《目標管理と問題解決》

 問題の解決にあたって、あなたはどのようなアプローチをとっていますか。

 まずは問題の把握からスタートしていると思いますが、問題は大きく分けて二つあります。一つは既に発生している【顕在化された問題】、二つ目は【潜在的な問題】です。どちらも解決しなければならない事ですが、予防的な視点で考えれば【潜在的な問題】を早期に発見して対策を打つことがより重要となります。
 
 問題を発見したら次に何をすべきでしょうか?『困ったぞ。どうしよう』といったように、解決策にすぐ思考が向かいがちですが、(トラブル・クレーム等すぐに対応が必要な場合もあります)一旦何が原因で困った事象が起きているのかを冷静に分析する必要があります。できれば色々な角度から、そして色んな人たちの視点で原因を突き止めましょう。大切なことは、《犯人捜しにならないこと》と《多くの要因をみつけること》です。そして、みつけた要因に優先順位を設定して優先順位の高い要因から対策を考えていきます。次に、解決の為の目標を設定して具体的行動に落し込んでいきます。あとは具体的行動に対して質問を繰り返しながら解決に向けて進んでいきます。

 例えば、上司が部下の具体的な行動に対してどのような質問をしたらよいでしょうか?
 『あなたは、解決に向けて具体的行動を描きましたが、この行動をすることで解決できますか?』
 実際に行動をしてみないと結果の確認は出来ないのですが、まずは仮説を立案する段階でクオリティーの高い行動にするために上記のような質問を繰り返します。

 これらの事は、【結果の前工程であるプロセス行動】の重要性を説明しています。目標管理の運用の際には意識してみたいものです。

 

《ご褒美方式》

 “学力の経済学”・・・中室牧子著より

 『テストで良い点を取ればご褒美』それとも『本を読んだらご褒美』では、どちらが効果的?
二つの方法のうち、子どもの学力を上げる効果を持つのはどちらでしょうか?

 ハーバード大学のフライヤー教授の研究では、次のように説明しています。
 インプット、いわゆる子どもたちが本を読んだり宿題をした時にご褒美を与えることで行動を喚起することは出来るでしょうが、必ずしも成績が良くなるとは限りません。
 一方、アウトプット(良い点数)にご褒美を与えることは、より直接的に成績を良くすることを目標にしているのですから、直感的にはアウトプット(良い点数)にご褒美を与えるほうがうまくいきそうに思えます。
 しかし、結果は逆でした。学力テストの結果が良くなったのは、インプット(本を読む)にご褒美を与えられた子どもたちでした。どちらもやる気を見せたにもかかわらず、アウトプット(良い点数)にご褒美を与えられた子どもたちは、意外にも全く改善しませんでした。
 鍵は、子どもたちが『ご褒美』にどう反応し、行動したかということにありました。インプットにご褒美が与えられた場合、子どもたちにとって何をすべきかは明確です。一方『アウトプット』にご褒美が与えられた場合、何をすべきか具体的な方法は示されていません。彼ら自身にどうすれば学力を上げられるかが分からないのです。
 ここから得られる重要な教訓は、ご褒美はアウトプット(良い点数)ではなく、インプット(本を読む)に対して与えるべきだということです。

※統計学の先生からご紹介して頂いた本からでした。

《経営課題調査》

日本能率協会の『企業経営課題に関する調査』からです。

企業経営課題の上位
➊収益性の向上 40.8%  前回45.1%
➋人材の強化(採用・育成・多様化への対応) 37.7%  前回31.8%
➌売上・シェア拡大 35.2%  前回30.8%

組織・人事課題
➊管理職層のマネジメント能力向上 34.2%  前回32.9%
➋人事制度の見直し・定着  33.8%  前回29.5%
➌次世代経営層の発掘・育成  33.3%  前回28.4%
➍組織風土改革・意識改革  33.3%  前回32.3%

