。

 第一段階は『服従と協力』です。アメリカ流の表現を使えばロイヤリティーということになるのでしょうか。規則・規律に忠実に従わせることで組織を運営していきます。社員に対しては、協調性や協力を強く求めることになります。

 第二段階は『組織への参加』です。コミットメントという言葉が世の中を一世風靡しました。チーム目標を達成する為に『あなたは何が出来るのですか』というアプローチ方法で組織への参画意識を高めました。

 そして今、第三段階は『組織との共生』です。新たな価値を共に創りだそうといった考え方です。ここでは『一緒に考える』といったアプローチ方法が取られることになります。まだ未完成の未来を皆で一緒に悩み考え形成することを大切にしています。

 現状では、以上で御案内したような手法を組み合わせながら組織運営を行っているケースが多いのだと思いますが、いずれにしても“トップの考え方”が組織運営に多大な影響を与えているといえます。

《ポジティブな側面に注目》

 『こうすれば組織は変えられる』 P・クライン著 より
 
 筆者はかつて、ある執筆サークルに入っていた。そのサークルでは、書いたものをメンバーたちに読んで聞かせ、感想を書くという活動を行っていた。感想は作者が具体的に尋ねた点についてのみ述べ、作者の側に聞きたいことが具体的にない場合は、メンバーたちは作品について良いと思ったことだけをコメントすることになっていた。

 ある時、九〇歳になる女性が自分の書いたエッセイを持ってきて読み上げた。それは実に拙ない文章で、小学四年生のレベルにも達していないものだった。それでも私たちはルールに従い、その作品の中からわずかながらでも褒められる点を見つけて指摘した。

 この女性は毎週、新しい作品を携えてミーティングに参加し続けた。彼女の文章はグングン上達していき、ほんの一カ月で、私たちが彼女に作品の出版を勧めるレベルにまで到達したのである。残念ながら、それが実現する前に彼女は亡くなってしまったが、彼女の驚くべき成長は、私たちに、適切な励ましを受ければ、人はたとえ何歳であっても急速に新たな能力を発展させることができる、ということを証明してくれたのだ。
  

《歴史上の人物に学ぶリーダーシップ Ⅱ》

 前回に続き今日は『豊臣秀吉』について考えてみたいと思います。

 秀吉は『先見の明をもった人物』でした。秀吉は、世に広く知られているように、日本史上で一番の出世を果たした人です。百姓の身分から足軽を経て、最後には見事に太閤と呼ばれる身分にまでなったのです。彼を、天下を取る地位まで引き上げた、彼の見つけた活路とは何だったのでしょうか。

 秀吉が活路を見いだしたのは、信長の下級家臣であった時のことになります。対朝倉と対浅井の戦いで、信長が京に逃げ帰る際にシンガリを名乗り出たことこそが、その後を決める活路だったのです。シンガリとは、戦いで敗走する時戦場に居残り、玉砕し残りの兵を逃がす役割をする一隊をいいます。別の言い方をすれば、決死隊です。味方の武将が逃げおおせるまで、時間稼ぎのために身体を張って敵と戦い続ける役目です。ほとんどの場合が全員死ぬのです。

 秀吉は、決死の覚悟の上で、このシンガリをやり通した暁にあるメリットに着目したのです。
①用心深い信長ですら自分を信用するようになるであろう
②秀吉の出現を面白くないと思っている古参の家臣たちにも恩をきせることができる
 と考えたことでしょう。

 秀吉は、味方を逃がす時鉄砲を置いていかせ、兵が攻め込んできた時、いっせいに鉄砲をうちました。こんなシンガリに会ったことのない浅井・朝倉はド肝を抜かれ、何か策略があると疑い、逃げてしまいました。

 この役目を見事にやり通したからこそ、その後の秀吉の出世話は広く世に知られることになるのです。

《歴史上の人物に学ぶリーダーシップ》

最近のテレビで、小栗旬演じる『織田信長』と竹中直人の『豊臣秀吉』を見ながら現代のリーダーシップ論で学ぶべきことがたくさんあることに気がつきました。

まずは、『織田信長』です。

信長の祖父は、家老という家柄で初めて町人の娘と結婚しました。当時はまったくそのような例はなかったといってよい時代です。そして、その結婚により、莫大な財産を手に入れることができました。財を持つことによって、時の朝廷への寄付ができ、斎藤道三との合戦に負けた時にでも動じない財力を持っていられたのです。つまらないしきたりにこだわることなく、実利をとった結婚をしたことが天下取りのそもそもの始まりであったといえます。

