《聴く力・尋ねる力》

 新入社員も入社半年になって、大分組織に馴染んできていることでしょう。今日は、コミュニケーションの初歩段階について考えてみたいと思います。 

 上司やお客様と会話をするときに、こちらの聴き方によって相手に与える印象は大きく変わります。

 ポイントは、積極的に聴くということです。受け身ではなくて、能動的に聴くということになりますが、会話や相手の表情に合わせてタイミングよく相づちを打つことは大変に有効です。相づちも『なるほど』『そうですね』『おっしゃる通りです』等、多少のバリエーションを上手に組合わせるといいです。

 聴きながらメモを取ることは、こちらの聴こうとする姿勢が伝わると言われますが、中には【メモを取られると話しずらくなる】とおっしゃる方もいるので、状況と相手を見て判断したいものです。

 私が意識していることは【質問をすること】より【相手の話を遮らないで最後まで聴く】ことです。中々難しいことですが、大切なことです。

 最後に聴くということは次の3つになります、更なるステップアップのために必要です。

※アドバイスをしようとしない
※励まさない
※価値判断しない
 
 

 

《賃金診断》

 企業の稼ぎである付加価値の半分近くが人件費として支払われている。この原資を企業の競争力に結びつけることが、好不況の波を乗り越えて、企業が力強く伸びていくために不可欠であるという視点から、賃金総研グループでは【賃金診断】を勧めています。

 この【賃金診断】では、企業の現状を次のような内容で分析・診断しています。

※労働生産性分析
 ➀売上と粗利確保にかかっている人件費コストは?
 ➁同規模・同業者との賃金比較は?
 ➂人件費の肥大化に陥っていないか?

※賃金制度分析
 ➀年齢別・役職別・職種別の賃金分布は?
 ➁賃金分布に特殊な偏りや、アンバランスはないか?
 ➂社員のモラルアップ・レベルアップにつながる制度になっているか?

 診断結果とともに、今後の対策についての方向性も、ご提示しています。

 今、貴社に求められている新賃金システム設計に向けご活用下さい。

《エン・ジャパンの調査データ》

 現在、政府は【副業・兼業】を推進しようとしていますが、エン・ジャパンが興味深いアンケート結果を公表していますのでご案内します。

【アンケートの結果内容】
 副業については、41%が希望している。(希望している・・・18%  どちらかと言えば希望している・・・23%)
 
 興味深いことは、仕事の満足度によって差が出ていることです。
 仕事の満足度が高い人・・・・・副業希望者・・・53%
 仕事の満足度の低い人・・・・・副業希望者・・・37%

 仮に、仕事への満足度が高い人が良い仕事をしているとすれば、会社として【副業を認める方向】で考えることは、組織戦略上大切なことかもしれません。 

 

《クレーム・一考》

 出口治明(大学学長)のコメント

 日本には『お客様は神様です』という間違った思想が根強いと思います。『お客様第一主義』といえは聞こえはいいのですが、ともすれば客の言うことさえ聞けばいい、という事なかれ主義につながります。

 硬い言い方をすると、物を買う行為は対等な人間同士の売買契約です。客が対応が悪いと主張して、従業員に土下座をさせるような行為が対等な関係とは到底思えません。客も従業員も同じ市民なのです。

 これは当たり前のことですから、職場内でも上司に堂々とあなたの意見を言えばいいのではないでしょうか。同じ気持ちを持つ同僚もきっといるでしょうから、仲間と一緒に改善を訴える方法もありますね。

 最後にクレームの価値についてです。客が欲求不満をぶつけている面がないわけではありませんが、店側が気がつかないことを指摘されて、仕事の改善につながることもあります。

 一般に多くの企業がクレームを大切に扱っているのは、もっといい仕事をするきっかけになるからで、僕自身も会社を経営している時、『どんなささいなクレームでもトップまで上げろ』と指示していました。クレームにはそういう利点があることは心に留めておいてください。

