《人事考課の時期ですね》

 三月に入り、新年度の予算・下期の人事考課と忙しい時期になりました。そこで、今日は人事考課について少し考えてみたいと思います。

 まずは、原点に帰って、人事考課の目的と機能について確認してみたいと思います。

 人事考課の目的・機能という点から考察すると主に三つ考えられます。

 一つ目の機能としては『社員のやる気を維持する』ことです。ここでは会社が持つ資金を社員の能力・成果・役割等に応じて適正に割り振ることにより、社員を会社にとどめておき、安定した組織を維持すること、つまり人事考課や処遇を適切におこなうことで、社員の仕事に対する意欲や組織への帰属意識を保とうとすることです。

 二つ目は、会社の期待に沿った形で社員に成長してもらう、つまり『人を育てる』ということです。人事考課を実施することで、社員として何をすべきか、何ができるようになれば良いか、またどういう心構えでいるべきか等について会社からのメッセージが伝えられます。社員の成長を促すような考課項目・考課面接・フィードバックでありたいと考えます。 

 三つ目は、適切な人事考課によって社員の意欲や能力の発揮が会社の経営戦略や経営方針と結び付くということです。人事考課や処遇を通じて会社目標の実現へと導いていく必要があるわけです。

 最後に、上司と部下との間にある考え方・捉え方のギャップを埋めていくことが組織運営では大切なポイントではないかと日頃強く感じています。そのためには、丁寧に面接を実施する必要があると思います。

 新年度に向けて、部下に期待することをしっかり伝えてください。 

《問題解決型の教育》

 “20歳のときに知っておきたかったこと” スタンフォード大学集中講義の本を読んでいます。

 なかなか興味深いので少しご案内します。

 いま、手元に5ドルあります。2時間でできるだけ増やせと言われたら、皆さんはどうしますか?
 これは、私がスタンフォード大学で実際に学生に出した課題です。クラスを14チームに分け、各チームには、元手として5ドルの入った封筒を渡します。課題にあてられる時間は水曜日の午後から日曜日の夕方まで。このあいだ、計画を練る時間はいくら使ってもかまいませんが、一旦封筒を開けたら、2時間以内にできるだけお金を増やさなくてはいけません。
 実際にどんなことをしたのかを1枚のスライドにまとめ、日曜日の夕方提出してもらいます。そして、月曜日の午後、チームごとに3分間で発表してもらいます。
 学生たちに企業家精神を発揮してもらおう・・・・常識を疑い、チャンスを見つけ、限られた資源を活用し、創意工夫をしてもらおうというわけです。
 
 興味深い授業ですね。学生時代に問題を解決する力が鍛えられて社会に出てくることになるわけです。ご紹介した事例以外にも色々な課題に挑戦する様子が本になっています。

 一般企業のトレーニングに採用できないか?ただいま検討中です。

《川崎の虐待転落死を考える》

 このところ、テレビで“川崎市の有料老人ホーム虐待転落死事件”が繰り返し報道されています。当初容疑者である介護員の男性は、インタビューに対しても否認していました。介護施設の研修で、介護員の方々と“虐待について議論”をすることがありますが、『自分の感情をコントロール出来なくなりそうな時はあります。』と、正直な発言をされることがあります。

 夜勤が続いて疲れがたまっていたり、家庭でイライラすることがあったりと日常的に色んなことがあります。仕事とは割り切っているつもりでもついつい“カッとなったり、イラッとなったり”するのが人間なのだと思います。

 あるマスメディアの報道では、低賃金が虐待の原因であるような論調になっていました。介護員・保育士の低賃金の話題には事欠きませんが、処遇改善をすることで解決できることなのでしょうか!多くの賃金をもらうことができるに越したことはありませんが、どうも腑に落ちません。

 対策の一つは、労働環境の改善(労働時間)と職員に対する倫理研修が大切だと感じています。

《タレント性》

 10年以上前になりますが、グループの勉強会で講師の方が『人材、タレントこそ差別化の最大のポイントである』と話されました。以来そのことが私の頭の中にズットあります。

