《能力給って?》

 能力給とは、本人の職務上の肩書で給与区分を決めるのではなく、本人がどれだけのスキルを持っているか、あるいはどれだけ多くの仕事ができるかを基準に給与水準を決めることです。

 能力給の魅力はなんでしょうか! 経営者の立場からすると、柔軟性があるということでしょうか。能力レベルに応じた等級管理を行うことで、同レベルの社員の交換・配置転換が容易にできます。また、能力給は社員にとっては広範囲のスキルを習得したいという意欲をかりたてるものになります。昇給・昇格・昇進等が比較的明確になっていますので、野心があっても昇進のチャンスがほとんどない人の欲求を満たす助けにもなります。

 逆に欠点は何でしょうか! 『頂上に昇りつめてしまう』人がいることです。能力給に必要となるあらゆるスキルを学んでしまい欲求不満に陥ってしまうのです。いわゆる“ピーターの法則”が働いてしまいます。

 従って、給与体系をデザインする際には≪能力≫ ≪役割≫ ≪業績≫がバランスよく反映できる制度に留意したいものです。

《賃金制度の構築》

 賃金制度構築のポイントは『属人給部分の廃止・縮小』です。属人給とは『成果や能力に関係のない、人の属性に関する要素で決まる賃金』のことです。具体的には、年齢給・年功給・家族手当・住宅手当等になります。また、学歴や男女の区別も今日では必要ではありません。

 これらの要素を極力廃止・縮小して、基本給部分は職務・職責の大きさで決まるように設計します。本給、昇格給、役職手当等でコントロールすることになりますが、貢献度に応じて賞与はポイント式を採用しダイナミックに差が出るようにします。
 
 以前から、成果型賃金か職能型賃金かというような議論がありますが、中小企業の場合には大企業の事例や人事制度の教科書に惑わされずに自社にとって最も有効な賃金制度をオーダーメイドで構築すればよろしいと思います。

 あえてもう一言付け加えれば、これから20年も30年も今構築した人事制度を使い続けるという会社はないでしょう。賃金制度は会社の変化に応じて刻々と変化するのです。ですから、どのようにも変化できるような柔軟な弾力性のある制度内容にしておくことのほうが大切です。

《長時間労働は『人事評価』のため!》

 生協連ネット調査のデータより

 仕事と生活の調和を図る『ワーク・ライフ・バランス』が進まない原因として『長時間労働をしないと会社からの評価が下がるから』と考える20代が多いことが、日本生活協同組合連合会の調査でわかった。
 同会は昨年9月、全国の1200人にインターネットでアンケートを行った。
 ワーク・ライフ・バランスが進まない原因として、男女合計で最も多かった回答は『職場復帰や再就職が難しいから』で37.7%。特に女性では42%で、男性の33.2%を大きく上回った。『育休制度は広がっているが、復帰後の短時間勤務制度などがうまく機能しない例もある。一度退職した後の再就職が難しいと考える人も依然多い』と同会の政策企画担当者は言う。
 男女合計で2番目に多かった回答は『長時間労働をしないと会社からの評価が下がるから』で33.2%。特に男性は36.2%で、女性より6ポイントも高い。回答者を年代・性別ごとに見ると、20代の男性は47.1%で、30~60代の32.2~36.5%を大きく上回った。女性も20代では35.7%で、30~60代の28.2~31.3%を上回る結果に。
 管理職クラスの世代は長時間労働がすぐに評価につながるものではないと思っていても、若手社員は『長時間仕事をしないと評価が下がる』と気にしている実態がうかがえる。
 同会は『雇用や労働環境の悪化が続いた影響で、若手社員は会社からの評価を強く意識するようになっているのではないか』と話している。

《やる気を奪う言葉!》

 ある方のブログを読んでいたら“ソニー生命のアンケート”で『先輩のこんな言葉がやる気を奪っている』が発表されていました。
 
 トップ10は次の通りです。

①この仕事向いてないんじゃない? 44.9%
②ゆとり世代だなぁ 37.4%
③やる気ある? 35.8%
④そんなことは常識でしょ 25.5%
⑤私が若い頃は○○だったのに 22.2%
⑥学生気分が抜けてないんじゃないの 18.3%
⑦空気読もうね! 17.4%
⑧言い訳はするな! 14.0%
⑨いや、そうじゃなくて 11.9%
⑩社会ってそういうものだから 11.6%

