《歴史上の人物に学ぶリーダーシップ Ⅱ》

 前回に続き今日は『豊臣秀吉』について考えてみたいと思います。

 秀吉は『先見の明をもった人物』でした。秀吉は、世に広く知られているように、日本史上で一番の出世を果たした人です。百姓の身分から足軽を経て、最後には見事に太閤と呼ばれる身分にまでなったのです。彼を、天下を取る地位まで引き上げた、彼の見つけた活路とは何だったのでしょうか。

 秀吉が活路を見いだしたのは、信長の下級家臣であった時のことになります。対朝倉と対浅井の戦いで、信長が京に逃げ帰る際にシンガリを名乗り出たことこそが、その後を決める活路だったのです。シンガリとは、戦いで敗走する時戦場に居残り、玉砕し残りの兵を逃がす役割をする一隊をいいます。別の言い方をすれば、決死隊です。味方の武将が逃げおおせるまで、時間稼ぎのために身体を張って敵と戦い続ける役目です。ほとんどの場合が全員死ぬのです。

 秀吉は、決死の覚悟の上で、このシンガリをやり通した暁にあるメリットに着目したのです。
①用心深い信長ですら自分を信用するようになるであろう
②秀吉の出現を面白くないと思っている古参の家臣たちにも恩をきせることができる
 と考えたことでしょう。

 秀吉は、味方を逃がす時鉄砲を置いていかせ、兵が攻め込んできた時、いっせいに鉄砲をうちました。こんなシンガリに会ったことのない浅井・朝倉はド肝を抜かれ、何か策略があると疑い、逃げてしまいました。

 この役目を見事にやり通したからこそ、その後の秀吉の出世話は広く世に知られることになるのです。

《歴史上の人物に学ぶリーダーシップ》

最近のテレビで、小栗旬演じる『織田信長』と竹中直人の『豊臣秀吉』を見ながら現代のリーダーシップ論で学ぶべきことがたくさんあることに気がつきました。

まずは、『織田信長』です。

信長の祖父は、家老という家柄で初めて町人の娘と結婚しました。当時はまったくそのような例はなかったといってよい時代です。そして、その結婚により、莫大な財産を手に入れることができました。財を持つことによって、時の朝廷への寄付ができ、斎藤道三との合戦に負けた時にでも動じない財力を持っていられたのです。つまらないしきたりにこだわることなく、実利をとった結婚をしたことが天下取りのそもそもの始まりであったといえます。

しかし、当時の織田家は他家と比べたら、その財も兵力もまだまだ小さいものでした。

そのような家に生まれ育った信長ですが、父親同様、いやそれ以上の新しもの好き、変わりものでした。風変わりな髪形を考えつき、将でありながらも屋敷にじっとせず、毎日城下を馬で駆け回っていました。しかし、彼が変わり者・乱暴者と呼ばれながらも領内を駆け回っていたのも、どこで、どのようにして戦えば勝てるかの『戦略』を見いだすためであったと考えられます。

今川軍との有名な戦い『桶狭間の戦い』では、今川軍の進軍が桶狭間という狭い道で一列にならざることを戦略的に察知し計画通りに攻め倒しました。

そして、この戦いで彼が評価を与えた者の順位というのも非常に興味深いものでした。その順位は、①作戦を企てた者 ②最初に突っ込んで行った者 ③首を取った者。

当時の常識では、なにはともあれ敵軍の大将の首を討ち取った者が一番の功労者あるという時代でした。その常識にとらわれることなく、多分、世界で初めて戦略に対して評価を与えた人であろうと思います。

《消費税と介護業界》

 消費税の増税が1年半先送りされることが発表されました。4月に消費税が8%になってマスコミの報道にもあるように、住宅や自動車などの駆け込み需要が瞬間的にありましたが、全般的には消費は落ち気味という結果になっています。

 消費税の増税分の一部は介護業界に予算をつける計画でしたので、財源が不足しますので介護報酬に大きな影響が出ることが予想されます。来年度の報酬改定では『ディサービス』への報酬がダウンするようです。以前はドル箱と言われていたディサービス部門は、事業者の増加による競争激化で利用率の低下とダブルのダメージを受けることになります。

 厚生労働省は、施設から在宅での看取りを狙って介護報酬や診療報酬の制度設計をしていることが最近の流れで読み取れますが、個人的には在宅での介護は、『老老介護問題』として取り上げられているように大変厳しいものがあるように感じています。