人財の安定的な採用・定着・育成は最優先の経営課題です。そして少子高齢化の時代です。外国人労働者、高齢者の活用も含めて人事管理が難しくなっていると感じます。

《職業人生二回》

 最近読んだ本で『未来の働き方を考えよう』・・・ちきりん著があります。共感できる部分がありましたのでご案内してみます。

【職業人生は二回選ぶものと考える】
 私が提案したいのは、最初から『職業人生は二回ある』という発想をすることです。『みんな、一生の間にふたつの異なる働き方を選べるものだと考えよう』という勧めです。
 従来の働き方は、20代で就職した後65歳まで42年間働き、定年後は寿命まで余生を楽しむというものでした。しかし今後は、職業生活をふたつに分け、職業も2回選び、前半と後半で異なる働き方をするのだと、考えるのです。
 具体的には、働く期間を20代から40代後半までの前期職業人生と、40代後半以降の後期職業人生に分けます。今40代の人は『さて、いよいよこれから、新たに職業を選び直す時期だ』『2回目の就活タイミングがやってきた』と考えればいいし、今20代の人は最初から『今は2回あるうちの、最初の就活をしているのだ』と考えればよいのです。今30代なら、10年後にどんな働き方を選ぶのか、あれこれ夢想するのも楽しいでしょう。
 この『一生の間に、2パターンの職業人生をおくる』という考え方は、寿命が延びる中で正解の見えない時代を生きる人にとって、様々なメリットがある、とてもいい案だと私は考えています。
 職業選びにかかわらず、入試だってゲームだって何かへの挑戦だって、一発勝負では勝手もよくわからないし、自分がどれだけ巧くやれるかも、よくわかりません。
 でも、チャンスは2回ある、1回失敗しても、もう一回やってみられる、と考えれば人生ちょっとらくになります。

※ちきりんさんは、ストックの老後人生からフローの老後人生へという興味深い発想を持っています。

《マネジメントを考える》

 ニューヨーク市警本部長のブラットンをご存じだろうか?彼は1990年代ニューヨークで数々の改革・改善の実績を上げています。その中から一つの事例を紹介します。

 ブラットンが市警本部長に就任する前のニューヨークの地下鉄は市民にひどく恐れられ『動く下水道』といった異名をとっていました。市民が乗車を避けたため収入は激減し、重罪の発生率もニューヨーク全体の3%だったためニューヨーク交通市警は深刻な事態に目を向けようとしませんでした。ブラットンの前任者たちは、地下鉄の安全性を高めるには各路線に警官を張り付かせ、あらゆる出入り口のパトロールを怠ってはならないとしていました。ただ、限りのある警官数では効果を上げるまでにはいかなかったのです。一般企業でも同じように、業績を高めるためにはそれに見合うだけの経営資源(人・物・金)を増やす必要がある、といった固定観念があります。

 ところがブラットンは、警官を増員しないままで、地下鉄の犯罪、恐怖の体験、混乱などを激減させました。ブラットンの分析によれば、大きな犯罪のほとんどは特定の路線や駅に偏っていることが分かりました。併せて、これら重点領域は防犯上きわめて大きな意味を持つにもかかわらず、充分な警官が配置されておらず、その一方で、いまだかつて犯罪らしい犯罪の通報がなかった路線や駅にも、同じ数の警官が割り当てられていることも判明したのです。解決策は、警官を重点領域に集中配置して、犯罪勢力を圧倒するというものでした。こうして、以前と同じ警官数で、犯罪件数の目覚ましい減少を勝ち取ったのです。

 経営資源を効果的に配分する良い事例だと感じています。

《キャリアパス》

 キャリアパスという言葉を聞いた言葉ありますか。入社してから、その企業で歩んでいくキャリアの道ということになるわけですが、最近とても重要なことだと考えています。

 組織活動では、社員が生き生きとモチベーションを高く維持しながら業務に臨むことは大切なことです。その為に色々な刺激を与えてモチベーションを維持しようとしていますが、中々うまく機能しません。特に従来型の外発的な動機付け(報酬・表彰・褒章等)
の手法だけでは一部の効果しか期待できません。

 そのような環境下で、キャリアパスとかキャリアデザインといった方法でモチベーションをアップさせることが期待されています。各ステップごとに職務要件・職能要件を明確にし、同時に役割と期待も明示します。そして、キャリアパス要件を上司と部下が共有しながら業務を進めていきます。職務・職能上の課題が明確になり、期待していること・期待されていることがハッキリすることは働きがいにつながります。【成 長】という言葉をキーワードにしてキャリアパス制度を上手に使ってみたいものです。

《ブルーオーシャン戦略》

 みなさんは、タイトルの“ブルーオーシャン戦略”という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?チャン・キムとレネ・モボル二ュが十数年前に本にして紹介しました。その本の中では、血みどろの競争が展開するレッドオーシャンに別れを告げ、競争がなく新規需要に満ちた、高成長と高収益につながる市場、すなわち、ブルーオーシャンへと漕ぎ出す方法が紹介されています。

 私が興味深く感じたのは【戦略キャンパス】の描き方です。本書では、アメリカでのワインの販売戦略を例にしていますが、少しご案内してみます。

 従来、アメリカでのワインの位置づけは、高価格の“高級ワイン”と、低価格の“デイリーワイン”が主流で市場を占めていました。そこで、カセラ・ワインズというメーカーが“イエローテイル”というブランドのワインを売り出す際に《戦略キャンパス》によってブルーオーシャンを切り開くことになります。従来のアメリカワインの競争要因は、次の6つになります。➊ワイン造りの極意・謳い文句 ➋マスマーケティング ➌ヴィンテージ ➍伝統・格式 ➎香り・味わい ➏品種 このような6つの要因に対して、高級ワインは全体的に高いポイントで逆にディリーワインは全体的に低いポイントになっています。