しかし、当時の織田家は他家と比べたら、その財も兵力もまだまだ小さいものでした。

そのような家に生まれ育った信長ですが、父親同様、いやそれ以上の新しもの好き、変わりものでした。風変わりな髪形を考えつき、将でありながらも屋敷にじっとせず、毎日城下を馬で駆け回っていました。しかし、彼が変わり者・乱暴者と呼ばれながらも領内を駆け回っていたのも、どこで、どのようにして戦えば勝てるかの『戦略』を見いだすためであったと考えられます。

今川軍との有名な戦い『桶狭間の戦い』では、今川軍の進軍が桶狭間という狭い道で一列にならざることを戦略的に察知し計画通りに攻め倒しました。

そして、この戦いで彼が評価を与えた者の順位というのも非常に興味深いものでした。その順位は、①作戦を企てた者 ②最初に突っ込んで行った者 ③首を取った者。

当時の常識では、なにはともあれ敵軍の大将の首を討ち取った者が一番の功労者あるという時代でした。その常識にとらわれることなく、多分、世界で初めて戦略に対して評価を与えた人であろうと思います。

《マイスター制度を考える》

 最近、医療・福祉の現場でマイスター制度を導入しようとする動きが活発ですが、日本では『型』を伝承する仕組みとして、書道・柔道・剣道など伝統技術の継承に取り入れられているものとして【段位】という仕組みがあります。名人への道は遠い為、どうしても途中で投げ出したくなるので、途中に段位という仕組みで区切りを入れています。二段から三段になるという仕組みは、上達の度合いを測る物差しとして機能する一方で、これによりモチベーションを維持する役割があるわけです。マイスター制度がうけているのもこういった考え方が支持されているのでしょう。

 そこで問題になるのが、段位を割り振る為のレベルです。どのようなスキル・知識を身につけたらどのレベルの段位なのかを明確に示すということです。プロスポーツ選手は、どれぐらい練習していけばその位置まで行けるのか、とのくらいやればそのレベルに到達するのかをだいたい想定できるといわれています。一般的には、等級基準書のようなもので職位の要件を明確に定義して社員に分かり易く示すことが重要なポイントだと考えます。

 組織の質の向上、離職率の低下、安定した雇用を実現する為の一つの方法かもしれません。

《指示命令型のリーダーシップ》

 指示命令型リーダーシップのスタイルでの問題は、それを続けていると部下の創造性を奪ってしまうということです。仕事では常に不測の事態が生じ、プランどおりには進みません。つまり仕事では、不測の事態への対応能力が求められるわけですが、指示命令型リーダーシップのスタイルでは、言われたことしかできない人を育ててしまうのです。

 自分で考えて行動できる人が減っているとこぼしながら、指示命令型リーダーシップのスタイルをとり続けるのは矛盾しています。不測の事態に対応できる部下を育成したいと望むなら、自分の頭で考えさせるようにすべきです。

 人は元来、他人に指示されたり命令されたりすることを好みません。それでも緊急で重要な案件に対しては指示命令は有効です。これまでのマネジメントは、指示命令と厳しい管理でした。コーチングは、質問を繰り返すことで“気づかせようとする”アプローチ手法です。

 ここ十数年コーチングの考え方が組織運営に支持されるようになり≪一緒に考えるアプローチ≫≪気づかせるアプローチ≫が管理者のリーダーシップスタイルとして定着してきた感があります。ただし、上記にもあるように緊急な場面等では≪指示・命令≫することは、きわめて重要なことだと感じています。

《ビジネスメール》

※返信は早めに簡潔に!   読売新聞の記事より

 一般社団法人、日本ビジネスメール協会が8月に発表した『ビジネスメール実態調査』によると、過去1年間に仕事のメールで不快な気持になったことのある人は、51%とほぼ半数。理由としては、『文章が曖昧』などメールの内容に関するものが上位を占めたが、『返信が遅い』こと自体を不快に感じる人も17%と目立った。
 同協会の直井章子さんは、『丸1日たっても返事がこないと、不快、不安に感じがち。せっかくのビジネスチャンスをフイにしかねません』と指摘する。すぐには結論を示せない場合でも、メールを受け取ったことと回答できそうな時期を記して、なるべく早く返信すべきだという。
 仕事での返信メールは、本文の最初に相手の名前と会社名を記入し、数行空けて『お世話になります。○○の▲▲です』などと、自分の会社名と名前を記す。互いの肩書は省いても構わない。『かしこまった時候の挨拶は不要です。曖昧な表現は避け、簡潔にまとめましょう。文面が冷たいと思うなら、本題に入る前に、まだまだ暑いですね。等と一言添えると和らぎます』と直井さん。
 受け取ったメールの文章を全文引用して返信するか、部分的に引用するかは、相手や状況による。一般的には、交渉ごとなど、やりとりの経緯をまとめて残す必要があれば全文引用、ポイントを簡潔に記すだけでよいなら、部分引用の方が分かりやすい。

