競争は、自分の中にある貧困意識から出てきます。世の中に十分なお金、チャンス、愛、友情がないと感じたときに、人は焦りを覚えます。そして、相手を蹴(け)落とそうとしたり、自分に鞭(むち)打って頑張ったりするのです。
ビジネスの世界に身を置いている人は、とくに激しい競争をしています。子供の頃からの思い込みで、「競争に勝たなければいけない」と信じているからです。学校時代から、隣の人より成績が上か下かの勝負に明け暮れます。会社でも、まわりの人たちと張り合うようになるのです。でも、なぜ競争するのかまでは考えません。
大人になれば、一人でやる仕事よりチームでやる仕事の方が、はるかに多いものです。一人で正解を出すことより、仲間で知恵を出し合って結果を出す能力が求められます。ですから、学校の試験でもチームで受けた方が将来の備えになると思うのですが、そんなことは許されないでしょう。インターネットで調べれば一分で出る答えを暗記させるよりも、チームでいかにクリエイティブな答えを出すかという能力を高めた方が、よほど将来に役立つと思います。
豊かに生きている人は、競争するより協力した方がはるかに早く成功できることを体験で知っています。また彼らは誰かが勝っている、負けているという「世界」に生きていません。
幸せな人は、相手が成功したと聞いたら、「ヤッター」と素直に喜べます。他人の成功が、自分のことのように嬉しいのです。それは、その人の成功が自分の成功にもつながっていることを、体験的に知っているからです。
幸せな人が競争しないのは、競争すると疲れるからです。自分以外の何かになるために、一生懸命頑張らなければいけなくなります。ビジネスを見ても、マーケットシェアを取り合う種類のビジネスでは、利益が出にくいものです。それよりオンリーワンになって多くの人に喜んでもらうようなビジネスの方が、ストレスなく利益を出すことができます。
競争は「自分は誰か」を忘れた時におきます。自然界でも、高い木、低い木、下草、コケはそれぞれ競争することなく共生しています。
自分が一番輝く場所を見つけてください。