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《上杉鷹山》

アメリカのジョン・F・ケネディー大統領が生前日本人の記者団の質問に『私が最も尊敬する日本人は上杉鷹山です』と答えたという。そのお嬢さんが日本大使として就任され、山形県でもお出でいただくように積極的にアピールしていますね。

三十年程前に読んだ『上杉鷹山の研究』童門冬二著の中に私の好きな場面がありますので紹介します。

鷹山が江戸から米沢藩に初入国する際に、雪深い板谷宿で野宿をしいよいよ米沢城に近づいて行く途中で籠を止めて家臣に掛けた言葉です。

『お前たちに話したいことは、実はこういうことだ。福島から米沢への国境を越えて、板谷宿で野宿し、沿道の光景を見ながら私は正直に言って落胆した。絶望もした。それは、この国が何もかも死んでいたからだ。おそらくどんな種を植えても、この国では育つまいという気がした。だから今、領内に残っている人間たちの表情に希望がないのだ。それを私はよみがえらせなければならぬ。しかし、そんなことは私には出来ない。私は、いい気になって今までお前たちに改革案を作らせたが、しかしそれを受け入れる国の方が死んでいた。私は甘かった。・・・中略・・・
そのためには、まず、お前たちが火種になってくれ。そしてお前たちの胸に燃えているその火を、どうか心ある藩士の胸に移してほしい。その持ち場持ち場で、待っている藩士の胸に火をつけてほしい。その火が、きっと改革の火を大きく燃え立たせるであろう。』

その後、快適な状態にどっぷり浸かっている藩士の抵抗を受けるのですが、べに花・よね織等の産業を興しながら改革を着実に進めていきます。

最近の言葉を使えば“イノベーション”を起こしたということだと思いますが、実に多くの学びがあります。

《中小企業の経営理念》

 中小企業の《経営理念》は、どの程度の企業で作成されているのか興味のあるところですが、仮に経営理念が作成されていたとしても『どこかの引用』だったり、形骸化して『社員に浸透』してなかったりと色々と問題を感じることがあります。

 理念経営・・・・ノードストロームの事例から

 ノードストロームの社長が講演で『どう見ても着たあとがあるドレスを顧客が返品しようとしたとき、貴社の店員はどんな対応をするのか?』との質問に対して次のように答えている。

 わたしにはわからない。それが正直な答えだ。しかし、顧客が丁寧な対応とサービスを受けたと感じる方法をとると、わたしは強く信じている。返品を受けるかどうかは、その時の具体的な状況によるのであり、わたしはどうすべきかについて、店員に広範囲の権限を与えている。店員はすべて販売の専門家だと当社では考えている。専門家には規則はいらない。基本的な指針は必要だが、規則は不要だ。ノードストロームでは、基本的な価値と基準を守ってさえいれば、仕事を進めるために何をやってもいい。  ビジョナリ―カンパニーより

 理念の大切さを上手に説明していますね!

 最近、ある経営者に『後継者と一緒に再度会社の理念の見直し』を提案致しました。創業時に作ったそうですが、『会社存続の意味』をもう一度後継者と一緒に考えるいい機会、とおっしゃていました。
 最後に、理念はシンプルにとアドバイスをしました。

《経営セミナー》

 “セミナーをやってみよう”と思い立って早いもので十数年になりました。私自身の勉強と情報提供を目的として年に数回の開催を目標に実施してきましたが、七十数回を数えるまでになりました。

 先週は山形市・仙台市でそれぞれ開催をしました。お忙しい中ご参加頂いた方々に心より感謝申し上げます。
 さて、今回のセミナーは“経営戦略”をテーマに取り上げてみましたが、“戦略” “戦術” “戦闘”という表現もあるように“経営戦略”というと戦いをイメージしてしまうのは私だけでしょうか!戦いですから、如何にして敵に勝つかが重要なテーマになります。第二次世界大戦の日本軍の組織活動を分析した『失敗の本質』という本では、日本軍が負けた多くのことを教えてくれています。

①まったく勝ち目のない戦況を精神力で勝とうとする
②日本軍の暗号は全て解読され情報が筒抜けの状態
③大本営への現場からのフィードバックが存在しなかった
④グランドデザインの欠如
⑤トップからの適時・的確な指示がなかった 等など