《自己放棄》

 心理療法入門・・・・河合隼雄著より

 心理療法の問題に深くかかわっていると、治療者自身の個性ということが必ず関係してくる。このことが、心理療法に学派の相違が生じてくる要因となっている。フロイトの精神分析学、ユングの分析心理学、いずれにしろ、彼らの個性と深くかかわっている。このように考えてくると、心理療法の理論は、心理療法家それぞれの個性に従って、心理療法家の数だけあることになってくる。このことは、基本的に正しい、と筆者は考える。そうなると、心理療法家が『フロイト派』とか『ユング派』とか名乗るのはおかしいのではないか。各人が自分の流儀によって心理療法をするべきではなかろうか。そこで折衷主義ということも主張される。つまり、いろいろな学派の理論を自分の個性と照らし合わせて、自分にとってふさわしいと思うものを折衷してゆくという考えである。

 ここで忘れてならないのは、個性というものは常に形成過程にあるものであり、相当な鍛錬によってこそ形成されてくるものである、ということである。それは、相当な自己否定や自己放棄、自己に対する懐疑などを経ずに顕われてくるものではない。そのような点で、ある学派を選択するということは、一種の自己放棄なのである。これを踏まえたうえでいかにして独り立ちできる心理療法家になるかが問われるのである。この点についての自覚のない者は、ややもすると学派の創始者を『教祖』のように思うような傾向に陥ってしまう。それに反して、折衷派の人は、自分らしい方法を生み出してゆく努力を重ねていても、自己放棄や自己否定を体験しない甘さがつきまとうことになる。いずれの道を選ぶにしても、そこに生じる一長一短について自覚することであろう。

 私は、自己選択、自己決定ということについて考えることが多いのですが、『折衷派』という視点もあるのか?と参考になりましたので、ご紹介しました。

《介護の現場に3S活動を》

 読売新聞の記事に《トヨタ方式で業務改善》がありました。介護の現場での取り組みでしたが、とても興味深く読みました。

 医療・福祉の経営・人事のコンサルを2000年からスタートして、多くの現場を見てきました。そして、強く感じることは【業務改善能力】が低いことです。多くの法人が、業務改善を事業目標の一つに掲げていて積極的に取り組んではいるのですが、今一つの成果と言わざるを得ません。

 新聞の記事では、業務改善の具体的な方法を次のように紹介しています。

 介護職員の小川さんは、食事の準備の様子を動画で撮影してもらい、先輩職員の動画と見比べてみた。台所を行ったり来たり、冷蔵庫を何度も開けるなど『無駄な動きが多いなあ』と気づかされた。

 また、整理整頓も重要だ。備品庫も、まず不要品を捨てた。トイレットペーハーや洗剤などを棚の決まった位置に並べて、必要個数を書いたラベルを貼り、不足分が一目で分かるようにした。補充は業者にまかせることで、発注の手間を省いた。

 ベンチマーキングの手法と、定位置管理・定量管理を見える化しています。それと同時に作業標準マニュアルを作成して、職員一人当たり14分の業務時間短縮を実現したそうです。職員数にもよりますが、年間数千時間の業務改善になり、金額に換算すると千万単位のコストダウンになります。

 人手出不足の時代です。見習いたいものです。

 

《達成感という動機付け》

 人を動機づけるために様々な手法がありますが、ちょっと確認してみましょう。

【ハーズバーグの動機付け理論】
 ➀ 目標が達成できること
 ➁ 達成したことが承認されること
 ➂ 価値あることへの挑戦
 ➃ 自己成長感
 ➄ 職責・責任が拡大すること

【マズローの欲求充足理論】
 ➀ 報酬を含め物質的欲求を満たしてくれるもの
 ➁ 愛されたいという欲求を満たしてくれるもの
 ➂ 認められたいという欲求をみたしてくれるもの
 ➃ 自分のやりたいという欲求を満たしてくれるもの

