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《ライフサイクルと経営戦略》

 今から三十年以上前に出版された『競争の戦略』M・E・ポーター著は、現在においても極めて参考になる戦略の視点を示しているが、今日は『ライフサイクル』の視点から少しまとめてみます。

 まずは、ライフサイクル四段階における『組織人材』
※導入期
 起業家・長期的視野をもった創造力あふれる人材
※成長期
 実務家・短期的視野に立ったアイディアを具現化する人材
※成熟期
 管理者・業務のシステム化や効率重視の人材
※衰退期
 まとめ役・問題解決能力にすぐれた人材

 次に、『全体的な戦略』
※導入期
 マーケットシェア拡大
 研究・開発とエンジニアリングが決め手
※成長期
 価格変更・品質イメージ変更
 マーケティングが決め手
※成熟期
 マーケットシェア見直し
 コスト競争力
 価格・品質イメージを変えない
 マーケティングの効率が決め手
※衰退期
 コストコントロールが決め手

 私は『外部環境の変化に合わせて戦略(打ち手)を変えていく』という考え方に驚かされた本でした。

《3%コストダウンより30%ダウンのほうが簡単》

 『ちまちました節約よりも、どかーんと節約したほうが簡単だ』
 ビジネスの世界では、3%や5%のコスト削減は難しいが、30%のコスト削減は意外に簡単だと言われてます。
 3%のコスト削減というのは、現状の枠組みの中からムダなコストを見つけて改善していく、非常に細かい作業です。単にコスト削減というと、ケチケチ運動みたいになり社内の雰囲気も悪くなるので、上手に実行しないと、逆効果になったりします。
 ある上場企業でトイレに備えつけている手を拭く紙を廃止するかどうか議論していたところ、業を煮やした部長が『そんなことを気にするような利益しか出ていない商売なぞ止めてしまえ!』と怒鳴ったことがあるそうです。
一方、30%のコスト削減であれば、仕事のやり方を抜本的に変える必要があります。これは、現状の枠組みを壊さないと達成できないですし、逆に言えば、現状の枠組みを壊して新しい枠組みをつくれば、30%のコストダウンはそれほど難しくない、ということになります。
 先日、『ガイアの夜明け』というテレビ番組で三菱自動車と日産自動車の軽自動車共同開発を放送していましたが、部品輸送のコストダウンを検討する場面がありました。三菱流のやり方だと、部品を1ケースに4台入れて運ぶことが出来るのですが日産の技術者たちは同じキャパシティーの容器に6台入れることを発見しました。まさに30%超のコストダウンになります。実に単純な方法でしたが、従来の枠組みに固執していると発見できないと感じました。
 ケチケチ作戦を否定するものではありませんが、大きなところを基本的に見直す必要性を感じています。

《イノベーションのジレンマ》から

 少し古い本ですが、クリステンセン教授の “イノベーションのジレンマ”というタイトルの本を(2001年7月初版)私は最近読みました。“イノベーション”という言葉が随分と世の中で氾濫した時期もありましたけど、この本が引き金になったのかもしれません。
 本の内容は、【破壊的技術】【持続的技術】について書いてありますが、優良企業がダメになる理由についてディスクドライブの開発を例に説明をしています。関心のある方は読んでみてください。

 その本の最後にクリステンセン教授の言葉が紹介されていましたので、書いておきます。
 教授は『イノベーションのマネジメント』の講義の最終日をこう締めくくったのである。
 『私のボストン・コンサルティング・グループ時代の友人は、大きなヨットを持っていて、土日となればクルージングに出かけている。ところが彼は、やれ係留の費用が高いだの、メンテナンスを頼んでいたのにちゃんとやっていないだの、といつも不平ばかり言っていて少しも幸せそうでない。一方、私は毎週日曜日は欠かさず教会に行き、困っている人の相談に乗って、アドバイスをしたりしている。毎週日曜日が取られるのは大変だが、自分が人や地域のために役立っていることから得られる満足感でいつも満たされている。諸君もこれから社会に出て、ビジネスの場で活躍をするのだろうが、本当の幸福はお金でなく、家族やコミュニティーから得られるということを覚えておいてほしい』

《マネジメントとリーダーシップ》

 少し前の話になりますが、ハーバード・ビジネススクール教授 ジョン・コッタ―が『リーダーシップ論』の著書の中で、リーダーシップとマネジメントの違いについて次のように書いています。
【複雑な環境にうまく対処するのが、マネジメントの役割】
【リーダーシップとは、変革を成し遂げる力量を指す】

