《人事考課エラー Ⅲ》

 今日も引き続き人事考課エラーについて書きたいと思います。

※入手容易エラー

 飛行機に乗るのを怖がる人は、自動車を運転するのを怖がる人よりもはるかに多い。飛行機のほうが危険であると思う人が多いからですが、もちろんそんなことはありません。生々しい事例を挙げることを前もって断っておきますが、旅客機が自動車と同じくらい危険だとすると、満員の乗客を乗せたボーイング機が毎週二機墜落し、乗客全員が死亡する事態となります。

 そうならない限り、自動車事故で死亡する確率とは同じにはならないのです。しかし、マスコミが自動車事故よりも航空機事故を大々的に取り上げる為、飛行機のリスクが誇張され、自動車のリスクが過小評価される傾向にあるわけです。

 これは、人は身近にある情報に基づき判断を下す傾向にある、という入手容易エラーの一例を示したものです。感情を呼び覚まされた出来事、特に生々しい印象を受けたもの、あるいは最近起こった出来事は、もっとも鮮明に記憶に残っています。その結果、航空機墜落事故のようなまれな出来事を大げさに捉えてしまいがちです。

 半年に一度の人事考課を行う際に、六か月前の部下の行動よりも、最近の行動を重視する傾向があることも、こうした入手容易エラーによるものです。

※行動観察記録簿を有効活用しましよう。

《人事考課エラーⅡ》

 引き続き人事考課エラーについて考えてみたい。

※先入観エラー
 私たちは、情報は客観的に収集されていると考えています。しかし、実際はそうではなく、情報は選択的に収集されています。人は、自分が過去に行った選択を肯定するような情報を探し求め、過去の判断と矛盾する情報は軽視します。また、自分の先入観と一致する情報は額面どおりに受け取る一方、こうした先入観に反する情報に対しては批判的になり、疑いの目を向ける傾向があります。ですから、私たちが収集する情報とは、通常、既存の先入観に偏ったものとなります。

 人は、自分の先入観を肯定してもらえるような情報が手に入りそうなところを検索する傾向にあることから、情報の収集先が特定されてしまうおそれが高くなってしまいます。また、自分が信じる情報に対する補足情報に過度の重きを置く一方、矛盾する情報に対してはほとんど目を向けないのです。

 人を評価する際にもこのようなエラーが発生すると考えられます。先入観・思い込み・固定観念といったものが評価に影響をあたえます。事実を客観的に評価するよう留意したいものです。 

《人事考課エラーⅠ》

 人事考課者トレーニングで“考課エラー”に関して説明をする機会がありますが、今回は《自信過剰エラー》について考えてみたいと思います。

※自信過剰エラー

 『判断や意思決定において、自信過剰ほどよく見られて最悪の結果をもたらすおそれのある問題はない』と言われます。自信過剰のバイアスによって、人は実際よりも多くのことを知っていると思い込んでしまうのです。
 
 事実に基づく質問を受け、自分の答えが正しいと思う確率はどのくらいか?と尋ねられた場合に、人は非常に楽観的に答える傾向にあります。例えば、自分の回答が70%の精度で正しいと答えた場合に、実際の正解率は50%にすぎないという結果が出ています。また、100%正しいと答えた場合の実際の正解率は70%程度であると言われています。

 組織の観点から自信過剰に関連する興味深い調査結果があります。それは知的能力や対人能力が劣っている人ほど、自分の業績や能力を過大評価する傾向にあるということです。社員が知識を深めれば深めるほど、自信過剰という現象は小さくなります。逆に自分の専門分野以外に関しては、自信過剰が最も大きくなる可能性があるのです。

《非正規向け資格創設》

 読売新聞からの記事です。

 政府は7日、非正規雇用の人の待遇改善や正社員への登用を進めるため、非正規雇用を対象とした資格制度を創設する方針を固めた。主に接客能力など現場での『働きぶり』を評価する仕組みで、六月下旬に決まる新成長戦略に盛り込む。

 新たな資格は①流通②派遣③教育④健康の4業種で、接客などの対人サービスに従事する非正規雇用者を対象とする。
 業界団体が厚生労働省からの委託を受けて資格認定をすることで有用性が高まり、正社員への登用や転職のアピールポイントなどになるとみられている。企業側にとっても、非正規雇用者の自発的なスキルアップが見込める。
 資格試験には、上級・中級・エントリーの3段階を設ける。筆記試験に加え、実務経験の長さを重視するほか、販売やクレーム対応といった接客の実演も行ってもらう評価方式にする。