 なのだそうです。パワハラにも繋がる危険があるそうです。 

《クレーム対応へのペーシング》

 前回に引き続き“ペーシング”の利用法を御案内します。

 クレーム対応のペーシングを御紹介します。
 
 クレームにおける『怒り』は“感情”です。まずこの感情にペーシングすることを考えましょう。論理で解決しようとすると【気持ちを無視された状態になり】お客様は余計に腹を立てることとなります。多くの方は、お客様の【怒りの気持ちや感情】にペーシングすることを忘れ、冷静に穏やかに話すことによって、相手をなだめようとします。しかし、これは明らかに間違いです。

 数年前にOB会で上京した際に秋葉原のホテルで、チェックインの為に名前を記入している時に“上記のようなクレーム対応”に出合いました。怒っている理由は分からなかったのですが、隣のお客様が大声でホテルの女性社員に向かって怒鳴っているのです。ホテルの女性社員は“申し訳ありません”と冷静に小さめの声で対応をしていました。お客様の怒りの感情は、ドンドン高まって、最終的には『支配人を呼んで来い』という状況になってしまいました。

 お客様は自分の怒っている気持ちを分からせようとして、さらに声を張り上げ、テンションが上がり、ますます怒りを増幅させることとなります。人は、話を聞いてもらって共感してもらったことで癒されるのです。ですから、怒られたら、お客様の“テンション”にペーシングし、慌ててどもるくらいが良かったのではないでしょうか。

 まず、テンションをお客様と同じように上げ、その後、怒りのトーンが低下するように仕向けることです。怒りのトーンを低下させる為には、途中で口を挟まず“お客様の話を聞くこと”が重要です。トーンが下がって初めて論理的に物事を考えることができ、話し合いのテーブルにつくことができるのです。

 『俺はこんなに怒っているのに、何を冷静にしているのだ!』にならないようにしなれけばいけません。

《ペーシングとは?》

 コミュニケーションスキルに“ペーシング”という考え方がありますが、少し解説をしてみたいと思います。

 ペーシングとは相手の考え方、感情、態度に自分のペースを合わせることです。

 話し相手とペースを合わせるペーシングには『ミラーリング』『チューニング』『マッチング』等のスキルがありますが、このような技術を活用して、相手との共感ゾーンを拡大することでスムースなコミュニケーションを実現することが可能となります。

 以下に3つのペーシングのスキルについて説明をします。

①ミラーリング
 相手とボディーランゲージを合わせると好感をもたれます。同じ動作でリズムを合わせることです。あまりの猿真似は不自然ですが、タイミングを調整することは重要になります。

②チューニング
 感情や気分の状態、フィーリング、思考方法やムードといった心の周波数をあわせることです。怒っている人に冷静に対応してはいけません。相応に慌てて、感情のレベルを合わせることです。

③マッチング
 相手と話し方を合わせるワードによるペーシング方法です。相手の話すスピード、声の高低、声の大小等相手の口調に合わせることがポイントです。方言に合わせることは効果的です。ペースがゆっくりの人との会話では、早口の人は注意が必要です。

 ペースの合わない者同士だと、お互いに“たくさんの言語”を交換して一見コミュニケーションが取れているようにみえるのですが、まったく想いが伝わっていなかった、というようなことも起きています。

 そんなに難しいことではないので“ペーシング”をちょっと意識してみましょう!!

《ハロー効果》

 人事考課者トレーニングで良く耳にする“ハロー効果”という言葉があります。人事考課エラーの一つとして確認をすることになるわけですが、昨日読んでいた『組織行動のマネジメント』にも“ハロー効果”についての記載がありましたので、短い内容ですが、御案内します。

 ある人について知性とか、社交性とか、容貌といった一つの特徴をもとに全体的な印象をイメージするときに“ハロー効果”が働いているのである。ハロー効果が採用面接の試験中に起こることもまれではない。営業の職種に応募してきた人が、みすぼらしい格好をして面接試験に行けば、面接官からは仕事柄ふさわしくない態度であり、能力も乏しく、無責任な人間と受け取られるおそれがある。
 
 だが、実際はその応募者は非常に責任感が強く、職業意識のしっかりした有能な能力の持ち主かもしれない。
 
 この場合、どういうことが起こったかというと、面接官がその応募者を総合的に認知した時に『ただ一つの特性・・・身なり』が他の特徴を消してしまったのである。

 私たちも、気をつけないと印象の強いイメージに引っ張られて“認知エラー”を起こしてしまいます。総合的なイメージと部分的なイメージの両面からのアプローチが重要になると考えます。

