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《問題解決のプロセス》

 人事考課制度の一環として【目標管理制度】導入のお手伝いをやらせて頂く機会がありますが、運用のプロセスで感じていることについて書きたいと思います。

 まず、タイトルが《問題解決のプロセス》になっているのは、目標管理の運用には“組織の中に問題を発見して解決する能力”が必要だと考えるからです。単に、目標を設定して追い込んでいくような手法では結果も出ないし、組織はどんどん疲弊してしまいます。従って、目標の設定・問題、課題の整理・行動計画・効果の確認・定着化、継続化といったプロセスに基づいて知識やスキルを投入しながら実施する必要があるわけです。

 もう少し具体的に分解すれば、
1現状把握(クレーム・トラブル・在庫量等の問題を具体的にする)
2目標設定(達成イメージを数量で表現する)
3ギャップの確認(現状と達成イメージのギャップの確認)
4行動計画(ギャップを埋めるための実行計画を描く)
5効果の確認(前後の効果を確認する)
6定着化(継続できるように標準化する)

 目標を設定して、そこに意識を向けて進めていくと一定の効果は確認できるのですが、問題は定着・継続がうまくいかないことです。クレーム・事故・トラブルが一定量出続けるということは、このあたりに課題があるのかも知れません。

 大切なことは、小さな変化を起こし続けることだと思います。

 

《簿記を学ぶ》

 四月に入って二週続けて、週末の土曜日に“経営計画発表会”に参加する機会がありました。どちらも外部の会場を借りての発表会でしたが、学ぶことが色々とありました。

 経営理念の確認から始まって 【ビジョン】 【経営戦略】 【新年度の数値目標】が発表され、各事業部の代表が実行計画にまとめて達成宣言をします。残念ながら発表会後の懇親会には参加できなかったのですが、大変に盛り上がったと聞いております。

 そこで【新年度の数値目標】や【実行計画】を発表する姿を見て、少なくても幹部の社員には会計的な知識が必要ではないかと強く感じました。経理等の業務をするわけではないので、専門的な知識までは不要と思うのですが、帳簿の仕組みや貸借対照表・損益計算書の読み方など基本的な部分の理解が大切になるのではないでしょうか。

 東京大学の名誉教授  岡部洋一氏のコメントから

 『簿記は文系の人が勉強すべきもの』と思っている方が多いようです。
 理系で学ぶ人こそ、簿記を学ぶべきだと思います。理由は二つあります。
 一つ目は、自分の仕事と会社経営との関係がわかるからです。卒業後、企業で研究開発、商品開発をする人が大勢います。彼ら、彼女らは『なぜ、会社は私が開発する製品を商品化しないのか』といった疑問を抱く場合があります。もし簿記を学んでいれば、自分の会社の財務状況を理解し、会社の利益の最大化のためにはどうすべきかがわかって、自分の仕事との関係も見えるはずです。
 二つ目の理由は、簿記のシステムが非常にしっかりしているからです。いったん理屈がわかれば、理系の人間には大変わかりやすい仕組みです。
 学生の中には、技術を活かしてベンチャー企業を立ち上げたり、組織の長となる人間も多いでしょう。その時、周囲に会計の知識がある人材がいるとは限りません。理系の人間にとっても、簿記は必ず必要な知識です。

 

《経営計画発表会に参加して》

 四月に入って、三年ぶりにある企業の“経営計画発表会”に参加をしてきました。

 1時間30分のスケジュールの中で
※永年勤続表彰・成績優秀表彰
※経営計画発表
※各事業部計画発表
※決意表明
 と進められました。

 今回参加して気付いたたことが二つあります。

Ⅰ 組織を動かす為に、規則と目標が必要であること。
Ⅱ 目標とか戦略はシンプル、かつ三つ程度が望ましい。

 多くのことを伝えようとすると無理があると感じました。今一度【選択と集中】でしょうか!
 

