《譲り合い》

 アメリカの社会心理学者、ロバート・チャルデ―ニ氏の記事からで、『承諾』についてです。

 道を歩いていると、年のころ11・12歳の少年が私に近づいてきました。その少年は自分の名を名乗ると、自分は今度の土曜の晩に開かれる恒例のボーイスカウト・サーカスのチケットを売っているのだと言いました。1枚5ドルでチケットを何枚か買ってほしいと言うのです。土曜の晩をボーイスカウトと一緒に過ごすなどというのはまっぴらですから、私は断りました。するとその少年が言いました。『そうですか。じゃあ、チケットを買わないんだったら、チョコバーを買ってくれませんか。一本たったの1ドルなんです』。私は、二本買ったのですが、注目に値することが起きたことにすぐ気がつきました。
 なにせ、次のような事実があるのですから・・・・・。
① 私はチョコバーが好きではない。
② お金はとても好きである。
③ 私は二本のチョコバーを手にしてそこに立っている。
④ 少年は私の二ドルを持って立ち去った。

 興味深いですね。少年と教授との間に何が起きたんでしょうか。
 是非考えてみてください。

《事を大きく》

 ハインリッヒの法則のなかで、『ロジックツリー構築のプロセス』を次のように書き込みました。
① 一覧・一望・・・・・事実をしっかり見る。
② プロセス再現・・・・プロセスを再現し、見える化する。
③ 現場調査・・・・・・改めてその場に立ち、手に触れる。
④ 事を大きく・・・・・些細な事を、おおごとにしてみる。
⑤ 変える・・・・・・・何でもよいから変えてみる。やってみる。

 今日はこの中の《事を大きく》に関連するような弁護士の手記を紹介します。

 『社員がパソコンを使って、オリーブオイルの輸入販売のアルバイトをしているらしい』長年の顧問先から相談があった。この社員が昼休み時間中にパソコンを開いて、オリーブオイルの写った画像をのぞいているのを、同僚の数人が見ていた。
 『仮にオリーブオイルの輸入販売をしたとして、昼休み中のアルバイトは問題があるのでしょうか?』というのが相談だった。
 一般的には、次のような助言がなされる。
① 同僚数名から、もっと具体的な証言を集めること。
② その上で、本人に事実を確認する。
③ 就業規則では社員のアルバイトは原則禁止しているが、昼休み時間中のことなので懲戒処分に出来るかどうかは微妙である。

 しかし、私が助言する場合は違う。《事を大きくの視点と考えます》
 同僚からの聞き取りだけでなく、念の為、次の三点セットの調査を指示する。
① 交際費をあらう。
② 出張費をあらう。
③ 社用のパソコンや携帯電話の使用歴をチェックする。
 これが不正調査の出発点である。出張報告書・交際費報告書に添付された領収書をあらうと、白紙の領収書に本人が金額を書き込む例がしばしば発見される。社用のパソコンを私的な娯楽に使っている例や、社用の携帯電話でゲームをしている例は枚挙にいとまがない。三点セットの調査は、その他の不正行為を推測するシグナルである。
 私は、目の前で起きている行為が『たんなる就業規則違反が否か』の視点ではなく、『この事件の根はもっと深い、他にも不正行為をやっているに違いない』と当たりをつける。
 調査の力点の違いにより、表れてくる事実は大幅に異なってくるものである。

 調査した結果、この社員には様々な不正行為が発覚した。
 大学時代の友人との飲食、仕事に関係ない業者との会食、不必要と思われる取引会社のゴルフ大会の出張費、女性同伴を疑われる海外出張等などである。

《日本語検定》

《日本語検定》ご存知でしょうか?
私は、最近知りました。『日本語』の運用能力が低下しているのでしょうか!時々若者の言葉を聞いても理解できないことがあります。
ちょっと検定問題に挑戦してみてください。

※三級の問題です。
◆ 問題/敬語
【     】のような場面で、それぞれの(    )部分はどのような言い方をすればよいでしょうか。最も適切なものを選んで、①~③の番号で答えてください。

問 1 【取引先に、打合せを要望する】
よろしければ来週中に(       )。
① お目にかかれませんでしょうか。
② お目にかかっていただけませんでしょうか。
③ お会いしてくださいませんでしょうか。

問 2 【医者が、患者に指示する】
あせらずご自分のペースでリハビリを(      )。
① いたしてください。
② されてください。
③ なさられてください。

◆ 問題/文法
次のようなことを言うとき、《    》部分の言い方は適切でしょうか。適切である〇、適切でない✕で答えて下さい。
問 1 旅行代金の計算には、空港使用料も《含まさせ》ていただきました。
問 2 ふだん料理をしない彼に、釣った魚を《さばかせ》たのは、間違いだった。
問 3 三浦君に交渉を任せれば、相手をちゃんと説得して《こられる》だろう。