《丁寧すぎる言葉》

 新入社員のマナー研修等の時期なんでしょうね。
 読売新聞の記事に“丁寧すぎる言葉 逆効果も”とありましので、ご紹介します。

 最近、違和感を覚える言葉遣いがある。『お会計をしてもらってもいいですか?』
 とくに忙しくなくても、『ビールのお代りをもらってもいいですか?』と注文する客もいる。『注文の追加は店側にとっては嬉しいことなのに、へりくだるような表現をされると、何だか申し訳ない』と店主は話す。
 本来なら『~して下さい』と依頼するところを『手伝ってもらっていい?』といったように、あえて遠慮がちに許可を求めるような表現が目立つ。
 
 仕事相手からの電話。『●●様の携帯でいらっしゃいますか?』 私は、携帯ではありません・・・・・!
 迎えの車が来たときに、『車が到着なさいました』
 弁当を買うと、『箸をおつけしてもよろしかったでしょうか?』
 記名が必要な時に、『お名前を頂戴してもよろしいでしょうか』いった例もあります。

 私も時々耳にしているような気がするのですが、慣れてしまっているせいか違和感がなかったりします。“ホテル椿山荘” “ガスト” “すかいらーく”等では、昨年から接客の敬語を学ぶ研修を行っているそうです。

 今一度、原点回帰して正しい言葉遣いを身につけたいものです。

《野口嘉則さんの講演》

 『鏡の法則』の著者、野口嘉則さんの講演の様子がy0utubeで公開されています。

 彼は、長年コーチングのトレ―ナ―として活躍をしています。今回の講演では、ユング心理学を中心に言葉の解説を丁寧にしています。初心者の私でも“なるほど!”と理解できました。

 ※自己受容とは
 ※万能感
 ※自己実現
 ※アクティングアウト
 ※永遠の少年 等・・・。

 特に“万能感を手放しながら心理的な成長を実現する”という内容が印象に残っています。万能感とは『何でも思い通りになること』ですが、思い通りにならないことに出合って、“がっかり”だったり、“挫折感” “無力感”を味わい、落ちるところまで落ちる体験を通して成長していくということでした。
 最近、ポジティプ心理学がもてはやされていますが、すぐに物事をポジティブに切り換えるのではなくて、挫折感・無力感・がっかりとしっかり向き合うことの大切さを感じました。
 彼の言葉を借りると、『落ちるところまで落ちると、着地する。これを落ち着く と言います』納得です。

 関心のある方は、野口嘉則公式ブログに動画がありますので、見てみて下さい。

《リーダーシップとマネジメント》

 『7つの習慣』が2013年に再度翻訳されて出版されました。1996年に出版された時に感動して読んだ記憶がありますが、今回2013年版を再度読んでおります。

 7つの習慣から《リーダーシップとマネジメント》
 
 マネジメントはボトムライン(最終的な結果)にフォーカスし、目標を達成する為の手段を考える。それに対してリーダーシップはトップライン(目標)にフォーカスし、何を達成したいのかを考える。ピーター・ドラッカーとウォーレン・ペニスの言葉を借りるなら、『マネジメントは正しく行うことであり、リーダーシップは正しいことを行う』となる。成功の梯子を効率的にうまく登れるようにするのがマネジメントであり、梯子が正しい壁に掛かっているかどうかを判断するのがリーダーシップである。
 ジャングルの中で、手斧で道を切り拓いている作業チームを考えてみれば、リーダーシップとマネジメントの違いがすぐにわかるだろう。作業チームは生産に従事し、現場で問題を解決する人たちだ。彼らは実際に下草を刈って道を切り拓いていく。
 マネジメントの役割はその後方にいて、斧の刃を研ぎ、方針や手順を決め、筋肉強化トレーニングを開発し、新しいテクノロジーを導入し、作業スケジュールと給与体系をつくる。
 リーダーの役割はジャングルの中で一番高い木に登り、全体を見渡して、『このジャングルは違うぞ!』と叫ぶ。
 だが仕事の役割に追われて効率しか見えない作業チームやマネージャーだったら、その叫び声を聞いても、『うるさい! 作業は進んでいるんだから黙っていろ』としか反応しないだろう。
 私生活でも仕事でも、私たちは下草を刈る作業に追われるあまり、間違ったジャングルにいても気づかないことがある。物事がめまぐるしく変化する現代においては、これまで以上にリーダーシップの重要性が増している。
 私たちに必要なのは、はっきりしたビジョン、明確な目的地である。そしてその目的地に到達するためには、ロードマップよりもコンパス(方向を示す)がいる。地形が実際どうなっているのか、あるいは通れるのかは、その場その場で判断し問題を解決するしかない。
 ビジョンリーダーとしての役割が重要である。