 ≪返信のポイント≫
※受け取ったらなるべく早く返信を。丸一日以上相手を待たせない。
※重要なメールは返信した後、電話でも受け取ったことを相手に伝える。
※打合せ場所や日時などを伝えるだけなら、部分引用の方が分かりやすい。

《個別面接について》

 毎年この時期には、個別面接を法人や企業に伺って実施しています。通常は私と代表と社員の三者面接の形態で、一人当り20分程の時間で“目標の確認” “業務質問票からの問題”について質問を中心に進めています。

 最近感じていることは、“目標の確認”では≪プロセスの実行計画と評価≫≪成果・結果の設定と評価≫が曖昧になっているということです。成果・結果の前にプロセスがあって、望ましい成果・結果をあげる為には“プロセスのクオリティー”を高めることの大切さを研修を通して繰り返して説明をしていることもあってか、一方の≪成果・結果のイメージ≫が明確になっていないといったことが起きてきまました。実行計画に基づいて着実にプロセスを積み上げることと、今一度最終結果のイメージを面接では強調しています。

 業務質問票には、各人から問題点やクレーム等について記入して面接に臨んで頂きます。第一線の現場で日常発生していることがよく分かるようです。私は外部の人間ですから専門的な事はよく分かりませんし、社員一人ひとりのことも分かりません。ただ、一緒に同席して頂いている代表には課題とか改善点とかが見えてくるようです。『エッ!そんなことが起きているのか?』といったようなことが時々あります。組織が徐々に拡大していくとトップとファーストラインとの距離が大きくなります。お客様と直接接触している第一線の現場で起きていることを定期的に把握する一つの方法として“三者面接”は大切な事だと実感しています。

《わが社の人財》

 わが社の人財・・・・大山泰弘(日本理化学工業会長)

 うちの会社では、多くの知的障害者が生き生きと働いています。「障害のある社員との働き方を、一般の社員にどう教育していますか?」とよく聞かれます。
 今勤めている健常者の社員は、入社まで障害者と接したことのなかった人ばかりです。しかし、これといった教育は行っていません。その必要がないという方が正確かもしれません。
 なぜなら、知的障害者と向き合いながら仕事を続けることで、自然と相手の立場に立って、理解してもらえるよう伝える術を磨くことになるからです。
 健常者のMさんは、仕事をよく休む知的障害者のSさんに困っていました。悩んだMさんは工夫しました。ある日、出勤したSさんを持ち場である製造ラインからあえて外し、『見ていて!』と指示しました。
 Sさんは、自分がいないことで、コンベアーで運ばれてきた製品がみるみる積み上がり、ついに音を立てて床に崩れ落ちる光景を目にしました。Mさんは、『君がいないと、こんなに困るんだよ!』と伝えました。
 知的障害者は、指示の意味を理解し、納得した時には、本当に真面目に取組んでくれます。実際、Sさんはその後休まず働くようになりました。
 私は、社員にこう語りかけています。『うまくいかないことを障害者のせいにはできないんだよ。彼らの理解力に合わせて、納得してもらえるよう説明するのが君らの仕事だ。どうしても難しい時は、みんなで考えることにしているから』
 長く続けてこられたのは、こんな風に、社員が自然に成長する職場環境だったからだと思っています。

《新入社員の意識調査》

 日本生産性本部の平成26年度新入社員『働くことの意識』調査結果から

※≪人並みか人並み以上か≫では、「人並みで十分」が今年度さらに増加(昨年49.1⇒52.5%)。
 「人並み以上に働きたい」(昨年42.7⇒40.1%)を大きく上回り、過去最高だったバブル末期と同様の売り手市場時の意識になってきた。

※≪どのポストまで昇進したいか≫では、昨年度「社長」が過去最低(12.7%)を更新したが、今年度は「専門職・スペシャリスト」が過去最低(19.9%)を更新した。この10年の傾向として昇進志向とスペシャリスト志向双方の弱まりが見られる。

※≪この会社でずっと働きたいか≫とする回答は、「この会社に定年まで勤めたい」が一昨年度34.3%で過去最低の数値となったが、昨年度は30.8%に減少し、本年度さらに28.8%まで減少した。ここしばらく増加していたが、景況感の好転とともに減少に転じている。

※≪残業は手当てがもらえるからやってもよい≫が急増し、昨年度の63.0%から69.4%と過去最高を更新した。昨今のブラック企業・残業未払いのニュースをみて、残業はいとわないがそれに見合った処遇を求めている傾向がうかがえる。

※≪デートか残業か≫では、「残業」(81.3%)「デート」(18.3%)と、プライベートな生活よりも仕事を優先する傾向が伺えるが、ここ数年は、やや「デート派」が増加(昨年15.7%)している。