《NLPコーチング》

 コーチングを社員研修に取り入れるようになって20年になります。きっかけは、人事考課制度の各組織への導入でした。

 人事考課制度のポイントは2つあります。一つは制度設計ですが、ルールの設定と人事考課シートの作成です。こちらのほうは、型をつくる作業になりますが、比較的簡単に出来ます。難しいのは、ポイントの二つ目の制度運用です。

 恥ずかしい話ですが、当時制度設計までは上手く進むのですが、運用がスムースにいきませんでした。色々な課題があったとは思います。

 そこで、コーチングのスキルを使ってみることにしました。ご存知のように、コーチングとは【クライアントの目標達成のお手伝い】をすることです。当時、人事考課制度の運用で特に難しいのが【目標評価】でした。コーチングの考え方をしっかり伝えてることと、制度運用の納得感を高めることで少しずつ組織活動になじんでいきました。

 コーチングの目的は、先ほども書きましたが【目標達成のお手伝い】です。チャレンジ目標を設定して、目標達成のプロセスをショートタイムで確認する作業になります。ただ、組織の規模が大きくなるとメンタル的に弱っている社員の方々も現実にいますが、そのような方々にチャレンジ目標の設定を求めても難しいケースもあります。本来のコーチングからは外れますが、その際は【NLP】のスキルによってメンタル面で弱った社員が元気になるようにサポートします。

 理想的には元気で積極的で熱い社員の組織と考えますが、弱っている社員が存在することも事実です。コーチングを有効に活用することで活力ある組織を創造することが可能です。 

《パワハラを考える》

 “パワーハラスメント”という言葉が頻繁に使われるようになって随分なりますね。初めのころは《新鮮な響き》を感じたものですが、最近では何だか?です。

 厚生労働省が2012年に公表した概念は『人間関係などの職場内の優位性を背景に』した行為としています。

 厚労省の12年の調査によると、【上司から部下への】パワハラが77%で、職位・年齢が上から下への行為が大半でした。当時【部下から上司へのパワハラ】も4%程度はありましたが、最近は、部下の態度や言動に悩まされる管理職が多くなってきているように感じます。

 逆パワハラは『管理能力が足りないと評価される』と思って、会社に相談しないケースも多く見られます。

 部下がルールを無視したり、指示に従わないということは組織運営上大きな問題があります。個人的には、パワハラに対する過剰な反応については如何なものか!という感じです。

 前回は『寛 容』ということについてご案内をしましたが、【ダメなことはダメ】といった姿勢が大切だと思います。 

《寛容ということ》

 幸せは、あなたの心が決める・・・・・渡辺和子著より

 寛容というのは『寛大で、よく人を許し、受け入れ、咎めだてをしないこと』と定義されていますが、それは決して『大目に見てやる』といった『甘やかし』と同じではないと思うのです。相手を許し、受け入れるにあたっては、真の思いやり、愛が、一見きびしく思えることさえあるのです。

 私は、真の『寛容』というものを、一人のアメリカ人のもとで仕事をしていた二十代の7年の間に、しっかり身をもって教えてもらいました。

 こと、仕事に関しては『寛容』のかけらもないきびしさであり、『ただの1セントの計算違いであったとしても、正確でないという点では、1万ドルの計算違いと変わりない』という理論を持ったその人のもとでは,僅かの間違いも許されませんでした。

 でも、温かかったのです。その人は人間そのものに対して、いつもその弱さを包み込み、許す愛と広い心の持ち主でした。

【パワハラ】【和気あいあい組織】ということに対して、考えさせられる文章でした。

《今に集中する》

 コーチングでは《今に集中しましょう》と、時々言います。

 例えば、あなたはこんな考え方をしていませんか?
『転職すれば、今の状況から逃れることができるのではないだろうか』
『この人と別れさえすれば、もっと素敵な人が現れるのではないだろうか』
『結婚すれば、今の環境から抜け出せるのではないだろうか』

