《人事考課》より評価のゲシュタルト

 今日は日曜日ですね。本棚から古い本を引っ張り出して見ています。【読むというよりパラパラ見ている感じです】三十年以上も前の大学時代の心理学の本です。石川英夫先生の著作ですけど、今日はこの中から【評価のゲシュタルト】について書きます。

 人事考課エラーの《ハロー効果》の参考になりそうです。
 A君の特徴
※知能が有る ※熟練している ※勤勉な ※あたたかい ※決断力のある ※実際的な ※用心深い
 B君の特徴
※知能がある ※熟練している ※勤勉な ※つめたい  ※決断力のある ※実際的な ※用心深い

 二人の印象や人物像を訊ねてみる実験をしたところ、両者の間にかなりの違いがあらわれる。すなわち、A君に対する印象は、明朗で社交的な人物であり、気だてのよい性格が強調されるのに対し、B君は人づきあいも悪く、陰うつな性格の持ち主とみなされた。
いちばん最後に『用心深い』という項目があるが、この性格特性は全く反対に理解されてしまう。A君の『用心深い』は、他人に迷惑をかけまいとみなされるが、B君の『用心深い』は、人を信用しないから用心深いのであるというふうになってしまう。同じ言葉でも意味内容がまったく正反対のものになることは『あたたかい』『つめたい』という項目が影響を与えた結果と考えられる。

 こうした内容は、最初に得た印象や『あたたかい』『つめたい』という性格特性が中心となって人の全体像をつくり、後から与えられた知識や周辺の情報はその全体像と矛盾なく合致するように意味内容が変容されることを示唆している。

 私たちは、人の判断をするときに、このような第一印象や特定の性格特性で評価を下す傾向があるが、こうした評価は間違っており危険である。いろいろと時間をかけ、あらゆる知識と情報を加えて客観的に分析し、個人の全体像を把握しなければならない。