■正解■
『敬 語』問1 ①  問2 ②
『文 法』問1 ✕  問2 ○  問3 ○

《ハインリッヒの法則》

 『ハインリッヒの法則』は御存知の方も多いと思いますが、アメリカの大手保険会社の部長だったH・W・ハインリッヒが1929年に発表した労働災害における経験則である。
 『一件の死亡、重傷等の重大災害が発生する背景に、29件のかすり傷程度の軽微な事故があり、その背後にはヒヤリとしたりハットしたりした300件の潜在的事故(無償災害)がある』という。
 だから、『ヒヤリハット』に気づき、事前に対策を講ずれば、ほとんどの事故は予防できるわけである。小さなシグナルを読みとれば、将来の大事を読むことができるし、大半の失敗や事故、トラブルは防げるだろう。
 医療・介護の現場でも同様のことが起きています。研修では、ロジックツリーなどの考え方に基づいて事故対策をみんなで話し合ったりしますが、ポイントをまとめると次のようになります。

 ロジックツリー構築のプロセス
① 一覧・一望・・・・事実をしっかり見る。
② プロセス再現・・・プロセスを再現し、見える化する。
③ 現場調査・・・・・改めてその場に立ち、手に触れる。
④ 事を大きく・・・・些細な事を、おおごとにしてみる。
⑤ 変える・・・・・・何でもよいから変えてみる。やってみる。

 あえて付け加えると、この作業を当事者だけでなく皆でやってみる。

《賃金の昇給カーブ》

 縦軸に月額の基準内賃金を表示し、横軸に年齢をとって給与の軌跡を表示したものを『賃金の昇給カーブ』等と表現されていますが、カーブの角度によって賃金水準の高低が見えてきたりします。

 このカーブは右肩上がりのカーブを描くことになりますが、従前は50代前半にピークがくるように設計をしていました。出世とは別に勤続年数に応じてある程度は本給が昇給しつづける、いわゆる年功給の賃金体系でした。
 ところが現在は、35歳以降の昇給を据え置き、賃金カーブのピークを引き下げるといった傾向がリーマンショック以降顕著になっていますが、アベノミクスの経済効果によって少しでも賃金カーブのピークが上昇することを期待しています。

 賃金カーブの説明をもう少しすると、人事考課の結果が5段階評価で《5》の場合にはピークを50歳に、《4》の場合には45歳に、《3》の場合には35歳に、といったように成績別にカーブをコントロールすることになります。
 
 今、職能給から職務給へとシフトしていくような気配を感じています。

《さて、あなたは待てるか?》

 世にもめずらしい実験です。19匹のチンパンジーと40人の人間の競争です。
 どんな競争かといいますと、『目の前のおやつを我慢して、あとでもっとたくさんのおやつを貰うこと』
 その魅惑的なおやつは、チンパンジーにはブドウ、人間にはレーズン、ピーナッツ、チョコレート、ゴールドフィッシュクラッカー、ポップコーンです。
 
 まず最初に参加者全員に、好きなものを二つ貰うのと六つ貰うのとではどちらがよいかを選択してもらいます。これはすんなり決まりました・・・・・。人間もチンパンジーも二つより六つのほうがいいに決まっています。次に、少し条件をつけて複雑にします。【二つのおやつをすぐに貰うのと、2分たってから六つのおやつを貰う】のとでは、どちらがいいかを選ばせました。
 2007年に発表されたこの研究は、チンパンジーと人間の自制心を比較した最初の研究です。この実験結果から人間ならではの性質がわかっただけでなく、忍耐力の進化の根拠が明らかになりました。
 チンパンジーも人間も、待つ必要がなれけば二つより六つ貰うほうがいいに決まっていますが、待たなければならない場合には、チンパンジーと人間ではその選択に大きな違いが表れました。チンパンジーはおやつを余計に貰おうとして、なんと72%が待ちました。いっぽう、人間のほうは、19%しか待てなかったのです。

 実に興味深いですね。さて、あなたはどちらを選択しますか?

《意志力は感染する》

 組織文化を変える!為に、制度・人材・戦略等の面からアプローチをすることになるのだと思いますが、まずは組織文化を大きく二つに分けると【建設的組織文化】ポジティブカルチャー【破壊的組織文化】ネガティブカルチャーになります。そこで、このような二つの組織文化に多大な影響を与えているものは、その中に存在する人材にあると考えます。もう少し絞ると【リーダーとかマネージャー】ということになりますね。
 
