『コミュニケーションスキル』から『バックトラッキング』

 先日は、『ミラーリング』のスキルについて書いてみました。さりげなく相手の『しぐさ』を真似してみることで、信頼関係が短時間で築けるという興味深いスキルでした。『ミラーリング』でもふれましたが、相手と会話をする際に《声の大小》《話すスピード》も大切でしたね。ゆっくり話す人には、ゆっくり話して、速く話す人には、相手のスピードに合わせて速く話します。また、声の大きい人には大きな声で、小さい人には小さい声で話す、といったようなことです。相手のペースに合わせるということが『自分の想い』を上手に伝えるポイントだと感じます。
 重要なことは『話した量ではなくて、伝わった量』です。

 今日は、引続き『コミュニケーション』から『バックトラッキング』というスキルをご案内したいと思います。まずは、モデルケースです。(保育園での先生と園児の会話です)
 ( 先 生 ) どうしたの? 一郎くん。
 ( 一 郎 ) 健太くんがね、ブランコ横取りしてね・・・・・・・
         【嗚咽がひどく、なかなか声にならない】
 ( 先 生 ) 健太くんがブランコ横取りしたのね。
 ( 一 郎 ) うん。それでね、僕がね、順番守れっていったらね・・・・・・・
 ( 先 生 ) 順番守れっていったのね。
 ( 一 郎 ) うん。そしたらね、健太くんがね、うるさいっていってね・・・・・・・
 ( 先 生 ) あら、うるさいなんていったんだ。
 ( 一 郎 ) そう。そうしてね、僕のことをね、ゲンコで叩いたんだよ!
 ( 先 生 ) あら、ゲンコで叩いたの?  大丈夫、痛くなかった?
 ( 一 郎 ) うん、大丈夫・・・・【少し元気になっている】
 ( 先 生 ) あら強いわねぇ!

 先生と一郎くんのやり取り、何か気付いたことはありますか?
 そうですね。先生は、一郎君の言ったことをオウム返ししていますね。私たちも、無意識にこの『バックトラッキング』のスキルを使用していることがありませんか。相手の言ったことを、コンパクトにして投げ返すといったようなことです。
 自分の言ったことを繰り返してもらうことの効果には、どのようなものがあるのでしょうか?
 上記の会話の事例で考えれば、一郎くんの言ったことを先生が繰り返してくれることで、一郎くんは『ああ、この先生はちゃんと自分の言ったことを聞いてくれている』と感じています。つまり、『健太くんがブランコ横取りしたうえに、一郎くんをゲンコで叩いた』という《問題》を《共有》していることが実感できているのです。今日は、ちょっとしたスキル『バックトラッキング』について書いてみました。