 ジョン・コッタ―流に言えば、外部環境の変化を的確に予測し、それに対して手を打っていくことがマネジメント。これは比較的理解できるのですが、一方の『リーダーシップとは、変革を成し遂げる力量を指す』は?私にはナカナカ難しい表現です。
 
 では、大きな変革を成し遂げる為には、どのようなリーダーシップを発揮したら良いのでしょうか!おそらく、惰性的生活に安住している人達に変革が必要であるという論理を示すことで、人々が考え方や行動パターンを変え、リーダーの言う変革に力を貸すようになることと、その変革を何としてでも成し遂げたいという情熱、欲求を持たせるということだと考えます。
 平易な言葉を使えば、“実行力” “行動力” という表現になるのでしょうか!!
 コーチングでは、『快適ゾーンからの脱却』という伝え方をしています。
 
 いずれにしても、しっかり向き合って答えを考えていきたい大きなテーマです。

《営業活動の基本動作》

 最近聞いた話で、営業とは『お互いの利益の交換』とは、ナカナカ上手いことを言うものだと感心していたのですが、今日は“営業活動の基本動作”のステップについて簡単にまとめてみたいと思います。

 第一ステップ《マーケティング》
 これは、相手と自分・市場とお客様という『ベース』となる商品知識を学ぶことで、自分の持っている商品やサービスはどのような人・会社に売ればいいのか、誰のお役にたてるのかを考えます。 
 お客様の動向・経済の流れ・自社の商品シェア・競合商品等も知識として入れておいて下さい。

 第二ステップ《アポイント》
 対象者のリストを用意したり、宣伝などで集客したりして、『誰に売るか』を明確にする段階です。商品があっても、企画があっても、売り込む対象がなければ、何も始りません。『アポイントの種を』つくるのです。

 第三ステップ《プレゼン》
 商品の説明の段階に入りました。
①会社の紹介 ②商品の特徴 ③期待できる効果 ④期待できる付加価値 ⑤お客様の声 ⑥商品への意思確認

 第四ステップ《金額の提示》
 ようやく自分の商品の金額をお伝えします。
 金額=価値、もしくは金額<価値になっていないと、購入したくなりません。人は、その金額がとってもお得であると感じたいのです。

 第五ステップ《契 約》
 この段階で決断をしてもらいます。一つだけの選択からの『イエス・ノ―』ではなくて、多少の選択肢を用意し相手にイニシアティブを持たせたいものですね。コロンビア大学のシ―ナ・アイエンガ―博士が『選択の科学』で書いていましたね。【マジックナンバー7±2】

 第六ステップ《フォロー》
 契約で終わりではありません。丁寧なフォローがリピータ―に、あるいは新規顧客のの紹介に繋がっていきます。
 営業マンのゴールは、お客様のスタートです。
  

《パラダイムシフト》

 『パラダイム』という言葉を聞くようになって久しいですね。日本語で表現すると、規制・認識の仕方・枠組み等として紹介されていますが、私は【思い込みの壁】と理解しています。人は、『こうなんだ!』と、思い込んでしまうとナカナカ柔軟に色々な視点から考えたり、見たりすることが難しくなります。特に、過去の成功体験からの脱却は・・・・・。

 今日は、チェルノブイリの原発事故の記事からの紹介です。

 ソ連の科学者のひとり、G・メドベージェフの内部告発には爆発直後、原発の技師たちがどのような行動をとったかが、描写されてあった。
 技師たちは、何が起こったのか、懸命に考えようとした。原子炉は無事だと、信じて疑わなかった。何故か。設計から考え、原子炉が爆発するはずがないと思い込んでいたからだ。
 それで、何が起こったかを見る為に、外に飛び出した。地一面を黒煙が覆っていた。放射線量機の針が振り切れてしまうほどの黒煙だ。『アスファルトの上に、何かが散らばっている。黒いものが分厚く積っている。しかし、それが原子炉から吹き飛んだ黒煙だとは思わなかった。機械室と同様に黒煙と燃料の真っ赤に焼けた断片が見えた。しかし、見たものが意味する恐るべき事実を受け入れようとはしなかった』
 聡明で、よく訓練された技師たちは、原子炉爆発のまぎれもない証拠を見ながら、爆発を示すものは何もないと判断した。彼らの頭の中では、原子炉は無事だった。そう思い込んでいたからこそ、彼らは、人々に、そしてマスコミに原子炉は無事だと言いつづけた。
 火を見るより明らかな証拠が、目の前にあった。それでも、自分たちの設計を信じて疑わなかったために、何が起こったかを示すデータを受け入れようとしなかった。
 技師たちは、大量に被曝して死んだ。しかし、本当の死因は、自分たちのパラダイムから離れられず、事実を直視でなかったことにある。