 今、有期雇用から無期雇用へといった大きな動きが一つあります。また、無限定社員・限定社員といった考え方も中小企業レベルまで広がってきているように感じます。
 社員のモチベーションの維持と同時に人事制度に対する考え方も大きく変わろうとしています。

《組織とシナジー効果》

 組織のひとり一人の違いや個性から、チームシナジー・イノベーションが起きることについて“7つの習慣”から紹介します。

 違いを尊重することがシナジーの本質である。人間はひとり一人、知的、感情的、心理的にも違っている。そして違いを尊重できるようになるためには、誰もが世の中をあるがままに見ているのではなく、『自分のあるがまま』を見ているのだということに気づかなくてはならない。
 
 もし私が世の中をあるがままに見ていると思い込んでいたら、自分との違いを尊重しようと思うだろうか。『間違っている人』の話など聴くだけムダだと切り捨ててしまうだろう。『私は客観的だ、世の中をあるがままに見ている』というのが私のパラダイムなのだ。『他の人間は皆些細な事にとらわれているけれども、私はもっと広い視野で世の中を見渡している。私は立派な視野を持っている。だから私は上に立つ者としてふさわしい人間なのだ』と自負しているのである。
 
 私がそのようなパラダイムをもっていたら、他者と効果的に協力し合う相互扶助の関係は築けない。それどころか、自立した人間になることさえおぼつかないだろう。自分の思い込みで勝手に条件付けしたパラダイムに縛られているからである。
 
 本当の意味で効果的に人生を生きられる人は、自分のものの見方には限界があるということを認められる謙虚さを持ち、心と知性の交流によって得られる豊かな資源を大切にする。そういう人が個々の人の違いを尊重できるのは、自分とは違うものを持つ他者と接することで、自分の知識が深まり、現実をもっと正確に理解できるようになるとわかっているからなのである。自分の経験したことしか手元になければ、データ不足であることは明らかである。

《運動会での綱引き競技》

 昨日は、地区の運動会で盛り上がりました。晴天の中で、けが人・熱中症もなく無事終了して“ホッ”としております。自治会の役員として準備から参加するようになって三回目ですが、だいぶ要領も分かるようになって楽しみながらのイベントでした。

 午後の部で“綱引き競技”があり、私は応援団として遠くから見ていました。13チームがトーナメントで戦って勝敗を決めるのですが、残念ながら我がチームは1回戦で敗退でした。何故か例年決勝戦は、ほぼ同じチームで争うことになります。この2チームは、我がチームと比較すると力を合わせて綱を引くタイミングが全員ピッタリなんです。我がチームは、とりあえず掛け声をかける人はいるのですが、皆が勝手に自分のペースで綱を引くので、どうも・・・・?です。

 組織活動について色々と勉強をしていますが“チームシナジー”を創出する為には、ひとり一人の力を1点に集中することと、タイミングを合わせることが大切だということを再確認しました。

 余談ですが、優勝チームの監督に“綱引き競技”のポイントを聞いたところ、一つは一番前の人が綱をなるべく高く上げること、二つ目は一番後ろの人は綱が常にまっすぐ一直線になるように気を付けること、と言っていました。
 確かに一直線にして力を入れたほうが効率的です。

 組織も目標や方針がネジ曲がってきた時には、まっすぐになるように調整をしないといけないのかもしれませんね!

《win:winを考える》

 7つの習慣より

 次の例は、正式な人事考課制度を導入しようとしていた企業である。

 その会社の人事部長は、あるマネージャーへの評価点に不満を持っていた。『このマネージャーの評価はBが妥当なのですが、S評価をつけなくちゃいけない』と彼は言った。S評価は最高レベルの評定であり、昇進の権利がある優秀な社員ということだ。
『なぜなんです?』私は聞いた。
『好成績をあげているからですよ』
『それならS評価をつけてもよいのでは?』
『彼のやり方が問題なんです。人間関係で何かと問題を起こしているトラブルメーカーなんですよ』
『どうやら成果しか眼中にない人物のようですね。そういう人物に最高の評定というのは、確かに納得はいきませんよね。どうですか、彼と話し合って成果だけではなくて、態度の大切さも教えてあげたら!』

 人事部長が言うには、とっくに話はしてみたものの、効果はなかったという。
『それなら、win:win実行協定を結んでみるのはどうでしょうか。評価の基準は成果を半分、残りの半分は部下や同僚からどのように見られているかを基準にする。リーダーシップ・人材育成・チームづくりの視点で評価すればいい』
『そうか、それなら彼も聞く耳を持つだろう』

