今日は成年後見制度の一つである“任意後見制度”について書いてみます。
任意後見制度は、認知症などで判断力が不十分な人のために、後見人が財産管理や契約などを行う制度です。成年後見制度には、認知症などで本人の判断能力が低下した際、身内などが後見人を家庭裁判所に申請する『法定後見制度』がありますが、“任意後見制度”は、本人が元気で判断能力のあるうちに後見人と契約を結ぶ制度で、本人が後見人を選ぶという点で『法定後見制度』と異なります。
任意後見が始まって、後見人に代行してもらう内容としては
【預貯金や不動産の管理】
【老人ホームの入居手続きや利用料の支払い】
【生活費の送金】
【要介護認定の申請】等々ですが、任意後見制度の契約内容は公証人役場で公正証書として作成します。
制度の利用にあたっての注意点を池田利子(社会福祉士)さんは次のように説明しています。
任意後見制度は、親族がいない人向けと考えられがちだが、親族がいても自分らしく一人で老後を送りたいという人にも考えてほして仕組みだ。
後見人は介護などをしてくれる人ではなく、自分の望む老後の生活に必要な契約や金銭管理を代行してくれる人。まずは、どのような老後を送りたいのか、自分で主体的に考えておく必要がある。例えば、自宅か施設か、どこで介護を受けたいのか、財産を取り崩す時はどの財産から処分したらいいのか、などだ。
後見人は、自分より先に判断力が衰えては困るので、20歳くらい年下の人がいいだろう。信頼できるか見極めるのは難しいが、その人にキャッシュカードを預けてもいいと思えるかどうか、といった点が一つの目安になる。