 そのようなワイン市場に、イエローテイルは価格要因はデイリーワインより少し高めの設定とし、他の5つの要因すべてにおいてデイリーワインより低い設定としました。そして、イエローテイルは、次の3つの要因を新たに設定し高いポイントになるようにしました。➊飲みやすさ ➋選びやすさ ➌楽しさ・意外性 その結果として高級ワインとディリーワインとの差別化により【ブルーオーシャン市場】が、新たに生まれたのです。

 今日は、戦略キャンパスの考え方について書いてみました。 

《返報性の法則》

 人から何か頂いたり、何かしてもらったときに、お返しをしたくなる心理状態を『返報性の法則』といいます。

 心理学者デニス・リーガンによって行われた『返報性』の実験を紹介します。

 美術鑑賞という名目の実験で参加者が集められて美術鑑賞はスタートしました。被験者とリーガン博士の助手であるジョーと二人での鑑賞です。何組かの実験を被験者だけをかえて行いました。ただし、一つだけ違いがありました。美術鑑賞の途中に休憩があります。その休憩の合間にジョーがコカ・コーラを買ってきて『君の分も買ってきたよ』と、手渡しするケースと、何もしないケースの違いです。それ以外ジョーは全く同じように振舞いました。

 さて、美術鑑賞が終わった後で、ジョーは被験者に対して、新車が当たるくじ付きチケットを一枚25セントで売っているけど、最も多くチケットを売れば、50ドルの賞金がもらえるので、何枚でもいいので協力してほしい、とお願いをしました。

 この実験の主要なテーマは、2つの条件下で、被験者がジョーから買ったチケットの枚数でした。もちろん、ジョーが事前にコカ・コーラという恩恵を与えていた被験者の方が多くのチケットを買ってくれたことは言うまでもありません。

 返報性の法則がどのように働くかを示す簡単な例ですが、このルールが持つ重要な特徴もあらわしています。注意したいことは、この法則は、人に対するマイナスの態度にも作用することです。相手に不愛想な態度をとられたら、自分も不愛想な態度をとったりしてしまいます。

 ギブ&テイクというよりも、ギブ&ギブという心がけが大切なのかもしれません。 

《大切なこと》

 陸前高田市から冷たい甘酒のお中元を頂きました。そこに一枚の栞が入っていましたのでご紹介します。

 大切なこと

 みんなが笑っていられること。
 夢中になれるものがあること。
 『ありがとう』が素直に言えること。
 子どもたちがいのちをいただいたことの大切さを知ること。
 お天道様にはかなわないことを体で感じること。
 命あるものを育てるのには、いっぱいの時間と愛情をかけること。

 『いただきます』と手をあわせること。
 家族で食卓を囲むこと。
 心配りができること。
 おじいちゃん、おばあちゃんを大切にすること。
 子どもたちをいっぱいほめてあげること。
 両手いっぱいひろげて、ぎゅっと抱きしめてあげること。
 『どうしてなんだろう?』がいっぱいあって、それが少しずつでもわかるようになること。
 おとなになって『これがわたし』と言えるようになること。

 愛している人たちに、恥ずかしがらずに『愛しているよ』と表現ができること。
 みなさまに『おいしい』と言ってくださる商品をつくりつづけること。
 みなさまが健康でいられること。
 そして、みなさまが幸せであること。

 陸前高田市 株式会社八木澤商店

 

《SDGs》

 このところ頻繁に目にするようになった《SDGs》ですが、読売新聞の投稿記事に次のようなものがありましたので、ご案内致します。

 “SDGs”意味知って・・・杉山 秀美 茨城県つくば市

 オフィス街に位置する私のアルバイト先のカフェには、平日たくさんのサラリーマンがやってくる。最近よく目にするのが、カラフルな丸いバッジを襟元につけたお客さんだ。国連が掲げている『SDGs(持続可能な開発目標)』を啓発することが目的のようだ。

 こうしたお客さんがテイクアウトのアイスコーヒーを注文するたび、私は心の中でこう思う。『お客様、マイボトルをお持ちいただければ、プラスチックごみが減る上に30円引きになりますよ』

 私自身、環境保護のために気をつけていることと言えばエコバックを使うことぐらいなので、人を批判するつもりはない。ただ、SDGsの意味を理解したうえでバッジを身につけてほしいと感じた。