 多くの場合、問題があるのは人ではなくシステムのほうである。いくら優秀な人材でも、悪いシステムに入れたら悪い結果しか出てこないのである。

※構築時点ではベストの制度であっても、時間の経過・環境の変化によって、いろんな問題が出てきます。定期的なメンテナンスの重要性を私は感じました。

《目標設定について》

 今日は、NLPの考え方での目標設定について書いてみます。

≪適切な目標の4つのポイント≫
※ビジョン
 自分の目標を『~でありたくない』という否定型ではなく、『~でありたい』という肯定型で表現すること。
『太っていると身体に悪い』⇒『スマートになって素敵な洋服を着たい』
『偏頭痛になりたくない』⇒『偏頭痛から解放されたい』
『負けたくない』⇒『勝ちたい』

※明確な標識
 では、その目標を達成できたとして、どうやって、そのことを知ればいいのでしょう!目標の達成を自分自身で判断するためには、客観的で具体的な達成の基準を作らなければなりません。

※実現の可能性
 あなたの立てた目標は、普通の人にも実現できそうな目標だろうか。それは自分の手に負える範囲の、自分にふさわしいと思える目標だろうか。
 たとえば、もし私が身長156cmなのに、『バスケットボールのスーパースターになれないかもしれない』という『失敗への恐れ』を克服しようとしても、それはうまくいかないでしょう。本人の意志でなんとかできる範囲での目標設定に変えるべきです。

※一貫性の確認
 自分自身のなかに、変化を拒む気持ちは残ってないですか。それを確認するために、自分の身体の声に耳を傾けてみましょう。自分のなかに変化を拒否する第二感情があれば、それは不安感や不快感の形をとって現れるはずです。この場合、自分の第二感情と丁寧に向き合って問題を解消する方法を考えなければなりません。

《ミッション・ステートメント》

 十数年ぶりに再出版された“7つの習慣”を読んでいますが、今日はミッション・ステートメントについてご案内します。

 ある人のミッション・ステートメント
※まず家庭で成功しよう。
※どんなことがあっても正直でいよう。
※お世話になった人たちの恩を忘れずにいよう。
※毎年何か一つ新しいことを身につけよう。
※明日の仕事は今日計画しよう。
※待ち時間を有意義に使おう。
※常に前向きな姿勢でいよう。
※職場でも家でも規律正しくしよう。
※部下の成功を助けよう。
※自分の話す二倍の時間、人の話を聴こう。

 ミッション・ステートメントがあれば、変化に対応しながら生活できる。予断や偏見を持たずに現実を直視できる。周りの人々や出来事を型にはめずに、現実をありのままに受け止めることができるようになる。
 あなたが自分の人生におけるミッションを見いだし、意識できれば、あなたの内面に主体性の本質ができる。人生を方向づけるビジョンと価値観ができ、それに従って長期的・短期的な目標を立てることができる。個人のミッション・ステートメントは、正しい原則を土台とした個人の成文憲法である。この憲法に照らして、自分の時間、才能、労力を効果的に活用できているかどうかを判断することができるのだ。

 スティーブン・コピー『7つの習慣より』

《仕組みを壊せ》

 社内に仕組みは必要です。
 しかし『間違った仕組み、ヘタな仕組み』は有能者をつぶすことになります。

 会社は学校ではありません。お客様に喜んでいただくことで利益を上げ、その利益を社員、株主、会社といったステークホルダーに分配する。レベルが高ければ高いほど、利益が上がり、いい貢献ができる。

 しかし、この流れを妨げるのが『間違った仕組み、ヘタな仕組み』です。
 人はいろんな仕組みを作りたがり、色々な情報を欲しがり、いらないものをたくさんつくる傾向がある。特に、失敗を恐れる人は、失敗しないようにいろんな仕組みをつくるのです。そして、これらの仕組みはたいてい能力の低い人にあわせて作るために、有能な人にとってじゃまである場合が多いのです。

 困ったことに、一度作った仕組みは、なかなか壊すことができない。その仕組みをなくして、たまたま失敗が起きると『何故なくしたのか』と上司に叩かれる。
 すると、触らぬ神に祟りなし、と無駄をなくすことをやめてしまう。こうして作業効率の悪い事務作業の負担ばかりが増えてしまうことになるのです。

 レベルの低い人に合わせて仕事の仕組みをつくるのではなく、出来る人に合わせて仕事の仕組みをつくることが大切です。
 他にも、複雑な仕組みをつくっているが、実はもっと簡単な仕組みでいいという箇所はないでしょうか。簡単にやれば10秒ですむようなことを、回りくどい仕組みにつくり過ぎてはいないですか。
 あなたの仕事でも一度じっくり考えてみてください。