『~~であったら』『~~でさえなかったら』といった発想にはきりがありません。

 それは、あなた自身が『今を生きていない』ということです。
 『今を生きることができない』から、あなたの想いは過去や未来に飛び、過去のことを思い出しては後悔し、未来に対しては不安を感じてしまうという悪循環に陥っているのです。

 そんな状態から脱出するには、『今を生きることに集中』する必要があります。
 過去を変えることは難しいです。変えることが出来るのは今の現実です。未来に対して不安を感じるのではなくて、今、出来ることに集中してみましょう。

《立体的コミュニケーションを意識する》

 こうやって、考える・・・・・外山滋比古著から

 “立体的コミュニケーションを意識する”

 ひとりではいけない。二人でも足りない。それが三人になると、知恵が出る。

 ひとりの考えは、いわば点である。二人の話し合いは、線と面をつくることができるが、平面的であるのは是非もない。

 三人寄れば、立体的コミュニケーションが可能になって、点的思考や平面的思考では及びもつかない複雑、混然の豊かさをとらえることが可能になる。 

《増える“地域限定”社員》

 学生に『地元志向』・・・・読売新聞の記事より

 警備大手セコムが東京都内で開いた内定式には、学生約230人が出席。このうち、今年度新設した採用枠『エリア総合』コースは66人を占めた。原則、本人が希望した都道府県か、そこから通勤可能な隣県が勤務地となる。広島市の大学に通う松本さん(21)は、出身地の愛媛県を希望。『家族の近くにいたいし、愛着のある地元で働きたい。全国転勤がある企業は応募しなかった』と話す。

 武田薬品工業も都内で内定式を開き、約50人が出席した。同社は2015年から、医薬品の営業職に『勤務地限定制度』を導入。30道県から勤務地を選ぶことができ、例年新入社員のうち数人が利用する。全国転勤を敬遠する地方の優秀な学生を獲得するためで、採用担当者は『営業職は地域密着型の仕事。地元志向の強い社員は成績も良い』と説明する。

 就職情報会社ディスコが8月、来春卒業予定の学生に就職先を決めた理由(複数回答)を尋ねたところ、『希望の勤務地で働ける』は2割に達した。

 法政大学キャリアデザイン学部の武田恵美子教授は『共働きが一般的になり、学生は転勤を、子育てやキャリア形成上のリスクと捉えている』と分析。地域限定社員は、転勤のある社員と待遇面で差をつけられる場合もあり、『企業は双方に納得感のある制度を構築すべきだ』と指摘した。

《目標管理について》

 目標管理といえば、P・ドラッカーのmanagement by objectives(M・B・O)が有名です。直訳すれば【目標による経営管理】となるのでしょうか!

 目標を使って《組織を一定の方向へ導いたり》《目標を使って変化を起こしたり》を狙うのだと思いますが、根本的に人も組織も目標を設定すると自動的にそこに向かっていくという機能を持っているようです。

 P・ドラッカーのM・B・Oを少し注意して読むと、最後にself・controlという言葉が隠れています。もう少し具体的に表現すれば、目標はノルマ目標のように他者から与えられるものではなくて、自分自身で考えて設定するものだ、ということです。モチベーションの違いを実感できるかと思います。

 私が現場で指導をして今感じている“目標を持って仕事に臨むことの意味”は、次の三つです。

➀組織として進むべき方向が必要であること。(ベクトルをあわせる)
 正しいか、誤りであるかは別として目標(方向)は必要である。 
➁殻を破ったり、マンネリを打破(イノベーション)するには、チャレンジ目標が必要であり、成長の為の道具と考える。
➂目標設定によって、達成のためのプロセスを考えるようになる。(考える組織の第一ステップ)