《真実の瞬間》

 私が、開業した1990年に出版された“真実の瞬間”ヤン・カールソン著は、ベストセラーになりましたが、今も時々読み返すほど参考になる本です。

 本より一部抜粋
 真に自分たちの会社を、顧客の個々のニーズに応える企業にするつもりなら、現場からかけ離れた部署でつくられた規則書や指示書に頼ってはならない。15秒の真実の瞬間にスカンジナビア航空を代表している航空券係、客室乗務員、荷物係といった最前線の従業員に、アイデア、決定、対策を実施する責任を委ねることが必要だ。もし、問題が起こるたびに最前線の従業員が上層部の意向を確かめていたら、貴重な15秒間がむだになり、顧客を増やすせっかくの機会を失ってしまう。

 私も“真実の瞬間”に共感するのですが、確かに組織が成長するに従って第一線の現場で起きていることが組織の上層部で把握されていないといったことが多くなってくると感じます。具体的には、クレームとか事故といったようなトラブルが何故発生して、どのように対応がなされたのかが、見えない状態とでも表現したほうがいいでしょうか!

 組織をフラットにしたりといろんな対策が取られていますが、なんとも悩ましいですね。
 委任(任せる)の仕方と、ホウレンソウの取り方を今一度研究しないといけない時期にきました。 

《基本を見直す》

 職場の教養より

 A社長が、新しい取引先に電話をした時のことです。

 電話に出た社員に、会社の住所と電話番号、社長のフルネームを確認したところ、すぐに答えが返ってきませんでした。怪訝に思ったものの、“きっと入社間もない社員だろう”と考えて、電話を切りました。

 ふと『うちの社員はどうだろうか』と気になったA社長は、思い切って会社の基本情報についての社内テストを実施しました。

 すると、会社の電話番号を知らなかったり、社長のフルネームを書けない社員が、少なからずいたのです。

 著名講師を招くなど、時間とお金をかけて社員教育に力を入れてきたA社長ですが、最も基本的な情報を社員が知らなかったことに俄然としました。

 これを機に、A社長は、まずは社員に自分の会社のことをよく知ってもらうという方針を立てました。そして、自らも日常の基本的な事柄を疎かにしないよう、足元の実践に取り組むようになりました。

 私の経験でも、立派な経営理念はあるのですが、社員が知らなかったり・理解していなかったりという例は時々あります。【知ってるつもり】といった思い込みが、組織の中には必ず存在するのだと思います。時々、基本・原点に立ち返ることの大切さを教えてくれています。
 

 

《五つの質問》

 今日は、あなたに“五つの質問”を投げかけたいと思います。ちょっと考えてみてください。

QⅠ あなたが今の会社に就職しようと思った動機はズバリ何ですか?

QⅡ 今の会社への入社前と入社後では何が一番変わりましたか?

QⅢ あなたにとって、職業とは何ですか?

QⅣ あなたにとって、働くとは何ですか?

QⅤ 将来、あなたが仕事を辞めても続けていきたいことは何ですか?

 もし、あなたが会社の経営者だったり組織の長だったとしたら、あなたの部下に上記の質問に答えて貰うのも興味深いかもしれません。あなたの所属する組織カルチャーが確認出来るかもしれません。

 日頃、あなたが言葉にしている思いが部下たちにどのように伝わっているのか?の反応がよくわかります。もし、あなたの思いとズレがあるようでしたら、今一度『言葉の使い方』 『思いの共有の仕方』を振り返ってみる必要があるかもしれませんね!

《繁盛店》

 先日、十数年前に会社の設立から店の移転を含めての経営指導をやらせて頂きましたレストランで久しぶりにランチを楽しんできました。

 10年ぶり位でしたので、私のこと分かるかな?と思いながら入店しましたが、分かったらしくて声を掛けていただきました。

 時々テレビで特集されたりしていますが、放送日の週末は大行列が出来たりする《繁盛店》です。私が伺った日も11時半頃だったのですが、お客様はいっぱいでした。食後コーヒーをご馳走になりながら社長と少し話をしたのですが、色々と考えさせられることがありました。

 お店は30年以上の歴史があって、現在は2代目の育成が確実に進んでいてそろそろバトンを渡せる状況なのかな!と感じました。
 社長の話の中に
 『最近忙しくなってきて!』というものがありました。
 “えっ、以前から大繁盛だったじゃないの!”というのが私の率直な感想だったのですが、そのまま帰りました。

 帰ってから【社長のイメージしている繁盛店と私のイメージしている繁盛店】のレベルが違うことに気付きました。満足することなく、常に高い志を持って仕事をしている姿勢にちょっと感動しました。

 “継続は力なり”は、私の好きな言葉ですが、努力したことの結果は裏切ることなく何時か訪れるものだな!と感じさせてもらえた瞬間でした。

《経営計画の策定と実施運用》

 経営計画の策定と実施・運用までを各ステップごとに確認してみましょう!