 企業経営も競争社会の中で生き抜いていくといった視点に立てば、戦争のようなものかもしれません。“戦略” “戦術” “戦闘”を『経営方針』『経営計画』『現場活動』というように現代風に示せば理解がはやいでしょう。
 
 もし企業・組織に『経営方針』『経営計画』『行動指針』が明文化されていないようでしたら、検討してみるチャンスかもしれません。

 

《六つの質問》

 研修で使用する『六つの質問』をご案内します。

① あなたの担当業務の職務内容について重要度の高い順に五つ列挙して下さい。

② 他の事業者(競合)に比べ優れている点・劣っている点は何ですか。

③ あなたの現在の業務目標で優先度の高い順に列挙して下さい。

④ 担当分野においてあなたが責任を果たす上で障害となっている問題とその原因は何ですか。
 
⑤ 最近お客様によく指摘されるクレームや苦情・ご要望にはどんなものがありますか。

⑥ 今後三年間に変化するであろうこと、またあなた自身で変更しようと考えていることは何でしょうか。

 一つの質問に対して、10分程度の時間をかけながら進めていきますが、重要度・優先度といった言葉の意味がグループ内で共有されていないといったような事が時々起きます。チーム内で今何が重要で優先度が高いのか確認する良い機会になるようです。

《ビジネスプロセスのリエンジニアリング》

※複数の仕事を一つにまとめる

 リエンジ二アリング後のビジネスプロセスに見られる最も基本的な共通の特徴は、組み立てラインがなくなり、以前にはそれぞれ別々に分かれていた仕事や業務が統合され、一つにまとめられるということである。ある企業では、販売から製品の備え付けまでの五つの仕事を別々の部署に属するスペシャリストがそれぞれ行っていた。しかし、このプロセスでは何回も引き継ぎをしなくてはならず、失敗や誤解が避けられなかった。なぜなら、このプロセス全体に関する責任や知識を持つ人がいなかった。顧客が苦情を訴えるために電話しても、誰も対応できなかったのである。
 このプロセスをリエンジニアリングするにあたり、いくつかの仕事をまとめて、一人に責任をもってやらせることにし、『顧客サービス担当』
とした。この担当者はプロセス全体を取り仕切り、顧客との接点の役割も果たした。長いプロセスのステップすべてを一つにまとめることが常に可能であるわけではないが、仮にプロセスが統合されれば、その管理費用も削減する。
 プロセスに要する時間やコストを常に削減するための革新的、創造的な方法を考えるように彼らは奨励される。また、管理が簡単になることも統合されたプロセスのもたらすもう一つの利点である。  “リエンジニアリング革命”より

 財務指標である間接費とか管理費を見直すヒントがあるように感じます。

《リエンジニアリング革命》

 1993年に出版された“リエンジニアリング革命”という本が本棚に読まれないままになっているようでした。中身を少し確認してみたのですが、読んだ気配はありません。20年前に購入した本を今読んだのですが、中々興味深いことが色々と書いてありました。

 2000年初めに“イノベーション”と言う言葉がよく使われましたが、“リエンジニアリング”は、その前のものですね。
 『諸国民の富』でアダム・スミスが叙述したピン工場の生産性の向上とコストダウンを実現する為の【分業】についての記載から話が始まります。(学生時代に学習したことを思い出したりしていました)ピンの製造工程を分化して労働者一人一人に各工程を分担させることで専門性や熟練度が高まり飛躍的に生産性が高まるというものでした。成果を数値で示してあり、とても理解しやすかったと記憶しています。
 
 “リエンジニアリング”の考え方は、ビジネスプロセスの改善として【分割して単純化していたものを、一つにまとめてみる】ということです。アダム・スミスの分業に逆らうかたちですね。『垂直統合・水平統合』という表現で示しています。いま一つは、リエンジニアリングは物事の根から着手し、表面的な改革を行ったり、既存のものに手を加えたりすることではなくて、古いものを捨ててしまうことであり、既存の構造と手続きを全て無視して、仕事を達成するまったく新しい方法を発明すること、と定義されています。

 過去の成功体験が足かせとなって変革へと進めない事例に時々出合います。

《戦略策定のステップ》

 今日は、戦略策定のステップを確認してみます。

1 現在の事業価値を整理する
  ※自社の事業は誰をターゲットにしているのか?
  ※その顧客のどういったニーズを満たすのか?
  ※そのニーズを満たす独自のノウハウは何か?