 目標を設定する際のポイントは《目標が達成された状態をイメージ》することである。

《整頓とは》

 『整 頓』とは、いつでも誰でも、必要なモノが必要な時に、すぐに取り出せるようにすることです。トヨタでは、10秒の時間で取り出すことをルールにしているようです。さすがにトヨタは凄いと感じますが、一定の時間を設定することはとても大切です。人は、一定の目安となる時間がないと《早いのか・遅いのか?》の比較が出来ないので、必要なデータを見つけるまで30分以上もかかっているのに平気なのです。

 時間を設定したら、次は『定位置』を決めます。すべての『モノ』の置き場所を決めます。社員がいかに効率的に動けるかという作業動線を考慮し、レイアウトを決めていくのです。

 3番目は、モノの有無と量が見た目でわかる状態にする『定量』です。モノの最大量か最小量を決めておくと、現在の使用状態がすぐにわかるほか、使用後元に戻されやすいという利点もあります。

 4番目は、決めた方向にモノの向きを一定にする『定方向』を行います。たとえば、マーカーも向きを一定にそろえるのです。向きをそろえると気分もよくなります。

 モノ探しの時間設定・定位置・定量・定方向を案内しました。些細なことですが、試してみると効果が期待できます。

 

《3Sによるムダの減少》

 3S活動というのは、皆さんご存知のように【整理】【整頓】【清掃】を徹底することです。これに【清潔】【躾】をプラスして5S活動として実践している会社もたくさんあります。

 最近弊社では、医療・福祉法人向けに3S活動の提案と実践に挑戦しています。目的としていることは、3Sの中の【整頓】を徹底することで《もの探しのムダ》を減少することにあります。仮に100人職員がいる組織で、職員一人が1日5分《もの探しの》ムダ時間があるとすれば、次のような仮説をたてることができます。

 5分✕22日✕100名✕12ヵ月=2200時間(年間ロス時間)
 2200時間✕1500円=330万円(年間ロス金額)・・・時給1500円で計算

 コクヨの調査によると、平均一人20分を《もの探し》に使っているそうです。この計算の4倍です。100人規模の組織で年間1320万円のロスで、およそ4人分の労働力を無駄にしていることになります。見逃しがちな小さなことの積み重ねが大きなものになります。

 業務改善の一環として取り組んで頂きますが、《もの探しのムダ》に絞って提案を出してもらいますから、効果は大です。多少ノルマ的に改善提案を出してもらいますが、この目的は《日々考えながら業務に励んでもらう》ことにあります。

『自ら考え、自ら行動できる』ことが組織活動には重要なことだと思います。

《組織風土・カルチャー》

 色々な組織に伺って仕事をしていると、組織の雰囲気の違いに驚かされることが多いです。

 例えば、代表的なものとして【積極的な組織】 【慎重な組織】 【ポジティブな組織】 【ネガティブな組織】があります。組織は人の集まりですから、突き詰めていけば人間の性格・個性と同様のものと考えられます。特に小さい組織は、トップの性格・個性が反映された《組織風土・カルチャー》になっていと思います。

 最近の事例で興味深いことがありました。社員数名の小さい組織でのことです。この会社は、社長が三十歳前に開業して早いもので三十数年が経過しました。私は法人の設立からお手伝いをさせて貰っています。社長の人柄を反映してか、アットホームな感じの組織カルチャーです。半年ほど前に、経験豊富な社員が入社してから雰囲気が変化してきてる感じがします。たまに伺ったり、社長の話を聞いての事ですが!

 この社員さんは、何かと権利主張が強いらしくて、給与・労働時間・有給休暇等いろんな要求をするそうです。(権利主張が間違っているわけではありません)良いか、悪いかは別にして、新入社員さんの持つ雰囲気がアッとホームな組織カルチャ―を壊しつつあります。組織運営上はどうなんだろうか?と現在考えている最中です。

 人が周囲に与える影響力の凄さを実感していますが、組織として成果が出て社員が働きがいを感じることが出来る職場になってくれることを今は期待しています。