 タレントとは、一般的には【才能がある】とか【個性的である】の意味で使われます。芸能界では名詞として【芸能人】ということになるのだと思います。

 最近読んだ本から引用します。(蓬台浩明 著 社員をバーベキューに行かせよう)

 社員のタレント性について考えてみたいと思います。みなさんから必要とされ、愛される人間にするには、どうすればよいのでしょうか。

 タレント性があるということは、その人独自の個性や、内面的な魅力を評価した表現だと思います。その魅力を恒常的に発揮できるようになると、本当の意味でのタレントという意味になるのではないでしょうか。

 私たちの会社では、お客様から名指しで誘われ、一緒に釣りに行ったり、サーフィンに行ったり、キャンプに行ったりする社員が少なくありません。芸能人ではなくても、お客様に魅力を感じていただき、人気を得ているという意味では、立派なタレントであると評価してよいでしょう。

 タレント力を身につけるうえで、決して忘れてはならないことがあります。商品(自分)は、市場(他人)のためにあるということです。自分がなりたいものになるのではなくて、他人の期待に応えることです。これがタレント力の基本ではないでしょうか。

 私は無理強いをしない範囲で、こんな発想で会社を経営しています。厳しさと楽しさを持ち、常にお客様に感動を与えながら、成長し続ける社風をつくろうとしています。

※毎週一回必ず社内でバーベキューを実施している興味深い会社です。

 

《五つの質問》

 今日は、あなたに“五つの質問”を投げかけたいと思います。ちょっと考えてみてください。

QⅠ あなたが今の会社に就職しようと思った動機はズバリ何ですか?

QⅡ 今の会社への入社前と入社後では何が一番変わりましたか?

QⅢ あなたにとって、職業とは何ですか?

QⅣ あなたにとって、働くとは何ですか?

QⅤ 将来、あなたが仕事を辞めても続けていきたいことは何ですか?

 もし、あなたが会社の経営者だったり組織の長だったとしたら、あなたの部下に上記の質問に答えて貰うのも興味深いかもしれません。あなたの所属する組織カルチャーが確認出来るかもしれません。

 日頃、あなたが言葉にしている思いが部下たちにどのように伝わっているのか?の反応がよくわかります。もし、あなたの思いとズレがあるようでしたら、今一度『言葉の使い方』 『思いの共有の仕方』を振り返ってみる必要があるかもしれませんね!

《燃え尽き症候群》

あなたにも思いあたるフシ、ありませんか?

 念願のマイホームを手に入れた。第一志望の大学に見事に合格した。子育てが終わった・・・・等々、ある目標を成し遂げた後にフッと虚脱状態に陥ることがあります。このような症状のことを『空の巣症候群』と呼んでいます。

 また、教師が一所懸命に生徒を指導したり、カウンセラーが心身を削ってクライアントを治療しても、一向に成果が出ないときなども、やはり虚脱状態になります。

 この虚脱状態があまりに長引くと様々なところで支障をきたします。もう何をやっても興味がわかず、中途半端になる、何もする気が起らないといった無気力状態に陥ってしまうのです。

 このような状態を『燃え尽き症候群』と呼んでいます。

 性格的には、几帳面で真面目に物事にあたり、何事にも手を抜けない人が陥りやすいといえます。

 ゲシュタルト心理学によると、人は目標を実現してしまうとエネルギーの供給を制限していまいます。それは、目標を実現してしまうと維持するためのエネルギーを除いて消滅してしまうということなのです。ですから、エネルギーの供給を維持するためには、目標の実現に近づいたら“目標を拡大する”か、“次の目標を設定する”ことが必要になるのです。