 組織が成長・発展する為には【建設的組織文化】が望ましいわけですが、今日は《感情や意思は組織の中で感染する》といった点から考えてみたいと思います。
 まずは、こんな事例から。
 18歳で高校を卒業したばかりのジョンは、米国空軍士官学校でパスから降り立ちました。荷物はバックパックひとつだけ。士官学校の新入生が所持するのを許されたわずかな品々が入っています。小さな目覚まし時計、冬用の上着、文房具等など。
 じつは、他にもこっそり持ってきたものがありますが、それはバックパックには入っていませんでした。目には見えないので、ジョンと同じ飛行中隊に配属された士官候補生たちも気づきませんでした。やがてジョンが持ってきたものは、ジワジワと浸透し、彼らの健康や空軍でのキャリアを脅かすようになっていました。
 ジョンがもたらした災厄とは、いったい何だったのでしょう!
 他人にうつるなんて信じがたい話ですが、それは『不健康な生活習慣』でした。
 
 私たちは、自分の選択は他人の影響など受けていないと思いがちですが、心理学で示しているように私たち個人の選択は、他人が考えていること、欲しがっているものや、やっていること、さらには他人が自分に期待していることなどに、強い影響を受けています。

 今日私がお伝えしたいのは、組織運営のプロセスでも『このような感染が起こる』ということです。目に見えないプラス面・マイナス面の影響です。特にリーダーとかマネジャーの影響力が強いので注意したいですね。
 

《モチベーション》

 モチベーションについて考えていると、このような新聞記事が目につきます。

 読売新聞の投稿記事より紹介します。
※子どもの声料理に意欲
 『あしたから夕ご飯、いらないから』次女がそう宣言したのは半年前のこと。仕事が忙しく、遅い時間の食事は美容と健康に良くないからという理由だった。
 そのころから、私の夕食作りは『スランプ』に陥った。夫と二人だけの食卓。冷蔵庫の中身とにらめっこしても、スーパーの食品売り場を歩いても、適当なメニューが浮かばない。
 そんな中、東京で働く長女から『今電車の中。ちょっとだけ家に寄る』と突然のメールが。即座に私の手際が良くなった。家にある食材だけで、4・5品のおかずが完成、炊き込みご飯もおいしく出来上がった。一気にスランプを脱出した感があった。
 子どもたちが小さい頃は、仕事を終えるとすぐに台所に立っていた。どんなに疲れていても、パワーが湧いたのは『お腹すいた―。今日のご飯なあに?』という魔法の言葉があったからだ。
 慌ただしくも輝かしい日々を久しぶりに思い出した。【宇都宮市 辻小夜子】

 魔法の言葉を探してみたくなりました。
 

《ファシリテーター》

 私が《ファシリテーター》という言葉を初めて耳にしたのは、およそ30年くらい前になります。当時は東京で仕事をしていたのですが、先輩に『面白いセミナーがあるから参加してみないか!』と紹介されて、3日間のセミナーに参加した時に『今回御一緒するファシリテーターの●●●です』と自己紹介があったときです。セミナーは、コミュニケーションを中心にしたワークショップをファシリテーターがリードしていくといったものですが、『気付き』を大切にした内容だったと記憶しています。

 ファシリテーターとは、ファシリテ―ト【促進する・容易にする・手助けする】が語源になっていますが、チームで高い成果を出そうとした場合には重要な存在です。特に、変革を求められている組織では『変化に抵抗する人々』に対して【変化することを受け入れて】【積極的に変化する】人材となってもらう為に、ファシリテーターの存在は大きな意義があります。

 また最近感じることは、【考える人材】の育成が急務であるということです。指示待ち人材・マニュアル人材からの転換と表現した方がよいでしょうか!従来は組織の中で手足のように思われていた部署や人材が、自発的に考えて動くことが求められています。組織全体が『考える集団』でなければならないのです。お客様と接する最前線が、考えて迅速に対応できることが求められています。そういう意味でも、ファシリテーターを社内で養成していくことが重要な課題であると考えています。

《給与体系のデザイン》

 最近の人事の話題は、『高年齢者の雇用の問題』と『同一労働・同一賃金』でしょうか!
 今日は、『同一労働・同一賃金』の問題について給与体系の制度設計の面から考えてみたいと思います。
 
 まずは、弊社で提案している給与体系は《単一型の職能給》を原型としていますが、特徴としては【7等級制による管理】【年齢加算給を排除】【複線型のコース別管理】【ポイント賞与】等々でしょうか!一言で表現すれば実力主義の給与体系であり、昇給・昇格・昇進・賞与・教育といった処遇が実力・実績によって決定されます。ここ10数年にわたり多少の制度改定を実施しながら、お客様に提案・運用をして頂いておりますが、比較的シンプルで分かりやすい制度であるとの評価を頂いております。

 基本的な考え方としては《頑張った人に報いる制度》《環境の変化にあわせてメンテナンス》《現給保障で移行》等々ですが、現在は『同一労働・同一賃金』との関連もあり、有期契約社員を正社員として受け入れる為の体系整備に頭を悩ませています。