※経営理念の作成・確認
 社員に対して経営者の思いを伝える
 自社の価値観や使命などを示す
※経営ビジョンの作成
 顧客に対して我社の思いを伝え共有できるものにする
 シンプルに表現する
※経営基本方針の策定
 経営理念・ビジョンに基づき、会社の方向性を示す
※短期事業計画の作成
 1年間の経営数値目標を設定する。
 月別の数値目標(予算)を設定する
※中長期事業計画の作成
 5年程度の数値目標を1年ずつ設定する
 10年後の目指すべき会社イメージを明確にする
※経営計画の書式化
 経営理念や個別方針などの『方針編』と
 事業計画などの『数値編』に分離してまとめる
※経営計画発表会
 顧客・金融機関を招待する
 社長が方針・数値目標を皆に発表する
※実施・運用
 事業計画書に実績を入れていく
 計画通り進んでいるかチェックする
 経営計画は毎年見直し修正する 

  

《見える化を考える》

 2000年に入ってから、“見える化”という言葉を使って企業の≪業務改善≫や≪問題解決≫への取組みがなされてきました。今日は、“見える化”について少し考えてみたいと思います。

 『見える化』という言葉は一見きわめて平易な言葉ですが、まずは・・・見える化とは・・・見たくなくても目に飛び込んできてしまう、そんな状態を作り出すことです。別な表現をすれば、【見せる化】と言うことでしょうか。企業活動においては、異常や問題が露見する前に、小さな変化や予兆をつかみ『見せる』ようにすることが、大事故・クレームを防ぐ大切なポイントになります。

 『見える化』は広い意味では情報共有であり、相手が『見よう』という意思を持っていることが前提になっています。

 ですから、『見える化』の基本は、相手の意思にかかわらず、さまざまな事実や問題が『目に飛び込んでくる』状態を作り出すことであり、【見える】から【見せる】に進化させなければならないのです。

 もう一つ重要な事は、『悪い情報』『後ろ向きの情報』が【見せる化】されることです。この種の情報は、本来『見せたくない』情報であり、放っておくと見えません。しかし、“悪さ”を早く発見・共有できれば、手遅れになる前に手を打つことができ、『見せる化』の価値も大きくなります。ですから、現場でおきている『悪い情報』を徹底的に見せるようにすることがポイントなのです。

《過剰サービス》

 最近、とある福祉法人で研修を実施した際に参加していた職員の方がひとつのデータを示してくれました。

 そのデータというのは“ディサービスでの利用者の入浴時間を調査”したものでした。そもそも“入浴時間を調査”してみようという動機は、日常業務の多忙さからだったのですが、従前は“人手が足りない” “時間が無い” “スキル不足”といった『言い訳』に終始して【じゃあ、どうしたら良いか】といった対策まで進んでいなかったのです。ところが、最近では色んな改善目標が具体的な行動計画として出でくるようになり私としては嬉しく感じています。

 データを拝見すると、利用者一人ひとりの入浴時間が二ヶ月間調査されており、1回当たりの入浴時間から平均入浴時間までが一覧できるようになっていました。素人の私が見ても分かる優れた表でした。その結果≪可視化≫出来たことは、Aさんは平均20分・Bさんは平均55分・Cさんは平均30分というように、今まではただなんとなく感覚的に感じていたことが、ハッキリデータとして確認できたということです。

 別の視点から見てみれば、個別ニーズの把握と個別対応が大切と福祉の業界内で叫ばれて久しいのですが、上記のケースにもあるように私の率直な感じとして、今介護サービスが《過剰サービス》に陥っているのではないのか!ということなのです。一般企業のように、時間の長い利用者については料金が高くなるようなシステムであれば納得もしますが、介護保険制度の中では基本的に一定額です。

 人・時・生産性という視点からも、介護サービスのあり様について考えてみる時期かもしれませんね。