《月次報告書とは》

 私は、会計事務所に勤務していた経験があるので《月次報告書》という言葉を聞くと、月次貸借対照表・月次損益計算書・キャッシュフロー計算書・二期比較計算書・経営分析チャート等々数字で集計された資料をイメージしますが、皆さんはいかがでしょうか!
 確かに一定期間内の経営活動結果として集約されたものであることは間違いないですし、数値として明確化されているので解りやすいですね。特に経営者の方々は財務諸表の結果を気にされていたように思います。
 今思うと当時は、いわゆる【結果指標】に標準を合わせての報告・管理・指導が中心だったような気がします。何を言いたいのかというと【プロセス指標】の視点が抜けていた、ということです。結果の前にプロセスがあって、プロセスの積み重ねが最終結果であることを忘れてしまって、結果だけを分析・評価していました。あれから二十数年が経過しまして最近やっと理解できました。【結果を出すにはプロセスの質を高めること】を!!

 最近は、月次報告会の場では《月次財務報告》の他にプロセスに意識を向けて、問題・課題の整理と提案をして頂いてます。

《強みを生かすということ》

 強みを生かして成果をあげる、等と言われますが、どのようことなのでしょうか!

 ドラッカーは“組織といえども、人それぞれがもっている弱みを克服することは出来ない”と言ってます。とても興味深いことです。
 組織という生き物は、人の集合体ですから各人の強み(長所・得意)を組合わせることは充分可能な事だと思います。これは、逆から見れば『人の弱みを意味のないものにすること』です。とかく、私たちは人の弱み(欠点・短所)に目がいきやすいものですが、人の強みに目を向けることにより【人の弱みを最小限に抑える】のではなく【人の強みを最大限に発揮させる】ように努めなければならない。特にリーダはこのような視点を持つべきです。

 また、強みに焦点を合わせることは成果を要求することです。ここでのポイントは、『何ができないか』を考えるのではなくて、『何を非常によくできるか』に焦点をあてることです。

 もう一つ最後に、上司の強みも生かさなければならないということですが、上司の強みを生かすことは、部下自身が成果をあげるカギなのです。上司の強みが発揮できるような形での提案をし、上司が得意なことを行えるようにすることによってのみ、部下も成果をあげられるようになるのです。上司の弱みを強調したのでは、部下の弱みを強調した時と同じように意欲と成長を妨げることになります。

《成長点の考え方》

 成長点という言葉を辞書で調べると
『植物の根や茎の先端部にあり、とくに細胞分裂のさかんなところ。分裂組織の細胞でできていて、根や茎のもとのほうに向かって、次々に新しい細胞をつくりだしている。根では根冠をかぶり、茎では小さな葉のようなものにつつまれ、保護されている。』とあります。

 これを読んだ時に、組織活動における《人材育成》の有り方を垣間見た気がしました。組織の教育としては、【職種別研修】【階層別研修】【知識・スキルの研修】【コーチング研修】等々各種ありますが、『成長点による視点』からの研修とか育成といった考え方を持っているのだろうか?と、ふと疑問に思いました。

 多くの組織は、階層管理によって運営がなされていると思いますが、最近は等級や階級を示して上を目指させる(上昇志向)というような手法だけでは通用しなくなってきています。そこで、この『成長点』の視点で組織人材の中から『成長点人材』を見つけて栄養分を徹底して与えていく必要性があるのではないでしょうか。

 ポイントは、若い人材の中に発見して【教育】【コミュニケーション】【プレッシャー】といった栄養分を大いに注いであげることことです。

《スピードについて》

 最近知った《スピード》についての捉え方について短い内容ですけど、深い中身に関して書きます。

 ※ニュートンの運動の第二法則より
 私は、文系なので理系の公式などは不得手なのですが、この公式の意味することはとても良く理解することが出来ました。
 F=mα この公式の意味するところは、F(力)は、m(質量)とα(加速度)すなわち『スピード』で決まるということ。
 小さな組織が(質量が小さい)大きな組織(質量が大きい)に勝つには『スピード』しかない。
 “小よく大を制す”ことも十分に可能だからこそ、面白い。
 
 昨日の日曜日は、地域の公民館祭りが実施され、世話役を引き受けている関係で朝から準備をして色んなイベントを楽しみました。イベントの一つにチビッ子相撲があり、幼稚園児から小学生までが参加され奮闘しておりました。取組の中に身体の大きな子供さんと少々劣る子供さんの対決が有ったのですが、予想に反して身体の小さな子供さんが勝利する場面がありました。そこには、『すばしっこさ』があったような気がします。

 こんなこともよく言われますね。『スピードの速い飛行機ほど安定度が高い』