 今後、人件費コントロールも含めた人事管理が経営者に求められています。管理者から経営者に変わらなければならない時期になりました。

《牛丼業界は?》

 学生時代にゼミの課外研修で“牛丼の吉野家”さんのコンピュータールームを見学して早40年が経過しました。当時は吉野家さんも飛ぶ鳥を落とす勢いで、私もお腹をすかせてはお店に飛び込み腹を満たしていました。感謝です。
 
 見学したコンピュータールームは、今のパソコン一台分にも相当しないレベルのものを一定の温度で空調を管理して、電算機が広いスペースを占領していました。私の記憶では、全国に点在している各店舗の売り上げを本部で電算機によって集中管理しているということだったようにおもいます。

 当時の牛丼一杯の値段より40年経った現在のほうが安いです。まったく驚きですが、今期の牛丼大手3社の中間決算が発表されていましたので見てみたいと思います。

      すき家  吉野家  松屋 (単位 億円)
 売上高   2515 889 397
 
 営業利益   11 17 6

優良な企業の営業利益率を仮に3%とした場合に、2500億の3%は75億円になります。アルバイトの時給が1000円以上に達し、牛肉の市場価格は1年前に比べて1.4~2倍に達しているといいます。厳しい経営を強いられていますね。 

《お泊りディサービス》

 弊社のお客様には【特別養護老人ホーム】や【老人保健施設】がありますが、特養への入所は特に難しいというのが実情です。入所を待っている待機者の数は、定員の二倍・三倍というのがあたりまえの状況です。
 高齢者施設が以上のような中で【お泊りディ】の利用に最近注目が集まっています。

※1年超連泊者も  読売新聞の記事より

 日帰りが原則の通所介護事業所(ディサービス)で、宿泊サービスも行う『お泊りディ』が急増している。全国で約3900ヶ所あるとみられ、東京都内では402ヶ所と4年前と比較すると2倍以上になった。
 背景には、暮らしの場が見つからない認知症高齢者らの増加がある。厚生省によると、特養への入所待ちは52万人。過去4年で10万人増えた。同居家族が介護する世帯の半数は老老介護。低所得世帯も増え、こうしたサービスに頼らざるを得ない状況がある。
 お泊りディは一泊2食で2千円前後と安価なところが多く、急な依頼にも応じる使い勝手の良さが売りだが、宿泊は介護保険の対象外で、行政の目が届きにくい。1年以上の長期連泊者もおり、事実上の住まいとなっている。男女の区別なく雑魚寝させている施設もある。
 お泊りディに対する規制を強める自治体は増えているが、規制だけで長期宿泊が解消されるかは不透明だ。
 『連泊数を制限しても、自宅には戻れない。単に規制するだけでは、行き場のないお年寄りの居場所がなくなってしまう。一番困るのは本人と家族だ』宿泊ディの管理者の女性(60)は割り切れない思いでいる。

《限定正社員制》

 賃金総研グループ月例研究会で《総合職・一般職》という複線型人事制度についての説明を受けてから、早いもので二十年程が過ぎました。最近は《限定社員》といった表現でマスコミも取り上げています。
 
 今日は、読売新聞の記事からご紹介します。
※“限定正社員制” 働き方多様

 地域や時間、仕事内容を限定して働く『限定正社員』制度を導入する企業が増えている。育児や介護など制約を抱える人たちの選択肢にもなり、限定正社員のまま管理職になるケースも出てきた。国も普及したい考えだ。

※転勤を伴わず
 大手インキメーカー『DIC』千葉工場で働く桑名恵美さん(47)は、2012年に知的財産部の担当課長になった。
 二人の娘がいる桑名さんは、勤務地を自宅からの通勤圏内に限定する『地域限定』の正社員として働いている。これまで同社では転居を伴う転勤を承諾することが課長昇格の条件だったため、主任のまま『課長に近い仕事をする』状態が続いていた。
 しかし12年に制度が変わり、課長級も『地域限定』で働けるようになった。転居が無い分給与面では資格給の一部が減額になる。桑名さんは『後進のためにも道を創っておきたい。転居を伴う転勤を経験しなくても十分管理職は務まる』と話す。
 現在、地域限定で働く課長は8人。うち5人が女性だ。『男女を問わず、社員のニーズは多様化しており、画一的な対応では優秀な人材を生かし切れない』と同社担当者は説明する。
 一般的に、正社員とは①無期雇用②直接雇用③フルタイム勤務 の条件を満たした労働者を指す。
 これに対し、限定正社員は勤務地や仕事内容、働く時間が限定されているものの、正社員と同じく無期雇用の労働者を指す。勤務地などが限定されている分、給与が低く、昇格昇進にも上限がある場合が多い。
 限定正社員を導入する企業は増えており、DICのように管理職への道を開く企業もある。