 動機付けの要因は色々ありますが、身近なところでは『できた』『やった』という何かをやり遂げたという【達成感】のエネルギーはとても強いものだと日頃感じています。仕事でも、目標を設定して挑戦していく姿勢はとても大切なことだと思います。ただ、設定した目標が未達成の場合が圧倒的に多いのが現実です。そこで、上司はうまくいこうがいくまいが、『やれた』という達成感をスタッフに与え続けなければなりません。

 達成感があれば、部下から『次、またやりましょう』という言葉が出てくるはずです。部下が求めているのは、満足であり感動です。
 

 

《人事考課への納得感》

 人事考課に対する不満が、私の実務面からの実感として【50%】程度かな?と思っていました。(人事考課賛成派半分・反対派半分)しかし、とあるリサーチ会社の人事考課制度へのアンケート結果によると、およそ70%以上の社員が何らかの不満を持っているようです。

 不満項目別に分析してみると次のようになります。

【評価基準が不明確】
 評価基準が不明確になっていることで、何をやれば高い評価になるのかがぼやけてしまいます。また、評価する側からすれば甘・辛といったような考課エラーに繫がっていく心配があります。

【公正・正当でない】
 これも、評価基準が明確になっていないことが原因と考えられますが、評価する人の好き嫌いの影響を受けたり、同じ行動が上司次第で変わってしまうということが起きます。

【フィードバックがない】
 評価結果がフィードバックされないことで、自己評価とのギャップが確認できないし、主観的自己評価のままでは、改善すべき点・伸ばすべき点がはっきりしない。

【所  見】
 実務担当者としての考えですが、根本的に人は評価されたいと思っています。評価しないということは、無視することにちかいかな?
 また、人が人を評価するわけですから好き嫌い、甘・辛といった考課エラーも当然に発生してきます。調査結果にもあるように【評価基準を明確化】することで
一定の効果は期待できると思いますが、大切なことはギャップのある考課項目についてはフィードバックを実施することです。

 社員の成長といった視点での人事考課制度の運用に留意するとよいと思います。

《ネット記事・新卒1000万円》

 ネットの記事で気になる内容のものがありました。
 
【NECは新卒1000万円 NTTは1億円 研究者待遇】

 新卒の1000万円は年収ということですが、最近の大卒の初任給の月額が21万円とすれば、年収で330万円程度になります。従って1000万円というのは、実に三倍ですからインパクトがありますね。記事によると、今年の10月からの人事制度改定により、新入社員でも1000万円以上の年収を得られるようにするようです。本給・手当・賞与で、どのようにコントロールするのか興味深いところです。

 一方のNTT 1億円のほうは、現在日本国内のエキスパート研究者で年収2000万円程度の水準だが、米国並みにスター研究者には年1億円以上の報酬を出す用意があると澤田社長が語ったとあります。

 この2つの事例は、今の日本の人手不足と優秀な社員の離職といった問題が如実に反映されていると感じました。

 1000万円とか1億円を用意できない中小企業は、どうしたらようのでしょうか?悩ましい問題です。

《業務改善の視点を数値で》

 働き方改革の影響か、業務改善に取り組む組織が増えてきているように感じます。業務改善によってコストダウンが実現出来たり生産性が向上したりと様々な効果が期待できます。

 その際にとの位の金額のコストダウンだったのか、生産性は何%程度アップしたのか数値化することがとても重要です。

 例えば、3Sの《整頓目標》を、必要な材料・備品・データなどを15秒で見つけることが出来るようにする、とします。その成果を数値では次のように表現することになります。

《タイムイズマネー》
 社員一人1日5分の節約 ✖ 1ケ月22日 ✖ 社員数100名 ✖ 1年間12ケ月 = 年間3200時間の節約
 3200時間 ✖ 一人時間単価1500円 = 年間330万円の節約となります。

 自分たちの実行したことの結果を《見える化》することは、社員のモチベーションにも良い影響を与えることになります。

 業務改善に限ったことではありませんが、自分たちの行動を数値に置き換えて考えてみるようにして下さい。