2 競合他社との違いを明確にする
  ※ベンチマーキングの手法により競争要因を洗い出し他社との違いを明確にする
 
3 現状の経営状況を整理する
  ※五つの質問と幹部のプレーンストーミングにより現状を把握する

4 将来の事業価値を明確にする
  ※事業価値はシンプルに一言で表現することがポイントです。

5 経営ビジョンを明確にする
  ※経営ビジョンは社員のチャレンジ精神が湧くものとして下さい。

6 戦略を洗い出す
  ※顧客・財務・業務プロセス・学習と成長の視点での洗い出し

7 戦略マップを作成する
  ※戦略と戦術を図式化して活動項目をマップ化します

8 戦略の展開状況をみる
  ※結果指標・プロセス指標を設定して進捗確認をします

《経営戦略とBSC》

 経営戦略立案の際によく利用される考え方にバランス・スコア―・カードがあります。
 
 BSCの考え方は、ビジョンと戦略を実行項目に落とし込み戦略展開を成功に導く戦略的マネジメントシステムであり、1992年にハーバード大学のロパート・S・キャプラン教授と経営コンサルタントのデビット・P・ノ―トンが提唱した戦略展開のツールである。
 BSCは、戦略の実行項目を『財務的視点』『顧客の視点』『内部プロセスの視点』『学習と成長の視点』の4つの視点からブレイクダウンし、各視点で具体的な実行項目を抽出し行動設定します。

 弊社では“二つの戦略的アプローチ”で御案内しましたが、【ビジョンアプローチ】にBSCの考え方を取り入れています。エンドリザルト(経営目標)を『財務の視点』から設定して、プロセスについては『顧客・内部・学習の視点』で戦略展開することで経営目標の達成が整理しやすくなり、明確になります。
 
 ここでも大切にしていることは、戦略をシンプルにすることです。

《二つの戦略的アプローチ》

 課題・問題を探して、戦略的に解決していく二つのアプローチをご案内します。

 まず一つは【ビジョンアプローチ】です。
 この手法は、経営目標を設定することからスタートしますが、次のステップで進めていきます。
①エンドリザルト(明確な目標の設定)
②現状の把握(目標に対してどの程度レベルにあるのか)
③プロセス途中にある克服課題・問題の把握
④課題・問題に対する戦略・戦術の策定

※経営目標を戦略的に達成するアプローチ方法です。

 次は【イノベーション的アプローチ】です。
 この手法は、現状分析と未来予測に基づき課題・問題を抽出しそれを解決することで、経営改善・経営改革を実現することを目的にしますが、次のステップで進めます。
①我社の強みの抽出
②我社の弱みの抽出
③未来のプラスの変化予測
④未来のマイナスの変化予測
 以上の分析から、我社の経営課題・問題を抽出して戦略的に解決することで、改善・改革を起こし続けます。

 どちらのアプローチも戦略実行計画書に落とし込むで進めていくことになります。

《戦略実行計画書Ⅱ》

 引き続き“戦略実行計画書”のサンプルを御案内します。

A 戦略実行テーマ  【人事制度改善】
B 目標の狙い    【制度が硬直化・劣化してきている為、成果・役割型の制度導入】
C 問題・課題    【年功給・評価制度が機能していない】
D 活動項目
  ステップⅠ    現 状 分 析
  アクション    現状の給与水準、バラつきを分析し望ましい体系を検討

  ステップⅡ    キ ャ リ ア パ ス
  アクション    複線型コースの選択と教育プログラムの選定

  ステップⅢ    評 価 制 度
  アクション    あるべき人材像の明確化とプロセスの構築
  
  ステップⅣ    説 明 会
  アクション    新制度の説明会を全社員を対象に実施する

  アクションⅤ   ト ラ イ ア ル
  アクション    トライアルを半期ずつ2回実施する

E 期待される効果  【社員のモチベーションアップ・会社の業績アップ】