《動機づけの段階》

 最近ずっと考え続けている《動機づけ》について、私なりに簡単に整理してみました。

第1段階の動機づけ
 恐怖・強制・指示・命令・規則等による動機づけ
 言語的には(~~しなければならない)といった動機づけです。
 やらないとペナルティーが待っているので行動します。

第2段階の動機づけ
 報酬・褒章・表彰等外部刺激による外発的動機づけ
 賃金などはこの分類になるのでしょう。
 マズローの欲求5段階説の1~4段階
 与え続けることが必要になります。

第3段階の動機づけ
 目標達成動機
 人はテレオロジカル(目的志向)な生きものです。
 設定した目標を達成しようと行動します。
 出来ればチャレンジングな目標が望ましい。

第4段階の動機づけ
 自己実現動機
 言語的には(~~したい)といった動機付けです。
 自分が実現したいことなのでエネルギーも強力です。

 さて、あなたの組織ではどのような《動機づけ》を使っていますか!

《訴訟社会》

“交通事故訴訟急増”
 最近上記のテーマ記事が読売新聞で大きく取り上げられていましたが、内容を少し紹介致します。

 自動車事故の被害から保険加入者を守るための弁護士保険が、物損事故の訴訟の急増と審理の長期化を招いていることが、最高裁の調査などから浮上した。訴訟の乱発によって、保険金の支払いが膨らむことに損害保険会社からは悲鳴が上がり始め、裁判所からも『弁護士が報酬目的で訴訟を引き延ばしているのではないか』と指摘する声が出ている。

 過払い金返済訴訟、物損事故訴訟、最近は時間外請求訴訟と労働問題にも拡がりをみせています。私のお客様の中にも労働問題での訴訟を受け係争中というところもあります。

 ある方のブログにこのような書き込みがありました。

 勤務先に対しての忠誠心が高く、上司のみならず本人の家族とも勤務先に対しては良好であった労使関係が、突然のこうした労働裁判によって崩れようとしています。弁護士が代理人になることで、本人と直接に話ができないのをいいことに、1のことが100と騒がれ、一つひとつ言葉を選ばなければならなくなりました。守るべきものは労働者ではなく弁護士の生活なのでしょうか!

 社内には色々とトラブルがあります。本人と使用者がキチンと向き合って腹を割って話し合うことで、多くの事は解決できるのではないかと考えます。

《貧乏くじ》

 最近よく星野富弘さんの詩に出合います。
 今日は今月のJAFの雑誌に掲載されていた作品を紹介します。

 貧乏くじ
 引いてみるといいですよ
 私はすごいのを
 当てたことがあります
 希望とか愛とかどこにでも
 ありそうですが
 本物はなかなか
 手に入らない
 ものが当たるんです
 
 貧乏くじ
 はずれはないそうです
 引いてみるといいですよ

 
 投 語
 『貧乏くじ。あたりました。
  景品は妻でした。
  持参金は愛だ
  というのですが・・・』

 答 語
 『前後賞の子供たち
  元気ですか。
  うちの貧乏くじが、
  会いたがっています』

 
 

《マイスター制度を考える》

 最近、医療・福祉の現場でマイスター制度を導入しようとする動きが活発ですが、日本では『型』を伝承する仕組みとして、書道・柔道・剣道など伝統技術の継承に取り入れられているものとして【段位】という仕組みがあります。名人への道は遠い為、どうしても途中で投げ出したくなるので、途中に段位という仕組みで区切りを入れています。二段から三段になるという仕組みは、上達の度合いを測る物差しとして機能する一方で、これによりモチベーションを維持する役割があるわけです。マイスター制度がうけているのもこういった考え方が支持されているのでしょう。

 そこで問題になるのが、段位を割り振る為のレベルです。どのようなスキル・知識を身につけたらどのレベルの段位なのかを明確に示すということです。プロスポーツ選手は、どれぐらい練習していけばその位置まで行けるのか、とのくらいやればそのレベルに到達するのかをだいたい想定できるといわれています。一般的には、等級基準書のようなもので職位の要件を明確に定義して社員に分かり易く示すことが重要なポイントだと考えます。

 組織の質の向上、離職率の低下、安定した雇用を実現する為の一つの方法かもしれません。