 私たちは、目標を常に持ち、睡眠さえ普通にとっていればエネルギーが無くなるということはないのです。 

《答えてください・10個の質問》

 今日は、私から10個の質問を用意しました。是非答えを考えてみてください。

Ⅰ あなたは何を持ちたいですか。
Ⅱ あなたは何をしたいですか。
Ⅲ あなたは何になりたいですか。

1 あなたの目標を5つ教えてください。
2 次の言葉に対するあなたの願望を明確にしてください。
  時 間  お 金  努 力  リスク(危険)
3 目標達成したい理由をリストアップしてください。
4 どのようにして、映像化するのか書き出してください。
5 あなたは、目標を達成している状況を強くイメージできていますか。
6 あなたは目標の達成に対する否定的なイメージがありますか。
  それを締め出してください。
7 目標を達成した後に、次に挑戦したい目標を書き出してください。

《慣れを打破する》

 悪しきことにしろ、良いことにしろ、私たち人間は“現状に慣れて”しまうものです。定期的に今の現状をチェックする習慣を身につけたいものです。

※家を見回して、慣れてしまっているものをリストアップしてください。
 例えば、ポタポタ水の垂れている蛇口。そのままになっている切れた電球。

※日常を振り返り、家庭や職場で慣れてしまっている生活の質、人間関係をリストアップしてください。
 それは、あなたが望んでいる状態ですか?

※同僚と情熱を込めて設定した目標について話し合ってください。
 未だに熱意をもって続行していますか?
 それとも、興味がうすれましたか?

※顧客に対するサービスの質について、同僚と話し合ってください。
 顧客のためにも、会社にとっても良いものですか?
 
※同僚と“認識とチームワーク”について話し合ってください。
 会社のサービス・質・未来について、どのように認識していますか?
 その認識はあなたの部のパフォーマンスと関係していますか? 

 慣れた状態に浸かっている自分に気づくことができたでしょうか!

 

《フレームとは何か》

 『フレームとは、問題解決の際に一つの答えを導き出す為の枠組みです』

 良く使用されるのが“アズ・イフ・フレーム”です。
 英語のas ifから来ているもので、『もしも~~だったら』、また『仮に』『例えば』という言葉を使って問いかけていきます。

 このフレームは、行き詰っている時に有効で、視点を変えたり、新たなアイデアを生み出したりしてくれます。

 例えば次のような質問をしてみます。
※もし、英語が話せるようになったらどうする?
※もし、禁煙が出来たらどうしたい?
※もし、ダイエットが出来たらどうする?
※仮に、大金が入ったら何をする?
※例えば、尊敬する◎◎さんだったら、こんな時どうするかな?
 などの質問です。

 尊敬やあこがれる人の視点に立ってみることは視野を拡げたり、視点を具体的にする効果があります。
 
 実際にやってみると、瞬時に視点が変わることを実感できると思います。どうぞお試しあれ。
 

 

《行動を改めない部下の指導》

 行動心理学の考え方の中に『ガスリーのコート』という話があります。

 まずは、質問です。

 子どもが外出先から帰ってくると、コートを掛けずにポーンとそこに放り出して出かけてしまいます。親のあなたとしては当然『コートを掛けなさい』と注意します。しかし子どもはその時だけ『ハーイ』と生返事をして、翌日学校から帰るとまた、コートを放り投げます。 
 さあ、あなたはこの子どもにどうやってコートを掛けさせますか?

 『叱りつける』『コートを掛けるまで外に出てはいけない、と言う』『コートを掛けるまでご飯を与えない』『コートを掛けたくなるような、かわいいキャラクターのハンガーを買ってあげる』等々いろんな意見が出そうですね。

 この場合の正解は次のようになります。

 子どもに放り出したコートを着せて、もう一度ドアの外に出して、改めて『ただいま』と言って入ってこさせる。
 つまり、まったく同じシーンを繰り返させ、コートをハンガーに掛けることができるまで、繰り返しトレーニングする、というのが《ガスリーのコート》の教訓なのです。

 無意識で行っていることを意識させて、行動習慣が変わるまで繰り返すことで身に着くのです。『言葉だけ』での指導とか、注意とかに気をつけないといけませんね。